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タイ地下格闘技・FIGHT CLUB THAILANDがカオサンロードに進出!!(2024年9月23日)

タイの地下格闘技団体のファイトクラブタイランドは9月23日に、バンコクのカオサンロードで、全20試合のムエタイ、ボクシングの大会 "CHANG NIGHT FIGHT CLUB" を開催した。

ファイトクラブタイランドはバンコクとその近隣の県を中心に、タイ各地に支部を持ち、持ち回りで1~2カ月に1度大会を実施している。工業団地内の空き地や、川沿いの橋の下のスペースなどで行われるが、バックパッカーの街で観光客も多いカオサンロードで大会が行われるのは初めて。

ファイトクラブの大会は基本的に、入場料無料で行われるが、試合の配信によるSNSやYOUTUBEからの収入や、個人商店や中小企業などのスポンサーが付いたりということで運営費を賄っている。

カオサンロード進出にあたっては、ビール会社のチャーン(象のビール)がスポンサーに付いてバックアップし、大会名を"CHANG NIGHT FIGHT CLUB" とした。その為、出場者は白と緑のチャーンビールのTシャツを着て試合をした。ファイトクラブは上半身裸で戦うのが常だが、ビールのPRになると共に出場者の多くがその身体に入れているタトゥーがシャツで隠れた。

選手は緑と白の「チャーンビール」のシャツを着て試合

ファイトクラブは、不良の更生の場としてタイ最凶ファイター・コントゥアラーイ・JMボクシングジムとその仲間たちが10年ほど前に始めたもの。不良同士の揉め事があると、それをファイトクラブに持ち込み、衆人の中で殴り合ってすっきりさせる。勝敗を決める判定はなしで、ダウンしても何度でも立ち上がって、少し休憩してから3分間の戦いを続けることができる。

もちろんレフェリーやドクターが試合ストップすることもある。無判定ではあるが、見た目には勝敗がはっきりすることを望む観客もおり、スポンサーがKO賞金を出すケースも出てきた。

今回は、タイ地下格闘技の有名選手からプロボクサーに転向していたジョーカーが久しぶりにファイトクラブに復帰し、同じく地下格の有名選手、コーン・PYGと対戦することもあって、ファイトクラブのファンが多くカオサンに駆け付け、開始時から何重にもマットを取り囲んでいた。

しかし18時の開始時間に雨が降り出して、すぐに土砂降り。カオサンロード入口付近に備え付けられたマットはびしょ濡れで、開始時間は30分以上延びるアクシデントもあった。

今回のカオサンロード大会のポスター、ラストの4組はいずれもKO賞金が設けられた。

イベント実施が危ぶまれるほどの強い雨だったが、ファンは気長に待ち、ようやくイベント開始となった。カオサンの外国人観光客も見込んで、タイ語に加えて英語のアナウンスも準備していたが、ガラの悪いタイ人が何百人と集まっているせいか、通りかかった外国人観光客が気軽に足を止めて観戦するというわけでもなかったようだ。

試合前にレフェリー兼インタビュアーは、SNSでの配信用の撮影カメラに向かって選手を紹介し、それぞれの普段の職業を尋ねるのだが、公務員、銀行員、労働者、学生、飲食店勤務など、その普段の姿は多岐多様だ。銀行員対ソムタム屋(タイのパパイヤサラダ屋)という異例の組み合わせの試合もあった。経験者の銀行員がきれいなカウンターでソムタム屋が腰を落とすと観客の盛り上がりも増す。

続けざまに、3分1ラウンドの試合が行われ、あっという間に10試合ほどが終わった。ムエタイのLGBT対決では、選手紹介で対戦相手に「恋人はいるの?」とおどけて見せるも試合が始まると表情が一変し、真剣な眼差しで攻め込んでいく姿にギャップを感じた。

3月にバンコク近郊のナワナコン大会に出場していた公務員のミッキーマウス、職業不詳の片目のジャック・スパローも出場し、それぞれがKO劇を見せていた。セミセミではスーパーミドル級のボクシングルールの試合が行われ、選手は共(ファラムトゥーク)に元プロで高レベルの駆け引きを楽しむことができた。

普段のミッキーマウス(右)は軍隊系の公務員だそう。対戦相手は大学生。
完全にKOされた選手、ドクターが様子をうかがう(じきに起き上がり、歩いて退場できていた)
75キロを越える、元プロ選手のファラムのパンチは迫力があった。

そしてセミファイナルにはインフルエンサーとしても活躍しているプー・マハムニーが登場し、ヨーン・K.T.Cと対戦した。164センチ、54キロのプーに対してヨンは180センチ、60キロとサイズも体重も違う一戦、今回のイベントで最高額のKO賞金1万9千バーツがスポンサーから提供されたが、試合開始時から両者がノンストップでパンチを交換する熱戦で、最後はプーが左右ロングフックの連打でヨーンをKOし、観客の盛り上がりはこの日最高潮となった。

人気者のプー・マハムニーはヨーン・K.T.GをKOし、賞金を獲得

そして22時を超えた頃、マット中央にカリスマ、ジョーカーと、コーン・PYGが登場すると、観客や応援団のジョーカーコール、PYGコールがカオサンの夜空に鳴り響く。著者の周りにはコーン・PYGの応援らしき人が目立っていた。

ジョーカーとコーン・PYGは実力も拮抗、短時間だが見所がある攻防
コーンPYGのハイキックがジョーカーの顔面を捉えるシーンも

トレードマークの緑に染められた髪に、チャーンビールの緑のシャツが似合うジョーカー、緊迫した攻防が繰り広げられる中、1分半を過ぎたあたりで、レフェリーがブレイクを掛けた瞬間にジョーカーのヒザがコーンの顔面、右目辺りに命中した。その場にうずくまるコーン、試合はストップされてドクターが状況をチェック。目や顔面の負傷の状態から試合は続行せず、そのまま止められた。

ジョーカーの反則打(実際は微妙)に、納得のいかないコーンの応援団や観客からの怒声が止まらない。そのままマットの中に突撃しようとするものもいたりで、暴動が起こりかねない雰囲気にもなったが、コーン本人、ジョーカーがマイクを通じてお互いを称えあうコメントをして、この場を収めた。怒りを露わにしていたコーンの応援団もやや落ち着いた様子で、何とかカオサン大会は無事に終了した。一歩間違えば騒動が起こる状況での選手二人のコメントや主催者の対応は、やはり長年地下格闘技をやってるだけあって、慣れたものだと感心した。

ドクターは試合続行を許さず。緊迫した空気が会場を包んだ。

そして、選手コール時には「現在はプロ格闘家(プロボクサー)として活躍し、あの三浦孝太とも戦った」と紹介されていたジョーカー、RWS(ラジャダムヌン・ワールドシリーズ)のメインイベントでの三浦孝太戦に抜擢されたのが1年前の7月だった。

ジョーカー・ファイトクラブタイランドとコールされ、三浦孝太と好勝負を演じたラジャダムヌンスタジアムはカオサンロードと目と鼻の先、一旦は路上に戻ったジョーカー、再びファイトクラブタイランドに参戦し、コーン・PYGとの再戦に向かうのか、プロボクシングを続けるのか、その動向は引き続き、このnoteで追っていきたい。

試合後のジョーカー、ファイトクラブでコーン・PYGとの再戦に向かうのか、
プロボクシングのリングに戻るのかは未定

↓ ↓ ジョーカー対コーンPYG、プー・マハムニー対ヨーン・K.T.Gの動画(タイ以外では視聴制限が掛かる場合もあり)


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