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理系高校生がイチから東大文系に合格した方法

 はじめまして。
 ここでは、理系から文転して東大文系合格した私が
  ・理系から見た文系科目攻略方法
  ・文系になって思った理系科目の勉強の改善案
  ・文転を考える受験生へのアドバイス
を書き連ねていこうと思います。もちろん、受験生以外の方にも
  ・一年弱で文系科目を仕上げた暗記方法
  ・新しい分野を勉強し始めるときのコツ
など、多数のメリットがある記事になると思います。

 投稿日は3月10日、東大や京大の合格発表日です。これで国立大前期の合格発表は出揃いますね。

 高校2年生の方は受験まであと1年ということを意識するような、残念ながら第一志望に手が届かなかった高校3年生や高卒生は再受験も脳裏によぎってしまうような、そんな日ではないでしょうか。

 そこで、受験生の方々に少しでもプラスの情報があればと、このnoteを執筆いたしました。

 なおここに書いてあることは、あくまで

私個人の受験に対する感想

ですので、「東大生なら誰でもやっていること」でも「読んだら100%成功が舞い降りる魔法」でもありません。この記事を読んで、「自分に合っている方法だ!」と確認してから参考にすることをおすすめします。

1.自己紹介

 記事を読む前に、「そもそも君は誰なのだ!」とツッコみたくなっている方もいらっしゃいますよね。勉強論が飽和している大学受験市場ですから、「中途半端な輩の言っていることなんぞ信用ならん!」と厳しい姿勢になってしまう気持ちは私もよくわかります。

・開成高等学校→東京大学教養学部文科三類
・開成在学中は理系として物理化学、(センター)倫理政治・経済を選択
東大には世界史日本史、(センター)物理基礎化学基礎で合格
理科一類文科一類東大模試A判定経験あり
・『頭脳王2021』準優勝

というのが私の遍歴になります。

 ここまで読むと、逆にこう考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 「自分には真似できない」
「開成独自のよくわからない授業でもあったんでしょ笑」

いいえ、そんなことはありません世界史教科書の1ページ目から読み始めましたし、日本史は勉強が追いつかず模試で9点を取ったときもありました。そんな歴史科目の影響が出てしまい、秋にD判定を食らったこともありました。それでも、入試当日まであがき続け、本番では合格者平均点余裕で上回る成績での合格を果たしました。
 この「ゼロから東大まで」の道のりには、皆さんの役に立つヒントが一つは存在しているはずです。

 ここからは、
  ・理系から見た文系科目
  ・文系から見た理系科目
  ・文転のアドバイス
を丁寧に見ていこうと思います。あなたの勉強の助けとなることを祈って。

2.理系から見た文系科目

 この章では、社会国語英語を見ていきます。

 繰り返しますが、これは高校教員でも予備校講師でもない、一介の大学生による感想記事です。あくまで参考として捉えてください。また、選択科目によって興味は分かれていると思うので、適宜、飛ばしながら読んでください。まずは、理系・文系を一番意識する社会から始めてみたいと思います。

2-1.社会

2-1-1.社会を始める前に

 私が世界史・日本史を始めようとして、はじめに感じたこと、それはインプット重視されすぎ!ということです。もちろん、「一問一答」や「穴埋めノート」などは市販されていましたが、インターネットで勉強法を検索して出てくるのは通史をどう完成させるか、という「インプット」の話が多かったのです。具体的に入試でどう点数を伸ばすかという「アウトプット」の方法は、「過去問を解けば何とかなる」とないがしろにされている場合が多数でした。
 と、過激な批判で文章を始めてみましたが、これが理系だった僕の最初の感想です。もちろん、勉強を始めてみて、インプットの大切さも学びましたし、アウトプットの問題集にも巡り会えました。その道中での具体的な心持ちは、以下のようになります。

2-1-2.理系から見た社会

 理系時代のオーソドックスな物理化学の勉強方法は以下のような形でした。

教科書を読む
教科書傍用問題集を解く
 (『エクセル』『セミナー』『リードα』など)
授業と入試の橋渡しの問題集を解く
 (『重要問題集』など)
入試を意識した問題集を解く
 (『名問の森』『化学の新演習』など)
過去問を解く

 インプット学校の授業教科書で済ませ、あとは問題集を難易度順に駆け上がって実力を身につけるイメージです。簡単な問題集を解くことで、典型問題「型」が馴染んでゆき、それが「パーツ」となっている入試問題も徐々に解けるようになっていくという実感でした。ゲームでいう、「レベルを上げて」「新しいスキルを覚え」「強い敵を倒せるようになる」感覚です。

 しかし、世界史日本史を始めてみると、
  ・「最後は教科書だよね」
  ・「分からなかったら『実況中継』とかで通史の理解をするのが一番だよ」
  ・「用語集と一問一答で憶えれば何とかなる」
と、理系時代の「① 教科書を読む」で足踏みしているような、いかに「憶えるか」「理解するか」という意見が目立ちました。

