Column オフィスの未来像

オフィスは時代とビジネスと共に変化を繰り返してきました。 2G、3G、4G、そして5G時代の到来による通信の進化は、働き方に劇的な影響を与えてきました。 1990年代以降、コンピューターやインターネットがオフィスに登場して以来、今やスマートホンやタブレット一つで仕事が完結できる時代になりました。
 
マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)は、2017年の重要な研究「失われた仕事、得られた仕事:自動化の時代の労働力の移行」で、作業活動の最大1/3が2030年までに完全に自動化されると推定しています。AI、インテリジェントオートメーション、IoT、機械学習などの技術は、今後の働き方を革命的に変化させるでしょう。
 
このコラムでは、5G時代到来及び2030年までに導入が想定されている6G時代により、働き方やオフィスがどのように変化していくかをみていきます。 テクノロジーの進化がもたらす未来のオフィス環境への影響を、下記の7つの技術と革新を通じて紹介します。 

①   人工知能

近い将来、人工知能により、オフィスデザインや働き方を劇的に変革する可能性は無限大です。 将来のオフィスは、全ての従業員がAIやロボットと緊密に連携し、人間とボットの相互作用を促進するタッチスクリーン、仮想技術、共有インターフェースが完全装備されると想定されます。 また、将来のAIシステムは、一連の定義された基準と事前に書かれたアルゴリズムに基づいたオフィスデザインが可能となります。

②   アンビエントテクノロジー

将来のオフィスは、センサーとAIを活用したアンビエントインテリジェンスにより、オフィスにいる人物や活動を特定し、それらのニーズに適応することが可能となります。 たとえば、人が複雑なタスクに取り組んでいる場合、システムは照明と温度を自動的に調整し、深い集中力を促進することも可能となります。 

③   IoTとウェアラブル

今後は、IoTとウェアラブルにより生活様式は劇的に変貌します。 将来的には、企業はIoTとウェアラブルを活用し、業務の効率化、生産成向上に繋げる効果を期待されています。 これらのソリューションをAIと機械学習の1つのシステムに統合することで、人間の介入なしに、オフィス環境(周囲知能)や作業タスク(バーチャルアシスタント)に関連する意思決定が可能な「スマート」デバイスとなり、生産性、効率性、安全性の向上を図りながら、全体的な経費の最適化に繋げることも可能となります。

④   拡張現実

物理世界と仮想世界の両方をマージすることで、ARは働き方において大きな影響を与える可能性があります。 ARは空間が従来の感覚モダリティを超えて情報を「放出」する事を可能にします。 材料や光、音、触覚などに関するものに留まらず、さらに、社会的、経済的、文化的、ユーザビリティ情報も「放出」すると想定されています。 

⑤   音声対応オフィス

2022年現在、音声認識市場はすでに144億ドルの業界に成長しており、今後10年間で15%の年平均成長率が想定されています。 AmazonのAlexaなどのVoIPはじめ、将来の音声インターフェイスは、単にルーチンタスクを実行するだけでなく、より大きなインテリジェントシステムに結びついた意思決定や問題解決を行うことが想定されています。 

⑥   グローバル化された従業員

ビデオ会議、ワイヤレスデバイス、共有インターフェイス、共同ソフトウェア、バーチャルリアリティの進化により、従業員はどこからでも作業できるようになります。 それに伴い、従来型の会議室は時代遅れとなり、将来的には、会議室には3Dプロジェクターとビデオ会議参加者の360度ビューを映し出す壁面スクリーンが装備されたウォークイン施設が可能性となります。
その為、出社の頻度は低くなり、物理的なオフィスは、効率的且つ小規模となるでしょう。 

⑦    ビッグデータ

2030年までには、オフィスデザインにおけるビッグデータと分析は標準装備されると想定されています。センサーやウェアラブル、IoTを使用し、リアルタイムのスペース利用データを組み込むことによって、従業員のエンゲージメント、生産性、幸福感を効果的に促進する事が可能になると想定されています。
 
ここまで7つの技術と革新を紹介しました。 これまでの日常生活や働き方が、今後はよりシームレスなエクスペリエンスへと進化することは確実でしょう。 スマートフォンがもたらした革命的な影響は、今や常識となったように、5Gと6G時代がもたらす技術と革新、データ活用は、働き方やオフィスに留まらず、企業の営業やマーケティング、ファシリティマネジメント、経理、人事、ビジネス、商品開発といった経営機能にも革命を起こす事となるでしょう。

参考:https://www.officeinspiration.com/en/event-tipp-en/future_offices/
・本記事の内容は、公開日時点の情報をもとに作成しています。


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