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IHI、第2四半期で過去最高益を更新 航空エンジン事業の質的転換」が収益構造を大きく変えた理由


きらく「今日は特別な回ね。IHI社の2024年度第2四半期決算について、徹底的に分析していきましょう。私の手元には2015年のシャトーマルゴーがあるわ。この深い味わいのワインのように、表層的な数字だけでなく、その奥にある本質まで見ていきましょう」


### 第1章:IHIという会社を知る


あおい「まずは、IHI という会社の基本的な情報から説明させていただきます」


▼会社概要

- 社名の由来:石川島播磨重工業(Ishikawajima-Harima Heavy Industries)

- 創業:1853年(創業170年)

- 事業規模:2024年度通期見通し 売上収益1兆6,000億円

- 2023年度実績:1兆3,225億円

- 2024年度第2四半期:7,574億円


【用語解説】

■ 重工業

大規模な機械設備を使用し、大型の機械や構造物を製造する工業。

造船、製鉄、発電設備など、産業の基盤となる分野を指す。


きらく「IHIの面白いところは、170年の歴史を持ちながら、常に新しい技術への挑戦を続けている点よ。伝統的な重工業の技術を基盤に、今や航空エンジンや宇宙開発まで手掛ける総合重工業メーカーへと進化を遂げたのね」


▼4つの主要事業セグメント


1. 資源・エネルギー・環境

- 主力製品:発電所設備、ボイラー、原子力機器

- 新規分野:クリーンエネルギー技術

- 特筆すべき成果:JERAの碧南火力発電所での燃料アンモニアの大規模転換実証試験(熱量比20%)に成功

- セグメント売上規模:4,200億円(2024年度見通し)


【用語解説】

■ アンモニア燃焼技術

石炭火力発電所でアンモニアを混焼する技術。CO2を排出しない

次世代の発電方式として注目。IHIは世界に先駆けて熱量比20%での

実証試験に成功し、さらなる高比率燃焼を目指している。


2. 社会基盤

- 主力製品:橋梁、水門、トンネル掘削機

- 都市開発事業:

- 豊洲地区再開発(約5ha規模の所有地開発)

- 豊洲4-2街区開発計画(2022年7月着工、2025年6月竣工予定)

- セグメント売上規模:1,700億円(2024年度見通し)


【用語解説】

■ 都市開発

IHIの場合、保有不動産の戦略的活用を指す。豊洲地区では、

オフィスビルや商業施設等の大規模複合開発を展開。

豊洲ベイサイドクロスタワー(地上36階、高さ178m)など、

象徴的なプロジェクトを手掛けている。


3. 産業システム・汎用機械

- 主力事業:車両過給機、パーキング、回転機械

- 構造改革:欧州事業の再編を推進中

- 売上収益:2,273億円(当中間期)


4. 航空・宇宙・防衛

- 主力事業:民間航空エンジン、ロケットシステム、防衛装備品

- 特徴:国際的エンジンプログラムに参画

- 売上収益:2,476億円(当中間期)


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