 「とにかく問題を解いて身体に染み込ませる」のが正しいと思っていた私としては、まるで異世界に来たような気分でした。そして、「逆に、社会でアウトプット重視の勉強をしたら、無双するのでは」という感情も高まってきました。そんな私が1年間悪戦苦闘したのちに書く結論を、お読みください。

2-1-3.世界史・日本史に共通すること

 歴史を勉強するにあたって、まず要点は以下の通りです。

・学校や予備校に左右されず最速で基本事項をおさえる
論述のアウトプットを通じて記憶の「線」を作る
「最後は教科書」は正しい

 順番に見ていきましょう。学校や予備校の授業は、歴史の考え方を生徒に理解してもらうことを念頭に置いているため、基本的に「進度が遅い」です。これは批判ではなく、授業は「遅いことが正義」なのです。なぜなら、「丁寧に説明した方が確実に理解してもらえる」からです。はじめから早口でまくし立てても、誰も理解できません。しかし、この理解重視のカリキュラムは、暗記には不都合です。これも簡単なことで、人間は「忘れる」生き物だからです。これを補うためには、定期的に復習することを心がけなくてはいけません。受験指南でよく言われることですが、「エビングハウスの忘却曲線」に基づけば、「1日後、1週間後、1ヶ月後」と間隔をあけて復習を繰り返すことによって、人間の記憶は確実に定着していくそうです。

 すなわち、記憶を定着させるためには、復習を繰り返す「時間」が必要なのです。そのために、「1周目」は出来るだけ早く終えなければなりません。最初の学習がなければ、復習する大元が存在し得ないからです。しかし、授業のカリキュラムに従えば、現代史を習うのは受験間近です。これでは時間を確保できません。

 ここで第一の要点。

学校や予備校に左右されず最速で基本事項を抑える

これが重要です。

 しかし、歴史の論理は非常に複雑です。これを授業に先んじて理解することは大変困難です。したがって、この段階では、「妥協」が肝心となってきます。最悪理解しきれなくても、用語は憶えてしまう。この妥協です。安心してください。理解は、後から追いつきます。一から複雑な線画を描くより、あらかじめ点を打っておいて線つなぎをした方が楽、というイメージです。

・教科書を読む(憶えようとせず、物語のように読む)
・一章など、ある程度進むごとに、自分の好きな方法で「暗記」をする
 → 一問一答、穴埋め、自分でまとめを作る、など

 こうして、頭の中の「世界史」「日本史」ゾーンに、記憶の点を打っておくのです。小学校の歴史でいうと、

「戦国時代に日本を統一したのは秀吉らしい」
「そのあと江戸幕府を家康が開いたらしい」

くらいの荒さです。はじめにこのくらいの点を打っておくと、

「秀吉の死後、家康は地位を高めて石田三成と対立し、関ヶ原の戦いで勝利して江戸幕府を開いた。」

といった「流れ」を線で結ぶのが楽になります。

 「え?授業より早く憶えるの? ダルい笑」と思った方、分かります。しかし、教科書一冊、最悪「物語として読むだけ」なら、本気を出して1ヶ月あればなんとかなります。一問一答も、すきま時間にコツコツやれば、1ヶ月で「1周とりあえずやる」ことはできるでしょう。最初から完璧を目指す必要はないのです。2周目、3周目まで1ヶ月ずつこなしても、3ヶ月です。3回こなせば、何となく頭の片隅には残っている気がするでしょう。
 こうして、授業よりも確実に早く、頭の片隅に世界史・日本史の点を打つことに成功します。あとは反復して定着させます。これだけでも、問題の言っていることの意味が分かる、くらいの実力は付いていると思います。

 続いて第二の要点、

論述のアウトプットを通じて記憶の「線」を作る

です。ここまでで世界史・日本史に自信が付いてしまった人は、もうこのまま憶え続けて入試に挑むぞ!となるかもしれません。しかし、それは大変もったいないことです。そして、基礎事項を最速で暗記するステップが苦手だ、と思った方、安心してください。この第二段階は、暗記をサポートするものです。

 頭の中に世界史・日本史の点がある程度出来てきたら、論述問題の問題文を理解することができます。それでも、いきなり問題を解こうとすると、ハードルが大変高いことでしょう。そこで次にやるべきは、教科書を読みながら論述問題を解くことです。

 小学校の例に戻りましょう。

「江戸幕府の成立について、豊臣秀吉政権からの時代の流れに注目して述べなさい。」

といった問題文をいきなり読んでも、何を答えれば良いのかわかりません。これは、私でもわかりません。しかし、既に歴史の点を打ってあるわけです。「秀吉はここら辺にあったな」「江戸幕府はここら辺だな」という記憶をもとに、教科書の該当箇所をたどることができます。すると、小学生の教科書には「関ヶ原の戦い」なるものが書いてあるのです。そして「ああ、このことを書けばいいのか」と筆を進め、「秀吉の死後、家康は地位を高めて石田三成と対立し、関ヶ原の戦いで勝利して江戸幕府を開いた。」などの解答が完成します。

