手がたりストーリー(2) - 「目が見えず耳も聞こえない」とは -
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手がたりストーリー(2) - 「目が見えず耳も聞こえない」とは -

オフィスマッサージ「手がたり」

こんにちは。

株式会社オフィスマッサージ代表の田辺です。

前回記事 手がたりストーリー(1)- 妹の結婚 - にて、私の妹目が見えず耳も聞こえない盲ろう者の男性と2000年代前半に結婚したこと。ですが、盲ろう者に仕事はなく、「ないならば創ろう」と盲ろう者2人と企画ミーティングをもつことになったところまでお話をしました。

2004年1月。盲ろう者の男性2名と私の計3人で、「盲ろう者が働く」というテーマの企画ミーティングを開始しました。私は指点字ができませんが、静かな室内ならば義弟の盲ろう者は補聴器でかろうじて聞こえるということで、義弟がもう一人の盲ろう者に指点字をしてくれて、話し合いをしました。

どんな仕事をしたいですか?」と私は質問をしました。

マッサージの仕事をしたいです」。

「どうしてですか?」

「私たち盲ろう者は盲学校にてマッサージの勉強をし、マッサージ国家免許の試験に合格すれば、マッサージの仕事ができるのです」

そういえば、と思い出しました。

日本の温泉地などで「あんまさん」と呼ばれる人々の多くは、目が見えない人が担われてきたこと。

後でわかったのですが、日本最古の職業の一つはあんまであり、奈良時代の律令制度でも「按摩師」(従八位上)や「按摩博士」(正八位下)との官位で位置付けられていたこと。

ないものねだりでなく、あるもの探し」は社会起業において大切な視点の一つであり、盲ろう者が自らの持ち味としてマッサージを掲げるのならば、それがベストのように思いました。

マッサージ国家免許という免許があることも、その時初めて私は知りました。業としてマッサージをするには国家免許がいるというのです。このお話は別の回に譲ります。

さて、「マッサージの仕事がいい」という3人の話し合いになりましたが、では、どうするか?

単なる治療院をまちで開いても、疲弊した地域経済では、とても経営がむつかしい。しかも、価格の叩きあいも日常茶飯事です。

前回でも紹介しましたように、盲ろう者には必ず通訳介助者がペアで必要です。ということは、価格の叩きあいに入らない、新しい土俵を創らなければいけません。何か工夫をせねばならない。

さて困ったな、と私は思いましたところ、「カフェとマッサージの複合型カフェって、どうですか?」との名案を盲ろう者が話してくれました。

それだ!

どんなカフェにするか、まずは市場調査をしましょう、と日を改めて、東京郊外のとあるカフェに私たちは見学に行きました。

伺ったカフェは、野外のガーデンも持つ、開放的な造りでした。シーズンになるとガーデンではバラが咲き乱れて、すごく美しいですとも店員さんからお聞きしました。

盲ろう者が話してくれます。

バラの香りっていいですよね」

「このケーキって、おいしいですよね。僕は前に食べたケーキの味を、よく覚えているんですよ。盲ろう者は食べたり飲んだりが大好きな人が多いです」

そうか。目と耳の障害があっても、鼻の嗅覚や、口の食感が研ぎ澄まされているのか。新鮮な発見を私は感じました。

ワインソムリエや、香料作りの技師等も盲ろう者の職域になるのではとふと感じました。目からの視覚に騙されずに、純粋に味覚や嗅覚で判定できる人たちが盲ろう者なのかと。

そして、マッサージ国家免許を持つことを当然の前提としつつも、目が見えないことで指先の感覚が繊細という、健常者より優れた強みもある。

マッサージを受けた人が、リラックスしてお茶をできる場は、ありそうでなかった。

カフェ&マッサージにしよう。

いよいよ開店準備に入ることにしました。

オープンを2005年春の目標とし、それまで月1-2回で開店準備ミーティングを持ち、その傍ら、私は都内での立地探し等に奔走する日々になりました。

この開店準備ミーティングで「ブランド名をどうしようか」と話し合った時に、ある通訳介助者の女性が「『手で語る』の造語で『手がたり』はどうですか?」と提案してくれました。

手がたり。

優しい語感を感じられ、メンバーの全員賛成でブランド名も決まりました。

今回のお話はここまでとさせていただきます。次回はオフィスマッサージの実現とマッサージ市場の課題です。

お忙しい中、お読みくださり、ありがとうございました。

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