【ウィズコロナ】天気の奴隷でいる時間を終わらせて,変化した風景に適応し,新しい習慣に順応し,ウイルスとともにある新しい日常を取り戻さなくてはならない.
前回に引き続き,カームワーク・カームライフ・ウィズコロナ
前回の記事で,カミュのペストを読みながら,新しい日常をどうやって獲得していくかを考えないといけない,ということを考えていきたい.
このようにして、各人はその日暮しに、そしてただ独り天空に対しつつ、生きることをうべなわねばならなかった。一般にこの見捨てられた状態は、長い間には結局人々の性格を鍛え上げるべき性質のものであったが、しかし最初はまず人々をつまらぬことに動かされる浮薄な人間にした。たとえば、市民のかなかのある連中の場合など、彼らはそこでまた別の奴隷状態に陥り、太陽と雨によって意のままに支配される人間になってしまった。彼らの様子を見ていると、生れて初めて、それもじかに、その日の天気から受ける感じというものを感じたかのようであった。(カミュ・ペスト)
日常を探している.以前の日常に戻るということではない,新しい日常を確立するということだ.自然の脅威の中,読めない世界を右往左往する時間が我々に課す精神的な荷重はかなり大きいと思う.
現代で言えば,SNS上に散見されるような「別の奴隷状態に陥り、太陽と雨によって意のままに支配される人間」.ほぼ全ての社会の人がその位置に入り,また頻繁に自分自身もその中にいる.災害時,天災時,災禍時に出てくるこの感覚から距離をとって平常時を目指すのは難しいし,テレビメディアやSNSが発達した現代で,目と耳を閉ざしていることも難しい.
ある街を知るのに手頃な一つの方法は、人々がそこでいかに働き、いかに愛し、いかに死ぬかを調べることである。(カミュ・ペスト)
このウイルスの渦中で,「ウイルスとともにある適応すべき日常」を探す.今日はそんなことを考えながら.
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