 世界史で考えてみましょう。「オスマン帝国について」と中学生に言っても、よくわからない人が多数だと思います。しかし世界史の点を打ってあれば、「教科書のイスラーム世界のところに〜」「スレイマン1世とかいらっしゃったな」と、論述のパーツの見当がつくと思います。
 見当がついたなら、あとは教科書の記述を参考指定字数に従って答案を錬成すると、論述問題をこなしたことになります。

 この作業をこなすことで、実際の入試問題で問われるポイントや観点が身につくとともに、英語や国語にも通じる文章力が鍛えられます。私は実際、この練習を通して日本語を指定字数で書くスピードが上昇し、英語の記述問題(説明問題、要約問題)を解くことが以前と比して楽になった経験があります。

 さらに、複雑な因果関係があり、教科書を読むだけでは憶えきれなかった部分も、論述問題に苦労して取り組んだ記憶をもとに、憶えやすく・思い出しやすくなります。「どっちがどっちだっけ?」と悩んでいた箇所が、「AがB側についたことによって、C戦争がDになり〜」といった論述を書くことによって、明確に頭に入っていくのです。
 さらにいうと、論述問題の参考にするために教科書を何度もめくるので、それだけで第一段階の復習になっているのです。

 この段階をこなすと、過去問に手が届くようになります。
 学校によって、問題傾向は様々でしょう。選択肢問題が多い学校、論述が多い学校、それはまちまちです。しかし、どんな問題が来ても教科書を読みながらであれば何とかなるレベルにはたどり着いているはずです。過去問も、まずは教科書や答えを読んでしまって構いません。過去問題集の解答や解説を一度読み、その学校の問題の問題を解くのに必要な考えや論述の構成を学んだ上で、他の年度の問題を見てみると、格段に解きやすくなるでしょう。

 最後に、第三段階

「最後は教科書」は正しい

です。教科書は、ここまでの苦労をともにした相棒です。はじめは難解に思えた箇所も、そろそろ理解できるようになっているはずです。ここにあれが書いてあった、なんてことも何となくわかってきていると思います。この段階に到達したら、あとは教科書を復習し、教科書なしでも問題を解けるようにするだけです。コラムなども読んで、入試問題のネタを探していきましょう。

 さて、以上が理系出身の私が考える、歴史の勉強法です。
 ポイントは、まずは最速で基礎を憶えること、そして、後は論述でアウトプットすることです。私大の受験でも、近年論述が増えてきています。私も、東大のためにおさえておいた典型論述が出題されたおかげで、早稲田大法学部に一般入試で合格することができました。皆さんも、教科書片手に、ガンガン演習していきましょう。


 さて、歴史の勉強法の概説を終えたわけですが、この記事で主に伝えたかったのは、

理系から見ると、社会はアウトプットを適切にしていけば確実に成績が上がる科目

であるということです。
 したがって、記事全体の要点中の要点は終了したことになります。

 しかしながら、歴史の具体的な勉強法や、他の科目の勉強法も気になる!という方もいらっしゃるでしょう。
 以下では、残りの文系科目、そして理系科目文転のアドバイスなどを軽くまとめています。理系科目は、文系科目よりはあっさりした内容になりますが、少しでも読みたい!と思ってくださった方、そして私を応援してくださるありがたい方(もしいらっしゃればですが......)は、ご支援いただければ幸いです。
 内容は、

歴史 残り約1500字
残りの社会 約500字
国語 約1500字
英語 約2000字
理系科目 約2500字
文転アドバイス 約1200字
まとめやコツなど 約1200字

となっております。

[注] 2022/9/25
これまでにご支援いただいた方々、誠にありがとうございました。
公開から1年半以上経ち、参考書情報などの鮮度も低くなってまいりましたため、このタイミングで価格の変更を行いたいと思います。
旧価格 240円
新価格 100円
です。よろしくお願い申し上げます。

2-1-4.世界史に固有の話題

 ここからは、世界史の参考書具体的な暗記順について触れていきます。

 まず、
   ・『実況中継』『ナビゲーター』『見取り図』などの通史解説系
は、一回「物語として読む」のに最適なので、はじめに触れておくのが良いと思います。しかし、論述のアウトプットの参考には教科書の「硬い文体」が適しているので、「理解した」と思ったら教科書に移行するのが良いと思います。安く済ませたい場合は、いきなり教科書でも良いでしょう。

 続いて、基礎知識の定着には、
  ・一問一答
  ・書き込み教科書
  ・『時代と流れで覚える!』
などが向いていると思います。一問一答は論理関係に意識を向けないと後々苦労する、とも言われますが、最初の定着にはもってこいです。
 なお、一問一答は「山川派」と「東進派」とで好みが分かれますが、これは自分に適した方で問題ないと思います。

 論述は、
  ・『世界史論述練習帳new』
などが人気ですが、この「もぎせか資料館」(https://www.mogiseka.com)というサイトの「問題集」のページには、実際に駿台の授業で使われている論述が無料で掲載されているので、こちらを利用しても良いでしょう。実は、このサイトには講義系参考書や穴埋めノートの原稿も眠っています。

