まだまだ頑張るビデオテープ
はや立秋になりにける今日この頃ですが、皆様如何お過ごしでしょうか?
暦の上では秋と云う訳でありますが、實質的に夏眞っ盛りなのであります。
然して今日も暑き夏の夜。折角の金曜日なので或る映画のビデオを観る事に致します。
…夏になると必ず観たくなるあの作品です。
これはその昔、私が御幼少の頃に母親に銀座の三越で賈ってもらったビデオテープです。思い出の品なのです。
イマドキの人はビデオテープと聞いてもあまり身近ではないでしょうか…。
私は今でも現役なのです。
なにせ東京の電話番號の市内局番が3桁の時代の物です。
テレビの番組とは違ってコマーシャルメッセーヂが一切無いのが良いものです。
また最近の番組は劇中画面の端々になんやかんやと字幕が出てしまい興ざめなのです。
画質はこの通り!
30年程前のVHSですが、まだまだ衰えてはいません。
ビデオテープの映像は不思議な温かさが有る様な氣がします。
イマドキのデヂタル映像は画質が凄く綺麗でそれは素晴らしいのですが、私の目には明る過ぎてしまいます。
光るシータの飛行石を直視出來ないポム爺さんと同じなのです。
「儂には強すぎる……」
さて、このトトロのビデオですが、何度観ても良いものです。
夏の風情を感じるにはもってこいの作品です。
一時童心に返れて夢を見られる様な、そんな氣持ちになれます。
オトナになるとトトロを観て泣きそうになる方が多いと伺いますが、あながち間違いではないと思います。
私は子供の頃はトトロが本當に居るものだと思い込んでおり、神社や公園の木の根元に穴が無いかどうか見て廻ったり、どんぐりが落ちていると近くを注意深く観察したりと、そんな思い出が有ります。
結局トトロそのものに出會う事は出來ませんでしたが、あの夏の日の思い出は今になって心の中に不思議な温もりをもたらしてくれるのです。
或いはトトロと云うのは子供の心の内に在るそう云うものであり、日本に古來から在る神様が子供に解り易い形で何かをお示しになる為に顕れたものなのかもしれません。
塚森のお社の近くのご神木に昔から住んでいる様ですからね…。
……今でも、もしかしたら「トトロ」ではないにしろ、そう云うものは誰も知らない所でひっそりと存在しているのだと思う事にしておきます。
その方が夏が樂しくなりますので…。
なにやら今月の14日に放送する様ですが、私はその日は個人的都合でどうしてもトトロを観る氣にはなれず、當時同時上映だった『火垂るの墓』のビデオを観ようかと思います…。
時代を感じさせるテロップですが、今では「ビデオを観る」と云うのは死語になりつつある様です。
「DVD観る」や「動画観る」に段々と言葉が変化している様ですが、私はあくまでも「ビデオ」を観るのであります。
眞夏の一日、そこには確かに何か不思議なものが居るのかもしれないと思いつつ、私のビデオデッキは今日もまた動き続けるのでありました。
映画一巻の終わり…。
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