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192センチの"ルフィ"、ナビル・アナンがONEで4連勝~2024年8月3日ONE FIGHT NIGHT 24など

ONE CHAMPIONSHIPは、8月3日にバンコクのルンピニースタジアムでムエタイ、キックボクシング、MMAのイベント、One fight night 24を行った。当日は192センチのONEバンタム級(65キロ)の注目株であるナビル・アナンが出場し、ブラジルのフィリッペ・ロボを判定で下した。

One fight night は、アメリカのゴールデンタイム中継に合わせた時間帯、土曜日の早朝の開催で、MMAの試合が中心でメインカードは外国人同士の試合になることが多い。この日もONE・MMAストロー級暫定タイトルマッチとして行われたジャレッド・ブルックス(アメリカ)対グスタボ・バラード(キューバ)の試合がメイン。そしてセミファイナルは女子アトム級のグラップリングタイトルマッチでアメリカ対ブラジルの構図。

この日は全12試合、国際色豊かな出場者。
日本人も3人が出場したが、内藤大樹はエリアスにKO負け。

集客を目的に、セミファイナルの前にタイ人のファンに向けて、タイの注目選手の試合が入ることが多く、この日はナビルがその役を努めた。タイ人ファンにとっては、実質的なメインとも言える。

セミセミで組まれたロボ対ナビル

7月5日のOne Friday Night では、メインイベントでルンピニースタジアム王座に就いたこともある、クラープダム・ソー・チョー・ピヤウータイをKOで下したナビルは、1か月弱のインターバルでの試合出場となった。

対戦相手は2月にジョナサン・ハガディー(イギリス)の持つバンタム級ムエタイ王座に挑戦したフィリッペ・ロボで、ハガディーに3回KO負けして以来のONE登場となる。ランキングは3位をキープし、セーマペッチ・フェアテックスにKO勝ちした星を含めて、これまでONEで3勝2敗、もう1敗はノンオー・ハマに喫している。

ナビルはこの日もワンピースのルフィをイメージした帽子を被って入場、ロングレンジからのストレートなどはゴムゴムの実を食べたルフィのパンチを彷彿させる。

試合は、遠い距離からのストレート系のパンチとローキック、ハイキックと、192センチの長身を活かした戦いぶりで175センチのロボになかなか中に入らせない。ナビルの攻撃をよく見るロボは決定打をもらわないが、2ラウンド中盤、ロボの大きな左フックがナビルの顔面を浅くとらえると、ナビルの返しの右ストレートがロボにクリーンヒットし、トラブルに至ってしまうがロボは立て直し、それ以上は攻め込ませない。緊迫した攻防が3ラウンドに渡って繰り広げられ、判定決着となった。クラープダムを下して、連続KOも期待されたナビルだったが、KOはならず。ヒット数で上回るナビルの判定勝ちとなった。

ロボにとってはやりづらい長身のナビル

ナビルは2023年6月にONE初戦にスーパーレック・キアトモー9にKO負けを喫したもののONE2戦目より今回の試合までで、4連勝となった。この勝利でONEのランキング(ムエタイ)でバンタム級3位に入った。ONEのランキングは5位までなので、ランキングに入るだけでも難しい。チャンピオンはジョナサン・ハガディー(イギリス)、1位がニコ・カリオ(スコットランド)、2位がノンオー・ハマ、3位がナビルとなる。

9月7日に行われるアメリカ・デンバー大会では、ハガディーにフライ級キックボクシング王者のスーパーレックが挑戦するが、スーパーレックが勝てば、バンタム級タイトルを掛けて、ナビルにとってのリベンジマッチが実現するかもしれない。

ナビルについて簡単に紹介すると、アルジェリア系フランス人の父とタイ人の母を持つハーフで、20歳。通常はアルジェリア/タイと表記されることが多い。弟のヨニスもムエタイ選手で、こちらはフランス/タイで表記されている。弟はRWSを主戦場としているが、兄のナビルと比べると、背は高くなく、普通の体格。RWSで石田そうまを破り、ラジャのランキングにも顔を出したことがある。

弟のヨニスは石田そうまとも対戦

ナビルは2015年、11歳の時からムエタイのリングに上がり、2017年に13歳でアマチュアのIFMA世界大会で優勝し、ユース王者(-38キロ)となった。プロでは、これまでに36勝5敗の戦績を残しており、2022年にフェザー級、2023年にライト級でWBCムエタイ世界王者に輝いたこともある。

2022年にはRWSに出場していたが、2023年にONEでデビュー、いきなり対スーパーレック戦がメインイベントで組まれた。リーチ差、距離がある中でもスーパーレックは圧力を掛け続け、1ラウンド2分、コーナーに詰めたナビルにボディーストレートを決めて倒した。

ONEのデビュー戦でいきなりスーパーレック戦
スーパーレックには初回KO負け

自身初のKO負けとなったナビルは、3か月後に再起戦でナクロブ・フェアテックスにKO勝ち、ムアンタイ・PKセンチャイを判定で下して7月のクラープダム戦を迎えた。

クラープダム戦は、近距離での首相撲からの膝攻撃が有効、クラープダムもアッパーを交えたパンチで対抗するもダイナミックな膝、そして肘攻撃に押され、初回終盤には相当打ち込まれるクラープダム、2ラウンドにも同じように首相撲からの膝攻撃で倒されるクラープダム、最後のダウンはパンチをまとめられた後にナビルがクラープダムのボディを膝でえぐって終了。クラープダムはうつ伏せに倒れたまま、しばらく動けなかった。この試合をクリアしたナビルはONE側より10万ドルの本戦契約を結んだ。

クラープダムには首相撲と膝で対処

そして、ロボ戦の後のヒーローインタビューでナビルは「ONE1戦目は負けたけど、2戦目はフィームー(テクニシャン)、3戦目はムエカーオ(膝攻撃のスタイル)、4戦目はムエマット(パンチ攻撃のスタイル)への対応、そして今回はタフなロボを対戦し、色んなスタイルができることをリングで証明した。応援してくれる皆さんにもお礼を言いたい。またチャトリCEOの組む、次のファイトを待っています」と語っていたが、次戦は間を置かずに9月27日に決まった。

この日の Friday Nights 81 は武尊ブラックパンサー戦も組まれて日本でも注目されるが、ナビルの対戦相手は、ミャンマーラウェーの鉄人、ソー・リン・オーと、またしても強豪である。

注目の一戦が決定、ソー・リン・オーについては
別に紹介記事を準備中

Friday Nights  81は武尊戦の他も、注目カードが目白押しで、それぞれが通常の毎週金曜の Friday Nights のメインカードとなりうる豪華さ。その中でもONEで3戦3勝を誇るソー・リン・オー とナビルの対戦は、注目度が高く、タイのファンがSNSで最も取り上げているのが、この組み合わせである。武尊対ブラックパンサー、ナビル対ソー・リン・オー、ナビルに負けたクラープダム対スアブラックのサバイバルマッチの展望など、別に9月27日の展望記事を用意したい。

※8月3日のOne Fight Nightは現地で観戦、写真は著者が会場(ルンピニースタジアム)で撮影のものと、ONE CHAMPIONSHIPの動画より。またヨニス対そうま写真は、RWSのSNSから。

↓ ↓ ナビル対ロボ動画(タイ以外の国で視聴制限がかかる可能性あり)

↓ ↓ ナビル対クラープダム動画(タイ以外の国で視聴制限がかかる可能性あり)

↓ ↓ スーパーレック対ナビル動画(タイ以外の国で視聴制限がかかる可能性あり)


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