 さて、暗記順ですが、個人的には国別に憶えるのが良いと思います。
 教科書はすべての地域を時代順に書いているので分量が多く感じられますが、一つの国に絞って読めば、比較的短時間で現代までたどり着くことができ、やる気上昇につながります。また、いわゆる「縦」の歴史の感覚も身についていくので、論述対応力も上昇します。イスラームなどは王朝の交代が多いですが、イスラーム史としてまとめて憶えてしまうと、混乱しにくいかと思います。
 ただし、東西交易や大航海時代(大交易時代)などは、「横」の歴史がテーマですので、その都度、横に参照していくと良いでしょう。

 最後に教科書について、大きく山川と東京書籍で二分される人気がありますが、私立大志望であれば山川国公立大志望であれば東京書籍が良いと思います。また、帝国書院の世界史Bも、コラムなどが充実していますが、少数派なので、あまり持っている人がいないですね。

2-1-5.日本史に固有の話題

 日本史は、何より教科書が重要になってきます。特に、山川の『詳説日本史B』の右にでる教科書はないと言われています。中には、時代によっては別の教科書が良い、という意見もありますが、ほとんども場合は詳説日本史で事足ります。従って、最初の定着も『詳説日本史B』で良いと思います。
 ただし、世界史でも紹介した『時代と流れで覚える!』は、センターレベルの用語をスムーズに憶えられる名著ですので、暗記にはそれらの参考書や一問一答を併用するのも良いでしょう。

 論述は、予備校ごとに解き方が異なる科目でもあるので、インターネットで人気の参考書から、自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。具体的には、「用語重視」で「論述はいかに既存の知識を結び付けられるかを問うている」という考え方と、「文脈重視」で「論述は用語よりも歴史的背景を細かく説明するものだ」という考え方があります。個人的には、両者の間を取るような解答、すなわち「それなりに日本史用語をちりばめつつ、用語だけでなく文脈的な説明もする」解答が無難かとは思いますが、論述練習の過程では、自分に適した方で良いと思います。

 暗記の順番ですが、日本史はテーマ別に憶えるのが速いでしょう。日本史は大きく、
  ・政治史
  ・社会経済史
  ・外交史
  ・文化史
に分かれていますが、政治史だけであれば、日本史の負担は半減します。そのため、まずは政治史をさらって時代の流れを把握し、その背景を理解するという認識で、社会経済史や外交史を憶えていくのが良いでしょう。文化史は、ある程度は独立しているので、全時代まとめて集中して憶えきるのが良いと思います。

 社会の残りの科目に関しては、二次試験で使用していないため、軽めに紹介していきます。

2-1-6.地理

 地理は受験科目としては勉強していないので、不正確なことを発信しないように、執筆をやめておきます。ただし、私が選択していないだけで、理系にとって地理は楽という声は多く聞いたので、文転する人にオススメできる科目ではあります。

2-1-7.倫理

 高校倫理は独特な科目ですが、理系から見ると、非常に勉強しやすい科目となっています。

 倫理の大半を占める思想史の部分は、「人」と「思想」との対応関係がわかりやすいためです。
 ノートを2分割し、左側に人名、右側に思想(特徴的な用語を羅列し、説明は省く)を書いていけば、5ページ足らずでまとめることができます。あとはそのまとめを憶え、わからない単語に関して教科書を読んでいけば、比較的短時間で修得することができます。

2-1-8.政治・経済

 政治・経済は、初見でもなんとなく知っていることが多い反面、意外と暗記量も多く、苦労する場合があるでしょう。こちらも、積極的にアウトプットで憶えていきましょう。政治分野の判例など、複雑な部分はありますが、旧センター試験の過去問題集などを通じて、どこが問われるかを意識していけば、効率よく学習することができます。
 歴史系科目と異なり、どの分野から始めても流れを理解できるので、得意かつ出題頻度が高いところから、知識を塗り固めていくことが重要です。

2-1-9.現代社会

 現代社会も受験科目としては勉強していないので、不正確なことを発信しないように、執筆をやめておきます。こちらは、倫理、政治・経済と近い科目なので、そちらの内容も参考になるかと思います。

2-2.国語

 国語は、ぶっちゃけてしまうと、理系時代もっとも軽視していた科目でした。結論からいうと、今でも国語はそこまで勉強しなくて良いと考えています。しかし、これは勉強時間の問題であり、国語という科目自体の重要度は、英数に並んで高いものです。勉強時間について具体的にいうと、国語は「古文漢文」を憶えれば、あとはアウトプットあるのみです。

 すなわち、国語で最初にやるべきなのは、古文漢文の文法・句法・単語の暗記です。高校範囲の文法や句法などは一定量のものなので、自分に合った参考書を選べば良いでしょう。意外と盲点なのは、漢文単語の暗記です。漢文の単語帳などはあまり目にしませんが、漢文の世界にも独特の単語や漢字の用法があります。漢文参考書に付随してまとめられていることが多いので、憶えてしまうと良いでしょう。

