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芳醇さをはじめて実感したミスターチーズケーキの香りの体験

「芳醇」という言葉は読んだことはあると思うが、これを実際に体験として「これって芳醇じゃん!」と思った事はあるだろうか?

僕は20代後半までガッツリ系のアレルギー性鼻炎で、ティッシュが友達だった。両方の鼻の穴は年中閉店。時たま気まぐれに開店するも、香りが入るまでもなく出てくるのは鼻水ばかり。

しかし、あるときに花粉症では?と思ってちゃんと耳鼻科にかかって薬を服用したら、いつのまにか回復した。現代医学、すごい。

こうして30年近くフシ穴として使われることのほぼなかったフシ鼻であるが、おかげさまで開通して最近は香りを通じた体験の鮮烈さに感動する日々だ。(主に娘のウンチのお世話なんかで)

そんな幼児なみに香り初心者の自分だが、先日食べたあるお取り寄せの品で初めて「芳醇」という体験をした。


香りを閉じ込めたチーズケーキ

取り寄せでわざわざ購入したのは、田村シェフ(@Tam30929)のミスターチーズケーキ。現在はtwitterフォロワー10000人も目前になっているが、はじめて知ったときにはお互いフォロワー数百人という状況だった。

わざわざ取り寄せた上に、入籍記念日に妻と食べようと思い予定の1ヶ月前に予約決済をした。なぜそれなりに高価格の取り寄せのチーズケーキにしたのか?スイーツ大国である東京、味の信頼できるケーキ屋さんはそれこそ両手で足りないくらいは名前を挙げられる。

全ては、作り手である田村シェフのこの記事を読んだからだ。

今の僕を突き動かしているのは、
クサイセリフだけど愛だと思う。
自分が最高だと思えるものを
多くの人に届けたい。
度が過ぎたチーズケーキ愛。
でもだからこそ伝わる思いがあるはず。

なんとなくでは
自分の時間を削ってまではやれない。
チーズケーキにかける想いとストーリーは、
他の誰にも負けない熱量がある。
(勿論普段の料理も!)

彼は、チーズケーキ専業のパティシエではない。本職はフルコースからアラカルトまで対応するモダンフレンチのシェフだ。(パティシエを目指していた時期もあるらしい)

飲食業のお店作りに関わる身として、シェフという立場の忙しさは少しだけ想像がつく。お店に立っている時間以外にも、仕入れや仕込みや情報収集に忙しい。おまけに田村シェフはメニュー開発や監修の仕事もされている。

なのに、手間の割にすごく儲かるわけでもないであろうチーズケーキに愛情を注いでいる。おそらく変態の域であり、もはや好きでたまらなくてやっているとしか思えない。


鼻孔を突き抜ける香りの爆弾

チーズケーキの注文後、しばらくして田村シェフはたった数日で数千人のフォロワーが増えるという進化をとげて、チーズケーキも爆発的に売れていった。

色々な感想が流れる中、ついに待ちに待ったチーズケーキが冷凍便で届く。自然解凍させようと丁寧に包まれた梱包を解いて驚いた。香水か!?と思うくらいに甘酸っぱい香りが部屋に充満したのだ。

少し話が逸れるが、良いワインを飲んだことはあるだろうか?良いとされるワイン、その中でもいわゆるフランスのブルゴーニュのピノ・ノワールという品種で作られた赤ワインは、コルクを抜いてグラスに注いだ瞬間に部屋中が香りで満たされるようなワインに当たるときがある。

そう、まるで自宅が青山フラワーマーケットになったような、そんな香りの爆弾のようなワインがあるのだ。ミスターチーズケーキはまさにそれだった。

お世辞ではなく、2メートルくらい離れても香りがわかる。僕のフシ鼻でも。


レモンを買いに走った

そうこうしていたら解凍時間中にレモンを買ってくるように妻から指示が来た。なんでレモンなのか?別に食べるわけではない。

フードスタイリストのうちの妻にせっかくなのでちょっと撮ってよとムチャ振りをしたら、じゃあ添え物を買ってきてと指示を受けたのだ。

育児で仕事は多少スローペースになっているとはいえ、さすがは現役のフードスタイリスト。チーズケーキの原材料や特徴を伝えると、レモンとレモンバームというハーブを添えて、あればホワイトチョコを砕いて・・・とスタイリングのことをブツブツ考え始めた。


そんなわけで、食べるのはお預けでしばらくは香りを楽しみながら撮影タイム。いつもはプロのカメラマンと組んでいるのだが、予算がない時は自分たちで撮っている。

ああでもないこうでもないと言いながら撮っていたらチーズケーキがどんどん柔らかくなってきて焦る。なんでも、本当はこういう撮影の時は冷房をガンガン効かせてドライアイスを炊き、カット撮影用と一本撮影用と予備の最低3個はケーキを準備しなきゃいけないらしい。

ぐ・・・次回からは3本買っておけという事か・・・。

最終的にこんな感じに撮れた。妻いわくプロとしてはテスト撮影カットのレベルなので、ちゃんと撮りなおしたいそうだが、もう食べてしまったのでまた今度にしよう。(せっかくなので写真は田村シェフに贈呈することにした)


香りを食べるという体験

肝心の味の話を忘れそうになっていたが、これはもういわゆるチーズケーキではない。冒頭に書いた「芳醇」という体験そのものである。

口に入れた時はもちろん、飲み込んだ後がすごい。体内で温められたことで香りが喉の奥から上がってくる。

ここら辺も本当にいいワインとそっくりで、ワインでは飲んだ後の余韻の長さが香りの要素の象徴とされることが多いが、このチーズケーキは今まで食べたあらゆるケーキの中で最も香りの余韻が長かった。

これはもはや、ケーキを食べるというより、香りを体験するという新しいエンターテイメントなんじゃないだろうか?

取り寄せのチーズケーキに4000円は多少の勇気が必要だが、香りのアトラクションだと思えば安く見えてくるから不思議だ。しかも香りは人数が多くても楽しめる。

ちなみに合わせるならシャンパーニュがイチ推しだ。チープに甘いやつじゃなく、ドライなやつ。BRUTって書いてあるやつか、EXTRA BRUTってやつが良いと思う。予算あるならアンリ・ジローとか最高に合うはず。

大きさ的にも切り分ければ5-6人は余裕で食べられる。これは夫婦の楽しみでもいいが、友人のホームパーティーへのお持たせなんかには最高の回答の一つだろう。移動時間で自然解凍もできて一石二鳥だ。


ここまで褒めておいてなんだが、残念ながら2018年6月現在、一時的に売り切れ中だ。田村シェフが海外研修から戻られた7月以降に販売復活とのこと。


そうそう、合わせる飲み物をご本人に伺ったら、丁寧に以下の回答をいただいたのでシェアしておきます。さすが香りの先生、回答が的確ですばらしい。


完全に余談なのだけれど、今夜仕事が終わって台風が去ったら、田村シェフと飲もうと約束をしている。noteがきっかけのご縁がこうして広がってとても嬉しい。せっかくなので何名かお誘いしたので、また改めて田村シェフと話した食と味覚のレポートを書こうと思う。


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