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継承される魂ーLB

2021シーズンの戦いを占うユニットインタビューの第8弾は、守備の要、ラインバッカー(LB)。古庄直樹アシスタントヘッドコーチ兼ディフェンスコーディネーター(上写真中央)と塚田昌克ディフェンスコーディネーターアシスタント兼LBコーチ(同左)、♯13岩本卓也選手に聞きました。

―まず、ユニットのメンバー構成を教えてください。

岩本  新人が3人入って、いまは7人。ベテラン半分、新人半分。登録は4人から5人だと思いますので、そこはロスター争いということになりますね。

―LBのポジションはいくつあると考えればいいですか。

岩本  オービックシーガルズのLBは、マイクとウィルの2つです。マイクはディフェンスの中央に位置して、OLと体当たりの勝負をしたり、抜けてくるRBを仕留めたりする。ウィルは、OL、RBとの勝負だけでなく、サインによってはWRの正面に位置し、WRと1対1で勝負することもあります。

―他の強豪チームのLBと比べて、どんなところが強みでしょうか。

岩本  大きく2つあって、まず、マイクとウィルの2つのポジションができるということですね。実際にどちらのポジションでもプレーします。もうひとつは、体の使い方がかなりうまいのかなと思います。古庄さん、塚田さんにポイントを教えてもらっていますし、この1、2年で体の動きというか、切り替えの速さみたいなものは少しずつよくなってきている印象です。

古庄  今年は岩本がカナダCFLのコンバインに向けてオフから体を動かしていたところに、他のメンバーもついてきたんですよね。シーズンインしたときには体の動きが上がっていたり、今までと違う動きができていたりして、手ごたえもあります。

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―古庄コーチも塚田コーチもオービックLBのレジェンドですが、いまLBを育てるうえで目指しているのはどんなところですか。

塚田  もともと能力が高い選手が集まってきてくれていますが、切り返しや目の使い方、すべてのプレーにからむというところではまだまだ伸びしろがあるので、そこは伸ばしていきたいですね。昔のフットボールと違ってオフェンスがフィールドを広く使うので、それに対抗できるLBをしっかりそろえて、誰がどこをやっても戦えるユニットをつくることが目標です。

―Xリーグは外国人QBが増えてパスが多くなりました。LBのレベルも相当上がってきていますか。

古庄  そうですね、オフェンスのシステムも変わってきました。富士通にコービー・キャメロン選手(2014~2017年)が来てからですね。リアクションだけだと止められなくなってきているので、うちのLBにも、自分から自信を持って動いて、逆に相手を動かすくらいになっていかないと戦えないよと、塚田(コーチ)と一緒に伝えていっているところです。
(下写真:現役時代のふたり。中央 塚田コーチ、右 古庄コーチ)

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―新人3人の印象や期待しているところを教えてください。

塚田  繁治亮依(しげじ りょうい)から。高校・大学とも関西学院で、高校からボウルゲームに出場し続けているので、フィールド上での経験値にむちゃくちゃ期待しています。フィジカルはこれからですね。山本正樹(帝京大)の動きも期待以上です。プレーの理解については未知数ですが、そこをクリアすればすぐ戦力になるんじゃないかと思います。酒井清将(昭和大)はトライアウトで初めて見て、こんな体でこんなタイムを出せるんだ、もっと見てみたいと思った選手です。これからフットボールを勉強していこうというところですね。

―岩本選手から見てどうですか。

岩本  塚田さんと似ています。繁治はやはり経験値が抜群にあって、いまプレーにも生かせています。体がまだできてないので、そこを上げていけば大きな戦力になるかなと思います。山本は経験値はないんですけど、体の使い方やボールへの嗅覚はよさそうなので、理解力や経験値を上げると戦力になるかなというところ。酒井は真っ白というか、体だけでき上がってる感じなので、これからいっぱい吸収してもらって、2、3年後くらいに戦力になってくれればと思います。

新人

―では少し昨年を振り返って、どんな成果がありましたか。

岩本  チームとして「1プレーに集中する」ことを掲げたシーズンで、僕自身もユニットとしても、そこにこだわって継続できました。集中したことによって、期待をしなくなったというか、オフェンスが出ても出なくても、キックが決まっても決まらなくても、自分のメンタルのブレがまったくなくなりましたね。シーズンを通して常に平常心でフィールドに立てたのがものすごい収穫だなと思っています。

一そういうことがチームとしては、パナソニック戦(〇35-34)の残り24秒・ゴール前のファンブルフォース&リカバーや、ジャパンエックスボウル富士通戦(〇13-7)の残り2秒・ゴール前のパスカットにも表れたということでしょうか。

