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テイクアウトに挑戦するお店のチェックリスト

補償の話はうやむやのまま緊急事態宣言が出されましたが、それでも通勤量は7割程度だそうです。

効果があるのかどうなのか...結果が出るのは数週間後なのですが、そこで検証して効果が足りない→自粛期間延期!という判断もあり得るわけで、ぜんぜん先が読めません。

うちのお店は休業宣言出していますが、ちょっと方向性を考え中です。

さて、そんな中でお店をやっている方の中にはテイクアウトやデリバリーに挑戦されているところも結構出てきました。

これもノウハウや生産効率なんかで売上がだいぶ左右されるビジネスなので、じゃあテイクアウトで起死回生!とはならないのがつらいところなのですが...

でも、とにかく手をこまねいていても家賃も人件費も融資返済も待ってくれないし、わずかでも可能性があるなら挑戦するのはアリです。


テイクアウト挑戦時のチェックリスト

では、テイクアウトに挑戦する!となったら何をすればいいのか?

もちろん試作してメニュー決めて原価計算して値段決めて、仕込みのオペレーション整えて、包材揃えたりアレコレは必須です。

でも、それ以外の抜けがちなところもたくさんあります。

なので、いつもは飲食店営業だったけど、この騒動でなんとかしようとテイクアウトに挑戦するお店の人向けにポイントをまとめておきます。

1. 保健所への相談

マストです。絶対に行ってください。やぶへびになるかも...と言う感覚があるのはわかりますが、この騒動でテイクアウトを始めたお店で食中毒が出る+無許可だった...が一番マズイです。

テイクアウトを始める前に生活環境安全課の食品衛生担当さんへ相談しましょう。このご時世です、親身になってくれるはずです。

その際に以下を揃えて相談に行くと話が早いです。

1.テイクアウトしたいメニューの詳細
2.テイクアウトしたいメニューの写真
3.お店の図面(厨房図)
4.現在の営業・製造許可証

テイクアウト販売が店内調理+対面渡しなら特に許可が不要という場合もありますし、逆に惣菜製造業許可が必須と言われる場合もあります。

これは地域の保健所によって見解が異なるので、必ず確認して適法で商売しましょう。

あと、念のために追記しますが「刺身」は魚介類販売業の許可が必要なので、居酒屋さんが魚介類販売業の許可なしで刺身のテイクアウト出すのはNGです。同様の理由で「限りなくレアな肉類(鳥刺など)」や「自家製ハム」も食肉製造業の許可になるので気をつけて!


2. 賠償責任保険加入(食中毒時の対応)

できればこちらもマストにしたいところ。

もしも現在、何かしらの保険に入っているなら保険内容を確認してください。テイクアウトが補償範囲外ならば、特約なり契約変更なりでテイクアウトも補償範囲内に変更してください。

利用する機会がない方がいいですし、さっさと騒動が収束してくれて不要だった...になればいいのですが、ダラダラと自粛の開け閉めが続いた場合、無保険で先々弱ったタイミングで転ぶのは恐ろしい。

食中毒を出せばさすがの保健所さんも営業停止命令を出しますから、その時に保険が効かないのは即死案件です。消費者保護の為にも保険あると安心。


3. 交差汚染の予防

交差汚染...と聞いて、すぐわかるなら問題ないです。わからないならマズイので、もう一回食品衛生を勉強しなおしてください。

要するに肉類を調理して汚染された場所と、非加熱食材の調理するタイミングや場所が交差することで非加熱食材まで汚染されちゃう事です。

これを防ぐには調理オペレーションの設計が重要で、調理工程を分ける、工程ごとに洗浄や消毒を徹底する、根本的に調理スペースを区切って分ける、などの方法があります。

特にカンピロバクター、O157なんかは要注意です。あとは発生率こそ低いですが発生時は大規模になりやすいウエルシュ菌も要注意。

煮込み料理など、加熱調理食品が徐々に冷却していく間にウエルシュ菌は急速に増殖する特徴があるので、急冷もしくは出来立て提供ですぐ食べてもらうのが大事です。

あと、アレルギー食材も交差汚染で混入します。これは粉とか粒とか微量でも反応してしまう人がいるので、調理工程にアレルギー食材がいる場合はその旨を記入した方がいいです。


