見出し画像

厚真で暮らすこと4.ピンチはチャレンジのチャンス

2021年2月6日(土)

午後7時を少し過ぎた頃、会場内のライトが消え、ひゅーっという音ともに一筋の光が空に登った。

パーン!と大輪の花火が夜空を照らす。

色とりどりの花火が花を咲かせては散っていく。夜空を彩る花火は、私たちの心も明るく照らしてくれた。


厚真町の冬のイベントといえば、ひとつは【あつま国際雪上3本引き大会】というスポーツのイベント。雪の上に置かれた3本の綱を引き合い、2本先に先取した方が勝ちとルールは簡単なのだが、実際にやってみると体力・判断力・駆け引きが必要で、実に面白い。

画像1

実行委員会のみなさんが必死に開催の道筋を検討してきたが、今年の大会は新型コロナウィルス感染拡大を受け、中止を決断された。夏に比べ、人の往来がどうしても減ってしまう冬の観光を盛り上げようと、10年以上も続いてきた3本引き大会。昨年は、町内外から約900名、過去最高の61チームが参加し、熱い戦いを繰り広げた。

「またコロナにやられたな」とつくため息に、悔しさとあきらめが混ざる。


もうひとつ、厚真の冬のイベントといえば、【スターフェスタ&ランタン祭り】だ。

会場をろうそくの灯りが暖かく包むアイスキャンドルは、町内立地企業や役場親睦会、厚真高校などが制作。商工会青年部が準備を進める、その年の干支の文字焼きと打ち上げ花火のコラボも美しい。

画像5

画像5

画像3

餅まきや熱々ラーメンの早食い大会、豪華景品が当たる抽選会など、各種アトラクションも大盛況で、町民にとっても冬の楽しみとなっているイベントだ。

画像4

3本引き大会は中止となった今、スターフェスタはどうするべきか。

開催か中止か、判断を迫られていた。

開催するとしても、人が集まる状況を避けるためには、いつもと同じ形では出来ない。

それでも、楽しみにしていた数々のイベントがなくなってしまった1年を振り返り、何か町の人たちに喜んでもらえることは出来ないだろうか。

年間30近い事業を実施し、地域振興を担ってきた商工会青年部としての意地もあった。


各地で行われているコロナ禍でのイベントについて事例を探し、様々な検討を重ねた結果、せめて打ち上げ花火だけでもできないだろうか、という方向性が徐々に見えてきた。

北海道では、夏にモエレ沼芸術花火実行が滝のすずらん公園で、車内で花火を観賞するドライブイン花火を開催されていた。

モエレ沼芸術花火実行の方々とは、2年半前の北海道胆振東部地震発災後、復興イベントに花火を寄付していただいたことをきっかけに交流が続いている。このドライブイン形式を参考に、スターフェスタ2021inあつま【ドライブイン花火】に向け、準備が始まった。

画像6

(モエレ沼芸術花火実行の方に、リモートで実施方法のアドバイスをうかがうの図)


2021年2月6日(土)

「来場されるお客さんが花火を楽しんで、笑顔で帰路につけるよう、何はともあれ安全第一」を目標に、そこに関わる全員が各自の役割を果たした。

会場となる特設駐車場。

当初の予定は収容台数200台限定としていた。しかし、それを上回る数が来ても良いように、と当日になって収容台数を大幅に広げることを決めたのだった。それも、事前におこなった除雪作業で、除雪部隊が4台の除雪車を巧みに操り、予定より広い範囲を確保してくれたおかげである。

画像7

画像8

駐車スペースの区画整備。

真っ白な雪のキャンバスに、同じ幅を保って印をつけていくのはなかなかに難しい。失敗もあったが、みんなで知恵を出し合い、進めていく楽しさがあった。

画像9

一番の難関だと考えていた入退場の誘導。

これはひとえに来場者の協力が成功の大きな要因だったといえる。とにかくお客さんに対して、誠実かつ毅然と対応することを心に留めて、まさに総力戦で挑んだ。

画像10

いつも通りのスターフェスタができれば、それに越したことはなかったのかもしれない。

でも、コロナフィーバーが連れてきたピンチに対し、新しく生まれたチャレンジは、決して悪いものではなかったと思う。

ピンチはチャンスというけれど、50年以上、地域振興を支えてきた商工会青年部というチームの組織力を見た気がした。

これから先、新型コロナさんとのお付き合いはややしばらく続くであろう道を考えると、今回のドライブイン花火は、自分たちの可能性を広げてくれた経験になったと思う。

「これに飲食ブースが出せるとしたら最高なんだけどね」

「花火だけなら、田舎まつりもこの方法でいけるんじゃないか?」

「何はともあれ、やってよかったな!」

私たちの心を晴れやかにしてくれた今年のスターフェスタの感謝。

画像11

厚真町商工会青年部FB

https://www.facebook.com/impulse.atsuma

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?