 一度文法や句法、単語を憶えてしまえば、あとは英語と同じです。すなわち、古文漢文を外国語として捉えることで、随分気持ちが楽になります。古文漢文は「日本語なのに読めない」ものではなく、「慣れれば速く読める」ものです。はじめに書いた通り、ここからは集中して勉強する必要はありません。週に何度か、長文を読んで復習することで、自然と速く読めるようになっていきます。

 文法問題以外の解き方は、現代文と共通しています。

 現代文の勉強は、一番戸惑う受験生が多いのではないでしょうか。受験生であれば漢字は最低限読み書きできるとして、読解は一朝一夕で上達するものではありません。まずは「精読」を修得することです。精読には、論説文がもってこいです。論説文には、いわゆる「ディスコースマーカー」を始め、論理の流れを明確にするための目印が複数あります。学校の授業や、基本的な参考書でこちらを抑えると良いでしょう。精読に慣れてきたら、次は段落ごとのつながりを意識した大局的な読み方を身につけることを目指しましょう。筆者が意見にどう説得力を持たせていくのか、文章全体の結論は何か、といった俯瞰的な視点を有することが重要です。これらを通じて、文章が読めるようになったら最後は解答力です。記述問題の典型的な解答パターンを、演習を通しておさえましょう。現代文に関しては、勉強する前から「意味はわかる」ことが多いと思うので、早期から過去問に着手しても良いと思います。自分で記述問題の答案を書くことに慣れてきたら、その様式に一番近いものが、選択肢問題でも解答となります。
 選択肢問題の解答は、「正しいもの」でなく「最もふさわしいもの」なので、記述答案として△でなく○がもらえるものが答えとなるのです。そのため、はじめに、記述問題で△と○とを書き分けられる力を身につけておくことが重要なのです。

 文系で元から国語が得意な人に勉強法を尋ねると、「読めばわかるよ」などと言われ、面食らうことも多いでしょう。しかし、「読めばわかる」の実態は、「精読」を「大局的に結びつけ」れば、記述問題はそれを書くのみで、あとは「記述問題の考え」で選択肢を選べば「わかる」ということなのです。

 理系目線で書くと、数学で問題を解く際に典型的な流れがあるように、国語の記述にも典型的な流れがあるのです。演習を重ねてその型を身につければ、国語が苦手になりがちな理系の方でも、点数を得ることが可能になります。

 理系にとって論説文以上に難解なのは小説文ですが、論説に慣れてしまえば問題ありません。論理の流れを、心情や場面の流れに置き換えて考えれば良いのです。問題として出される以上、心情にも因果があります。感情に流されず、その因果を冷静に読み解くことが鍵になります。

 古文漢文の読解問題も同じです。古文には古文の、漢文には漢文の典型的なパターンがあります。それを身につけてしまえば、怖いものはありません。例えば、漢文だったら、結局比喩として政治を諫めていた、というパターンを一度は見たことがあると思います。

2-3.英語

 英語も、理系が苦手とする科目の一つです。特に、高校に入って勉強法がよくわからなくなった方も多いのではないでしょうか。英語は闇雲に読んだり聞いたりするのではなく、一分野一分野徹底的に「勉強すべきところを勉強する」この意識が重要です。

 中学の英語は、新出の文法を憶えて、それを運用していくのがメインでした。つまり、「過去形」や「現在完了形」などのわかりやすい単元が多かったと思います。
 それに対して、高校英文法は、細かい用法の知識が中心になってきます。「この動詞は自動詞で〜」「no more thanとnot more thanは意味が違って〜」など、どこまで憶えれば良いか不安になることが多いでしょう。そして、英文法をマスターしても、さらに読解の参考書、単語帳、などと勉強分野が広がっていきます。

 まず大事なのは、英語の内訳をしっかりと把握することです。社会が「日本史」「世界史」などと分かれているように、国語が「現代文」「古文」「漢文」と分かれているように、英語も各分野に分かれています。

・単語、熟語(語彙)
・発音、アクセント
・英文法
・英文解釈、長文読解、英文和訳、要約
・リスニング
・英作文
(・スピーキング)

 まずは、自分が苦手な箇所を意識するのが重要です。なんとなく「英語ができない」のではなく、「文法が苦手で読めない」か「解釈が苦手で読めない」か「長文だと読むのが間に合わない」かなどを分析することが重要です。学習する分野が決まれば、あとは他の科目と同じ世界です。

 英単語が苦手な人は、まず単語帳を一冊仕上げましょう。よく単語帳ごとのメリット・デメリットが囁かれていますが、自分に適したもので構いません。例えば『ターゲット』は、語法や多義語には弱いとされていますが、メインの単語を「とりあえず重要な意味はわかる」ようにしておけば長文読解がかなり楽になるので、「まずは読解に必要な語彙を身に付けたい」という人に向いています。一語一義であれば反復がしやすいですしね。逆に『鉄壁』は、総合的な英語力がかなり身につきますが、初学者にはハードな一冊です。自分の適正に合わせて、憶えやすい単語帳を選びましょう。個人的には、英単語は語源で憶えるのが好みです。ラテン語の前置詞などをおさえておくと英単語は一気に憶えやすくなります。

