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放浪記 8/13

永遠に連なる丘を広い道で開いた街は、常に北を目指す。
ジャンクションにひっそりと建つ営業不明の餃子屋は、タワーのようで、薄暗い、人影のない店内から外へと煙が音を立てて伸びる。
家家はおもちゃのようで、カラフルに塗られていて、龍の形の入道雲の為にあるような、簡単な形をしている。

向日葵からは程遠い途轍もない道のりに思えるトンネルの中には、塞がれた扉があり、その頭上から小鳥の囀りが聞こえるが、見えるのは茶色い鳩のみである。
外は冗談みたいに明るくなって、用途を知らない四角く赤い箱が三つ立っている。
ここからは皆動物の肉を煮込んで、焼肉屋の横に斎場があり、死人はその正のジレンマを、空から羨む。

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