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ブランディングは企業にとってどのような意味を持つのか


自社の商品をブランド化することをブランディングといいます。

多くの企業はブランディングに力を入れ、多額の投資をしてブランドの確立を目指す会社もあります。

ブランディングは企業にとってどのような意味があるのでしょうか。投資する価値があるのでしょうか。

結論を先に紹介すると、ブランディングに成功すると、ビジネスが成功しやすくなります。したがって、企業がコストと手間と時間をかけてブランディングに取り組むことには意味があり価値があります。

3つのブランド

「ブランド」と聞いて最初に思い浮かべるのは高級バッグや高級外車などではないでしょうか。ブランド品とは高級品であり、持っているだけで自身のステータスが上がり、所有欲を満たしてくれる――というイメージがあります。

しかしこのイメージは3種類のブランドの1つにすぎません。

<3種類のブランド>

1)高級品

2)市場のなかで確固たる地位を築いたもの

3)長年売れているもの

高級品としてのブランドを1つ目のブランドとすると、2つ目は、市場のなかで確固たる地位を築いたものです。

高級品でなくても「○○といえば□□」という商品が存在します。そのような商品は「ブランディングができている」といえます。

3つ目のブランドは、長年売れているものです。

市場で確固たる地位を築いているわけでも高級品でもないものの、誰もが知っているブランドがこれに該当します。そのようなブランド商品は、市場シェアは3位や4位かもしれません。しかし、1位や2位の商品が短期で入れ替わるのに対し、長年売れているブランド商品は常に3位や4位を維持しています。この種類のブランド商品は最強にならなくても、劣化しにくい特徴があります。

この3つのブランドはほとんど別物といってよく、企業が3つすべてを狙うことは難しいでしょう。

したがって企業が自社の商品をブランディングするときは、この3つのブランドのどれを目指すのか決めることになると思います。

「よいこと」は何か→ビジネスが成功しやすくなること

冒頭で、ブランディングに成功するとビジネスが成功しやすくなると紹介しました。なぜブランディングの成功がビジネスを成功に導くのでしょうか。

ブランド商品として認知されれば高額に設定しても売れますし、広告しなくても営業を仕掛けなくても売れるようになります。

売上高アップや利益率アップが達成できるとビジネスが成功したといえます。

単価を上げると売上高が上がり、広告や営業のコストが減ると利益率が上がるので、ブランディングの成功がビジネスの成功をもたらす、といえるわけです。

ここまでの説明で次のような疑問が湧くと思います。

●ブランディングに成功している企業は、売上高アップと利益率アップ以外のものも得ているような気がする

この直感は正しく、ブランディングの成功が企業にもたらすものは、売上高アップと利益率アップ以外にもあります。それを次の章で紹介します。

ブランディングの意味を考える

企業がブランディングをする意味は5つあります。

●価格競争に巻き込まれないからビジネスが消耗しない

●ブランドとはよい評価を得た結果である

●イメージがよくなり好循環のスタート地点になる

●顧客を維持し、見込み客を取り込める

●従業員が誇りを持って働けるようになる

1つずつ確認していきます。

価格競争に巻き込まれないからビジネスが消耗しない

商品Aと商品Bという類似商品があり、商品Aはブランド化されてなく、商品Bはブランドが確立しているとします。

このとき商品Aを安くしないと売れませんが、商品Bは定価(希望小売価格)で売ることができます。

ブランド品と非ブランド品には次のような特徴があります。

●ブランド品:高くても買いたいと思わせる

●非ブランド品:安くなければ買わないと思わせる

このような特徴があるので非ブランド品は価格競争に巻き込まれます。

だからこそ企業が価格競争に巻き込まれたくないと思ったら、ブランディングに取り組む必要があるわけです。

ブランドとはよい評価を得た結果である

ブランディングとブランドには次のような違いがあります。

●ブランディング:企業の取り組み、努力

●ブランド:顧客の評価の結果

顧客はさまざまな形で商品を評価していて、そのうちの1つが「これはブランド品といえる」という評価です。

顧客による評価には「コスパがよい」「機能性が高い」「格好いい」「使いやすい」「壊れない」などもありますが、なかでも「これはブランド品といえる」は最上位の評価といえます。

最上位の評価を得るためにブランディングに取り組み、最上位の評価を得たとき企業はブランドを手に入れたことになります。

イメージがよくなり好循環のスタート地点になる

価格競争に巻き込まれた結果、売上高が伸びているのに利益率が低下した企業はブランディングに取り組んだほうがよいでしょう。

なぜならブランド化に成功すると、悪循環を好循環に変えることができるからです。

例えば10種類の製品を持っているメーカーなら、まずはそのうちの1種類の製品のブランディングに注力します。1個でもブランド品になれば、その利益率の高さと顧客の評判のよさに社内が湧くはずです。

それによって経営者と従業員が一丸となってブランディング業務に取りかかることができるようになります。

顧客を維持し、見込み客を取り込める

ブランド品には「ずっとこれを使い続けたい」と思わせる力があります。したがって、その商品がブランド品として認知されている限り既存顧客は裏切りません。

ブランド品にはさらに「私も使ってみたい」と思わせる力もあります。したがってブランド品の新規顧客をつくることは容易です。

企業にとって、既存顧客を維持して見込み客を取り込むことは永遠のテーマのはずです。そしてときに、既存顧客を守るために見込み客の取り込みをあきらめたり、その逆をしたりすることがあります。

しかしブランディングに成功すれば、既存客も見込み客も手に入れることができます。

従業員が誇りを持って働けるようになる

経営者は、「実は私があの商品をつくっている」と自慢する従業員と、「私はあんな商品しかつくることができない」と思っている従業員の、どちらを求めるでしょうか。

従業員は、誇れるものをつくりたいでしょうか、それとも取るに足らないつまらないものをつくりたいでしょうか。

企業がブランド品を持つことができるようになると、従業員が誇りを持って働けるようになります。

ブランド品の販売担当者がキレイな服装を着ているのは、もちろん社内のルールがあるからかもしれませんが、それだけではなくキレイな服装でその商品を売りたいからです。

このような意識は製造現場でも芽生えるでしょう。生産担当者は「丁寧につくろう」と思うようになり、検査担当者は「傷がついたものを出荷しないようにしよう」と心がけるようになります。

このような職場は活気にあふれブランド品がさらに磨かれていきます。

まとめ~難事業だから意味が重要になる

ブランディングは難事業になるでしょう。消費者は簡単には「あの商品はブランド品である」と認めてくれません。長年ブランディングに取り組んでいながら、なかなか成功しない企業もたくさんあります。

それだけに経営者やマーケターやプロジェクトリーダーたちは、ブランディングの意味と価値を意識しておいたほうがよいでしょう。ブランドを確立できた商品が自社にもたらすメリットの大きさを知っていれば、難事業に果敢にチャレンジできるはずです。

ブランディングは1日にして成らず、なので百里の道も一足(ひとあし)からです。

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