 発音、アクセントは、本当は奥深いところですが、入試を考えれば頻出単語を確認すれば十分です。『Next Stage』のまとめなどを活用しましょう。

 英文法が苦手な場合は、まず時制など「概念を理解すれば得点できる」ところを固めましょう。最後に語法を残しておき、特に憶えづらいものはリストアップしてまとめておきます。それをテストや模試のたびに確認していけば、入試までには確実に間に合うはずです。

 英文解釈系は、極論を言えば、読めれば解ける分野です。はじめはカッコなどを書き入れていき精密に読む方法を習うかと思いますが、その方法をマスターすることが目標ではありません。徐々に長文に慣れていき、構造がわかりやすい文であれば、構文を解析しないでも前から意味が取れるようにしていきましょう。現代文と同じで、長文であれば具体例を飛ばし読みする、トピックセンテンスをしっかりおさえておく、などの大局的な視野も必須になってきます。要約などは、国語力にも関わってきます。まずは、和訳を読んで模範解答のように書けるか、というところからチェックしていきましょう。

 リスニングは、よく多聴が良いとして、英語のニュースや「TED」などがオススメされています。確かにこれらを聴くと英語力が伸びますが、入試の得点力には他の要素も必要となります。すなわち、問題文を先読みして選択肢を絞りながら聴いたり、どこが問題になるかを推測したり、聞き逃してしまったところの答えを残りの部分からなんとか推理したりするような力です。このような力はリスニング問題の演習でしか伸びません。リスニング問題を聴き、リスニング問題で演習する。これが入試の最短ルートです。もし、手元の問題集で物足りないのであれば、再生速度を変えてトレーニングしてみましょう。

 英作文は、どれだけ自分なりの表現を持っているかが鍵となります。よく邪道だとは言われますが、結局、「どこでも使えるフレーズ」をたくさん憶えておいて、それを組み合わせて解くのが確実です。長文読解で「この言い回しを英作文で使えたらかっこいいな」と感じたものがあったら、英作文用のノートにメモしておきましょう。フレーズが揃ってきて、どのような問題でもなんとなく書けるようになったら、臆せず誰かに添削をしてもらいましょう。少し英語が得意な友だちでも構いません。「DeepL」など翻訳サイトの結果と比べてみるのも良いでしょう。第三者の目線が入るというのが、とにかく重要です。

3.文系から見た理系科目

 ここでは、文系科目の勉強を始めたあと、こう理系科目を勉強すると楽だな、と気付いたことをまとめます。私は入試では最終的に文系を選びましたので、こちらは参考程度に軽くまとめておきます。

3-1.数学

 数学といえば、『チャート式』や『フォーカス・ゴールド』などの分厚い参考書をとにかく解かなくてはいけないという観念が強く、参考書の分量に嫌気が差してしまうことも多いですよね。しかも、理系の場合はそのような問題集でも比較的スムーズに解けることが多く、漫然とその量を受け入れがちです。しかし実は、高校数学で憶えなくてはいけないことは、ノートでいうと5~10ページに収まる程度にまとめることができます。世界史や日本史に比べたら、驚くほど少ない内容です。
 数学の入試問題を見ると、「見たことない、解けない」と焦ってしまうことも多々ありますが、ポイントは、絶対に「高校範囲の何かで解ける」ということです。ノート数ページほどにまとまる解法パターンのいずれかで解けるのです。この、「範囲を意識する」ことは非常に重要です。
 例えば、わけのわからない図形の問題が出たとします。ベクトルを用いて計算しようとしても、途中で詰まってパニック、などありそうな展開ですよね。しかし冷静になってみると、高校範囲の図形の問題は、「初等幾何」「座標計算」「ベクトル」「複素数平面」のいずれかで必ず解けるわけです。ベクトルでなくて座標計算にすれば簡単に解けた、という問題もあります。
 したがって、最初は、『チャート式』などの網羅型参考書を解くのが重要だと思います。しかし、その後は、自分でどの解法を用いれば良いかという「解法のフローチャート」をまとめ、どんな問題が来ても「どれかに落とし込めば必ず解ける」という状態に持っていくのが理想です。
 「漸化式だったらこのパターンのどれか」「最大最小だったらこのパターンのどれか」「軌跡と領域だったらこのパターンのどれか」と、なにが来ても問題がないように解法への落とし込みを練習しておきましょう。
 もちろん、たまにはどれにも当てはまらない新しい問題もあります。そのような問題に出会ったときは、また解法フローチャートに新しく書き加えておきましょう。

