久方ぶりの車窓から 159 落合陽一 2020年6月3日 00:49 電車にもバスにも飛行機にも乗らない日々が続いて,車窓越しに写真を撮ることが少なくなっていった.久しぶりに電車に乗った.ただそんだけの日常が愛らしい. 東京駅.週に5回くらい新幹線に乗るのも普通だったはずなのに,あの光景をもう忘れてしまった.というか,新幹線に乗るのは忙しさの象徴でなく休み時間だったのだ. 車窓ごしの写真を撮るのが好きだった.窓枠にピントを合わせてボケた風景を楽しんだり 遠景にピントを合わせてボケる窓枠を楽しんだりしていた. そんな体験も忘れてしまうような生活の変化があった. ホームを眺めていると人類滅亡後の懐かしい風景のような感じすらして 夏の近い新緑に温かみを感じるより先に寂寥感がやってくる. カラフルな遠くの風景を眺めるようで世界が灰色に見えるから,コントラストを強めてしまう. 錆びた街だ. 以前なら人をフレームインさせなかったのに,なんでか人を入れたくなる. アリもフレームインする車内.自然とどうやって対峙していくか. 車窓越しの世界の穏やかさを感じながら,もはや遺言のような風景を眺めている. ワンマン.もう全てがワンマン. 一人きりで電車に乗る. 最近人類を見かけなくなったという感覚. 隙間が気になってしまったり, 茂る植物に季節を感じたりしながら 風景の持つ寂寥感を探している. 田園風景と山並みに日本を感じている. トンネルの中の仄暗い暖かさ. ワンマン. 遠くまで続く道に人を探している. 人がいなくなった街は時間が止まったようでいて 確かに何かが朽ち果てていく時間経過は刻まれる. 季節は巡るし,人の都合とは関係なく風景を作る. 日々のリアリティを獲得するために花を愛でる人々もいるのだろうと思う. いろんな車窓があり,夜の孤独感が強まった.夜の底にあった息遣いを街から感じられなくなった. 朝の光を眺めながら, 一人きりの新幹線に乗っている. タクシーもめっきり乗らなくなってしまった.移動していられただけ自分は暇だったのだなぁと昔の生活を振り返って思う.動くことは忙しいように見えて休みだったのだ.それでバランス取ってた人々は厳しいだろうなぁ. #写真 #落合陽一 #落合陽一公式 159 みんなにも読んでほしいですか? オススメする この記事をオススメ中 1人がオススメしています オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます! いつも応援してくださる皆様に落合陽一は支えられています.本当にありがとうございます. 記事をサポート