4. 食品表示法に従った表示ラベル

法律的には対面で手渡しするテイクアウトならマストじゃないです。これもできれば保健所さんへ相談の上で決めるといいと思いますが、できれば以下を記載したシールもしくは紙を添えて欲しいです。

・名称
・原材料名(特にアレルギー食材の表記は必須)
・内容量(これは1個とかでも可)
・消費期限(原則当日、できれば時間指定)
・保存方法(要冷蔵○度以下等)
・製造元連絡先

特に、アレルギー食材の表記はぜひお願いしたいところ。前述の交差汚染でアレルギー食材混入の可能性もありえるので、例えば小麦粉を使う場所で作っているならそのことも記入しましょう。


5. キャップ、マスク、手袋着用

今回の感染症が飛沫感染という事もあり、マスクは必須。そして調理時の手袋、キャップの利用も必ずしましょう。

通常調理でも異物混入や食品汚染は恐ろしいのですが、今はさらに疑心暗鬼になってしまうナイーブな時期です。

見た目から安心を作るためにも、キャップ+マスク+手袋を使いましょう。

フェイスシールドなどを使うのもいいでしょう。


6. 容器の結露対策

toオーダーですぐに調理して提供するのに慣れていると失念しがちなのですが、持ち帰りで気をつけたいのが容器の結露です。

特に調理してすぐに蓋をすると結露がかなり発生しやすく、食感を損なったり場合によっては食中毒の原因になります。

可能であればテイクアウトを想定してお店で調理したものを包装し持ち帰ってみた場合を実験してみてください。

その上で、対策としてすぐに蓋をせず蒸気を多少抑えたり、などの方法を検討してください。


7. あたためかたなどの注意書き

持ち帰ったあと、なるべく美味しく、できればお店で食べるのと同じように食べて欲しい。そのための情報のフォローをしましょう。

容器は電子レンジが可能なのかどうか。どうやって温めるのがいいのか。

場合によっては簡易的な電子レンジverと、ちょっとこだわったオーブンやトースター、湯煎などを組み合わせた温め方を提案してもいいでしょう。


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以上、7つのチェック項目をまとめました!

コンビニやパソコンなどでプリントできるようにPDFも置いておきますね。クリエイティブ・コモンズマークつけておきますので、非営利なら再配布OKです。


+αで、差別化できる事を意識しよう

ここまでチェックできればあとはやるだけです!

でも、その前に...その売ろうとしている商品は、本当にニーズありますか?

苦しまぎれでとりあえず今のお店で作れるものを...ってなっていませんか?


最近、コンビニの500円のお弁当って食べましたか?食べた事ない人はぜひ食べてみてください。

セブンイレブンのお弁当とか、ほんとにレベル高いです。500円でこれかよ、という美味さです。冷凍食品もすごいレベル上がってますよ、冷凍炒飯とか298円で温めるだけでかなり美味いですから。

あれと正面から戦っちゃダメです。勝てないです。商品開発の費用も、食材調達の規模も桁違いなので。


お店だからできる事、コンビニやスーパーとは違う魅力を考えてください。

テイクアウト、できることはお弁当だけじゃないかもしれません。

数種類のつまみが詰まった家飲み用のちょい飲みセットとか、ベースになるソースやめんどくさい工程だけ肩代わりしたミールキットとか、何種類ものメニューに使えるほとんど調理済みのベースを売るとかもアリかもしれません。


もちろん、最終工程を消費者が調理する半惣菜、保存してからの調理が前提の冷凍食品なども製造許可が必要になり保健所さんに相談した方がいい案件なので及び腰になるのはわかります。

でもお弁当は1人1つしか買ってくれませんけど、ミールキットなら客単価は上げやすい。保存がきくものならまとめ買いもあり得ます。

なにより、保存が効く=販売ロスが発生しづらいのです。


他にも一般には出回らない生産者さんのこだわり食材を一緒に売ったり、お店の特徴になっている食器や調理器具や洗剤などの雑貨類を売るのもアリです。

そこにニーズがあるなら、どんなものでも売れるはずです。

この騒動が長期化した場合でもきちんと売り続けられるよな、そんな商品を開発しましょう。

そしていずれパッケージやヴィジュアル撮影、商品ロゴなどが必要になってきた時こそ僕たちデザイナーの出番です。1日もはやくそんな機会が来る事を陰ながら応援しております(自社の商品開発もしつつ...)

食は安全が第一です!
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