3-2.物理

 物理は、非常に得手不得手が分かれる科目だと思います。
 それ以前に、「意味」重視で勉強するか、「式」重視で勉強するか、で派閥が分かれますね。もっと言えば、微分積分を使うか使わないか、などもよく論争になるテーマです。これに関しては、得意な方で勉強すればいいかとは思いますが(単振動などは微分積分が楽だとは思います)、いずれにせよ、重要なポイントがあります。それは、意外であり、反発を受けることだと思いますが、物理こそ最大のインプット科目だということです。つまりどういうことかというと、物理は全科目の中で、最も少ない暗記で何とかなる科目だということです。
 物理といえば、暗記科目の正反対、理解をしないと暗記なんて役に立たない、むしろ暗記することなんてない、という方も大勢いらっしゃると思います。私も、はじめは理解からというのは同感です。しかし、こと受験を最短で攻略するには、物理ほど暗記が役に立つ科目はありません。どういうことか、具体例を挙げてみましょう。
 先に書いた単振動であれば、「つり合いの位置と軸の決定→力を図に書き込み運動方程式に→角速度から周期、振動中心から振幅→困ったら円運動の射影」と一行で大半の問題に通用する解法をまとめることができます。そして、こちらもまとめた公式や解法を憶えておくのです。こう聞くと、余程の暗記魔人でない限り不可能な荒技、という雰囲気がありますが、物理は数学に比べてパターンも少ないので、ノート3~5ページ程度にまとめることができます。そして、一度解法をおさえておけば、数学以上に多くの問題が解けてしまうのです。この際、「どう解くのかな」「これで合っているのかな」という思考に要していたはずの時間を短縮することができます。
 もちろん、その解法を実践に適用させるための問題演習は必要です。しかし、一度まとめてしまい、その後問題集を1周して一通りの適用を身につければ、いきなり過去問に挑戦することも可能なほどとなるでしょう。
 物理で行き詰まったら、「解法暗記」という文系的な視野を持ってみることをオススメします。

3-3.化学

 化学は、理系といいつつ暗記もある程度必要、という認識があると思います。特に、無機化学の分野は暗記量の多さに辟易している受験生も多いことでしょう。
暗記が必要というのはその通りで、化学を勉強する際ははじめに理論を1周したあと、無機や有機の暗記内容を重点的に抑えてしまった方が良いです。確かに量は多いのですが、確実な得点源になります。化学は入試でも反応式を書けば1点、といったケースが存在するので、暗記事項をまとめて、すきま時間に憶えてしまうのが最適です。暗記ですが、おそらく「理科なのに憶えなくてはいけない」というギャップが、やる気を無くさせているのだと思います。一度英単語や社会の存在を思い出し「そちらに比べれば」とやる気を奮い立たせていきましょう。化学はアルファベットを日本語の言葉に対応させることで語呂合わせを作りやすい科目でもあるので、友人と語呂合わせを披露し合うなどの体験を経ると、その過程で憶えられると思います。また有機化学は、構造決定に用いる道具(有機化学の反応一覧)を20個ほどはじめに憶えてしまうと、安定して得点が可能になります。もちろん、高分子分野も別に押さえておきます。これらで「最低限の得点はあるぞ」という自信をつけることで、化学を得意科目にしていく道が拓けていきます。
 理論分野は難解な箇所が多いですが、平衡などの難所こそ、パターンをしっかりと頭に叩き込みましょう。何度も繰り返しますが、文系から見ると、「そのくらいのパターンなら憶えれば絶対解けるのにな」というイメージです。典型問題のインプットをしっかりとしていきましょう。
 最後に付け加えると、化学は目新しい問題が出ることも多い分野です。ミカエリス・メンテンの式などの発展的な典型問題まで、しっかりと意識しておきましょう。

3-4.生物

 生物も、受験科目としては勉強していないので、不用意な発信をやめておきます。参考書は少ないですが、教科書や『キャンベル生物学』が良書と聞きます。『リードα』などには暗記事項をまとめるページもあるので、そちらを活用してアウトプットしていけば、物理や化学のように得意科目にできるのかな、と思います。

3-5.地学

 地学も、受験科目としては勉強していないのですが、一つだけ、アドバイスをしておきます。基礎でない地学の受験生は、とても希少で、特に上位層では非常にレアな存在となっています。そのため、先人の地学受験生は後輩のために有益な情報をTwitterなどに残している場合が多いです。受験のためにSNSを断っている方もいらっしゃるかとは思いますが、地学に関しては、そういった情報収拾も重要だと思われます。

4.簡潔なまとめと暗記のすすめ

 ここまでをまとめると、

文系はアウトプット重視で組み立てた方が良い
理系はインプット重視で組み立てた方が良い

ということになります。従来の価値観は真逆であるため、この考えを取り入れることで周りとの差別化を図ることができます。具体的には、

文系は論述を書いて憶えると、暗記の助けにも論述対策にもなって一石二鳥!
理系は解法パターンを憶えると、いつでも解けるという安心感が出る!

