「昭和のキハとバスの夜」茨城交通1102&ひたちなか海浜鉄道キハ205貸切乗車会 ②昭和のキハとバスの夜ができるまで
クリスマスの貸切乗車会
じゃあいつの貸切をするかと考えた時、ふとクリスマスが頭によぎった。恋人や家族と過ごすのがステータスとされるこの日を、ヲタクらしくでも最高の日に仕上げられないかと思ったわけだ。
いくらキハ205が貴重ととはいえ、稀ながらも通常のダイヤでも乗ることはできる。「自分らしい貸切会をしたい」という目標が浮かんだのもこのころだろうか。
その答えが、列車だけでなくてバスも加える。よく貸切が実施される昼ではなく、夕暮れから夜の時間帯とする。昭和に浸りながら、貴重な鉄道やバスの車両、そして仲間に囲まれてクリスマスを楽しむ。そんな企画を作ってみた。
夢物語をみんなの企画へ
自分がつくった計画はこうだ。
・名称「タイムスリップクリスマス 昭和のキハとバスの夜」
・2022年12月25日(日) 茨城交通1102号車が昼過ぎに茨大前営業所を出発→水戸駅でさらに参加者を乗せ、那珂湊営業所で撮影。現地集合の参加者と合流し、湊機関区を見学。17時台からキハ205に乗車し、湊線を1.5往復。そしてまた1102号車で水戸駅・茨大へ帰る行程。
・キハ205車内ではご当地「みなとの多幸めし」や瓶ドリンクを配布。
・トラブルや法令違反を避けるため仲間内で黒字にならないよう実施。
…正直最初は12月24日にしようとしていたが、さすがにそれはと友達に突っ込まれ、25日にした。あと名前、単に「昭和のキハとバスの夜」だけでよかったような気がする…
ひたちなか海浜鉄道様、茨城交通様に事情を話し、ありがたいことに快諾頂けて、列車やバスの時刻の調整も難なく対応いただけた。自分は参加者向けのおもてなしを計画する。瓶ドリンクの仕入れはどうしようか。記念品は作れないか。放送なども一工夫したい。いろいろな思いが浮かんできた。弁当の配布などもあるから、今回は自分一人で運営するのは難しい。友達に手伝いを依頼した。
2022年春、事情があり埼玉県のアパートを出て水戸の実家に戻り、都内まで通勤する日々。祖母が倒れたり、職場で多数のトラブルに見舞われたり、夜勤などで疲労に悩まされたり。正直自分は心身ともに疲れ切っていた。
だからこそ、このイベントをやり遂げることを目標に日々を送った。時には手伝いを依頼した友達とペースが合わなくてお互い困惑したときもあった。それでもいつしか、「今までの経験を全部生かして力を入れてやりたいんだ」と周りに言うようになっていたし、仲間もそれについてきれくれた。
家に届く瓶ドリンクを見て、早く当日が来てほしいと強く思った。
友達に描いてもらった記念カードをプリントして、サンタさんの帽子を買って、参加者一人一人にメッセージカードを書いて、眠りについた。
そして当日、昼10時に起きるつもりが、朝焼けの輝く6時に目が覚めた。車で友達が迎えに来てくれるまでの時間が長くて仕方ない。「本当に始まるのか?」「もしうまくできなかったらどうしよう?」期待より不安が大きくて押しつぶされそうだったが、家の扉を開け、暖かな太陽に見守られ、荷物を積み込み、茨大前営業所に向かった。