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「物化する計算機自然と対峙し,質量と映像の間にある憧憬や情念を反芻する」(確かに34字で行動の全てを説明できる)

落合陽一です.一生でやったことを34字で説明できる,これは僕のアーティストステートメント.「物化する計算機自然と対峙し,質量と映像の間にある憧憬や情念を反芻する」はよくプロフィールとかに書かれている.

ステートメントは,中心概念を残しながら年を経るごとにちょっとずつ変わってくる.近々MATの展示があり,作品のステートメントを書きながら,今年の年次の作風とテーマを考えていたんだけど… という話.この作業が毎年年明けの重要なポイントなんだとも思っている.

物化する計算機自然と対峙し,質量と映像の間にある憧憬や情念を反芻する

シンプルなステートメントとなんだけど,読み解くには本を読まないと厳しいらしい.ちょっと用語の接続を解説すると.

物化する

物質の変遷や,視点の変換,はテーマにして作品を作ってきた.

https://kenpoku-art.jp/artworks/e02/

↓荘子の物化については下記の論文の記述を読むとわかりやすい.ここではTransformation of Material Things と捉えていただけるとすんなり通るかもしれない.

計算機自然と対峙し,

計算機自然については未来館の展示を見たり,デジタルネイチャーを読んだりすると,「計算機の自然」と「計算機と自然」の区別が付かなくなった「新しい自然」という考え方が出てくる.

質量と映像の間にある

映像と物質の差の探究はメディアアートの文脈を引き継ぐ落合陽一のライフテーマなので,イメージと物質の境目を探る研究や表現の探究をしている.詳しくは魔法の世紀を読んだり展示を見たりすると出てくる.Imago et Materia(映像と物質)とかImage and Matterっていう展覧会をやったこともあった.

憧憬や

質量への憧憬(質量を哀愁してしまうデジタル時代の価値観)を探求するのが映像と物質の間にある存在を探る中で出てきた感覚であって,これを大切にしている.同名の展覧会や写真集も出した.質量への憧憬でのプラチナプリントへのこだわりもいわば質量への憧憬. 

情念を反芻する

情念との反芻はテーマで,同名の展覧会を去年ライカで行ったりしていた.イメージと観測する自分の主体がミックスされていく感覚.

物化する計算機自然と対峙し,質量と映像の間にある憧憬や情念を反芻する

と,ステートメントを振り返ったところで,今年の話を書いていこうと思う.偏愛みたいなもんだと思うんだけど.

MATの展示は2月中に(始まったらまた記事を書きます)

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落合陽一が「今」考えていることや「今」見ているものを生の言葉と写真で伝えていくことを第一に考えています.「書籍や他のメディアで伝えきれないものを届けたい」という思いを持って落合陽一が一人で頑張って撮って書いています.マガジン開始から2年以上経ち,購読すると読める過去記事も800本を越え(1記事あたり5円以下とお得です),マガジンの内容も充実してきました.

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