ということです。しかしながら、両者ともやはり暗記が鬼門となってしまいます。
 暗記は、「質」「量」が重要です。
 まずは、です。人間は、五感と結びつけると記憶がしやすくなります。「書きながら憶える」「音読して憶える」などが効果的なのはそのためです。また、「エピソード記憶」も重要です。「先生があの雑談とともに話していた」「あれを勉強したあとのご飯は豪華で美味しかった」など、思い出す材料は多ければ多いほど助けになります。エピソードが生まれたら、積極的にノートの隅へとメモを書き込んでいきましょう。五感やエピソードに訴えかけるという意味では、語呂合わせもかなり効果的といえますね。
 は、20回が基準となります。どんなに憶えづらいことでも、20回反復すれば、頭に引っかかるようにはなります。どうしても憶えられないときは、一旦の目標を20回に定めて頑張ってみましょう。

5.文転のアドバイス

 さて、この記事は、恐らく私のように文転をする人に一番ささる記事だと思います。そこで、少々ニッチであるとは思いますが、文転受験生向けのアドバイスを書いておきたいと思います。文転に興味のないみなさまは読み飛ばしてください。

 まず、文転するかどうか迷っているみなさん。ポイントは、社会がどれくらいできるかではありません。英数国がどれくらいできるかです。社会は、文転する前はできなくて当然です。しかし、英数国に穴があると、社会の勉強時間の足をも引っ張ってしまいます。数学は、理系の中では苦手でも良いですが、国立文系数学や、私大経済系学部の数学入試で苦労しない程度の力があると良いと思います。国語は、「理系の中では得意くらい」が望ましいです。英語も、単語や文法などで勉強しなくて良い程度には完成していると良いと思います。現役生はもちろん、英数国を伸ばしながらでも良いですが、高卒生は、英数国はメンテナンス程度と考えておきましょう。このことで、社会に専念して文転成功、というルートが見えます。新たに社会を始めるのは、非常にリスクの高いことです。理科が苦手、計算ミスが多い、などを理由とした文転では弱点をカバーできますが、英数国が苦手だと、結局そこがネックになる場合が多いです。英数国の実力を見て、文転を判断しましょう。

 そして、社会を新たに始める場合ですが、上に書いた通り、社会は先手必勝です。夏の模試シーズンまでに基礎知識は一通り完成させることを目指しましょう。なお、科目選択ですが、地理や経済は理系に有利な社会科目と言われています。しかし、「日本史・世界史」や「世界史・地理」などの組み合わせは、重複する内容もあって相乗効果も期待できるので、志望校の必要科目数などを見て、得点が期待できる科目を選択しましょう。ちなみに、一橋大学には「ビジネス基礎」という短時間での逆転合格が狙える科目もあります。

 国公立文系に転じた場合のすべり止めですが、私立大文系は社会の難易度が高い場合が多いです。共通テスト利用や数学利用入試で私立大をおさえられるプランを練っておきましょう。また、東大志望の方へのアドバイスですが、国立後期は理系に比べて上位校の選択肢が少ないです。京大法学部などを狙う場合は小論文も必要となりますので、自分の適正に合わせて慎重に検討しましょう。

 予備校の選択ですが、一般に、理系は駿台、文系は河合という風潮があります。確かに、予備校によっては、講習を受講しないと通史が完成しないなど、文転者は注意しないといけないカリキュラムな場合があります。事前に予備校のwikiなどで各授業の内容を調査しておきましょう。成績上位者の場合、予備校によっては学費が安くなる場合がありますので、調査は徹底しておきましょう。

 仮面浪人をする場合、理系学部での仮面浪人は実験系の授業が負担になることが多いです。必修授業の負担などを考慮した上で、仮面の決断をしましょう。宅浪は、そもそもの意志力が問われてしまうため、友人でも成功率は低い印象です。予備校を選択できるのであれば、通っておきましょう。

6.新しい分野に踏み出す人へ

 新しい勉強を始める方へ。今から始めても間に合わないのではないか、と尻込みしてしまうことも多いかと思います。しかし、勉強に早いも遅いもありません。はじめは遅れをとっていても、その後の努力次第でいくらでも追い越すことができます。
 私は、1年間で現役生・高卒生を大勢まくり、世界史・日本史をイチから始めて東大文系に合格者平均点を大幅に超える成績で合格しました。

 重要なのは、好奇心とプライドです。新しいことが気になると思ったら、徹底的に突き詰めましょう。よく、参考書を買っただけで満足してしまう受験生が批判されますが、私は参考書コレクターも悪くないと思っています。新しい本には、新しいことが書いてある。それを求めるのは向学心の証拠です。もちろん、どれも少しずつつまみ食いする、といった使い方は非常に勿体無いので、参考書間で比較しながら用いるなど、有益な勉強をしてください。
 そして、プライドも重要です。新しいことを始めると、その時点では先人たちに大きなビハインドをとっています。それを悔しいと思う気持ちが大切です。自分の才能を信じて、必ず追い越せると信じて、勉強を重ねていきましょう。
 コツは、分析です。入試との距離を分析し、何が足りないかを把握し、それを確実に攻略するスケジュールを組み立てて実行することです。漫然と「夏までに英語の偏差値を20上げるぞ」と考えていても、大抵は上がりません。しかし、「夏までに過去問を1日30分毎日音読しながら脳内復習するぞ」「3日に1回は英作文を添削してもらうぞ」などの具体的な苦手克服プランを完遂できれば、自然と偏差値が20上がっていることもあるでしょう。

 私の座右の銘を最後に書いておきます。

But sooner or later the person who wins is the one who thinks he can!
(有名な詩の一節、作者は諸説あり)

遅かれ早かれ、勝つ人は、勝てると思っている人さ!


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