岩本  そうですね。僕個人の話になりますが、富士通戦は試合が終わってから初めて、「7点しか取られてないんや」って気づいたんです。それくらい集中できてたんだと思います。

―目の前の1プレーに集中するために取り組んだことはありますか。なぜ集中できたのでしょうか。

岩本  意識の問題なんですよね。すぐ切り替えよう、もう次、次、みたいなことを、練習中からずっと徹底していました。

古庄  大きかったのは、勝ったという結果ですね。パナソニック戦は、ほぼ詰まれていたところにビッグプレーが出て、結果が得られた。これまで自分たちがやってきたことが正しかったんだという自信につながったと思います。あそこが違う結果だと違う印象になっていたかもしれないですね。過去を認められたことが、次の富士通戦ではどんな展開になっても自信が揺るがなかったことにつながったので、パナソニック戦の結果がいちばんの収穫ですね。

―逆に昨年の課題から、いま取り組んでいるのはどんなことですか。

岩本  ヒットの強さというか、フィジカル的な要素が僕自身足りなかったし、他のメンバーも感じてるところだと思います。今シーズンは「攻撃的なLBになろうぜ」というのを掲げてやっています。ヒットが強いとか、ブリッツ(相手QBを急襲する)の破壊力があるとか、パシュート(ボールキャリアを追いかけてタックルする)をめちゃくちゃするとか、そいうことを意識して取り組んでいます。力だけじゃなく、角度や目線、体重移動の仕方とか、いろんな要素が重なって強いヒットができるんだということもわかってきて、すごくいい方向に進んでいます。

塚田  とにかく今年は1対1の勝負にこだわろうということでスタートしました。ブロッカーとの1対1の勝負がまだまだなので、どうすれば強く当たれるのか、オフのうちから話し合ってやってきています。いま練習でオフェンスと勝負すると、いいイメージやいい結果が出てきている選手が多いんです。オフェンスからも、LBはいい、質が変わってきた、と言われたり、いい感じできていると思いますね。

ー今シーズンここを見てもらいたい注目ポイントも、そういうところになりますか。

岩本  はい、やっぱりフィジカルなプレーを見てもらいたいですね。ブロッカーに対する強さや、ボールキャリアへのタックルの強さに注目してもらえればと思います。

ーでは、チームの他のユニットにこれだけは負けないというアピールポイントは。

岩本  フットボールに対してはいちばんまじめです!

古庄  そうですね。探求力ですね。

塚田  同じです。フットボールに対する姿勢は負けないと思います。

ー最後に、そんな自分たちにキャッチコピーをつけるとしたら。

塚田  僕からですか……「LB is SEAGULLS」ですね。

岩本
  「キング」でいいですか、「キング」。

古庄  ちょっと出ないんで…、塚田に1票(笑)。

古庄直樹 アシスタントヘッドコーチ兼ディフェンスコーディネーター
(こしょう・なおき)立命館大学で大学日本一。2001~2015年、オービックで日本随一のLBとして活躍。2007~2014年、8年にわたり主将としてチームを牽引し、前人未踏(当時)の4連覇を達成。通算9回オールXリーグ選出。2016~2019年ヘッドコーチ、2020年から現職。大阪府出身、43歳。

塚田昌克 ディフェンスコーディネーターアシスタント兼LBコーチ
(つかだ・まさよし)大阪産業大学附属高校で3年連続高校日本一、立命館大学では4年連続甲子園ボウルに出場し3連覇、ライスボウル2連覇。2007年オービック加入。2011年オールXリーグ選出。2015年からコーチ兼任、2019年をもって引退し、2020年から現職。大阪府出身、38歳。

LB♯13岩本卓也
(いわもと・たくや)小学3年でアメリカンフットボールを始め、大阪産業大学附属高校で高校日本一。日本大学で2年連続甲子園ボウル出場、カレッジ日本代表も経験。2016年オービック加入。2017年から3年連続でオールXリーグ選出。2020年シニア日本代表。180cm・95kg、大阪府出身、28歳。

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▲写真左から:塚田昌克 ディフェンスコーディネーターアシスタント兼LBコーチ、山本正樹(新人)、♯47髙橋 悟、(その後ろ)宮崎洸太ディフェンスアシスタント、♯44成瀬圭汰、(その後ろ)♯56鈴木直樹、(その後ろ)♯13岩本卓也、酒井清将(新人)、繁治亮依(新人)、(パネル)古庄直樹アシスタントヘッドコーチ兼ディフェンスコーディネーター

< LB 自己評価レーダーチャート >
3人にユニットの「戦力」(アクア)と「キャラクター」(ピンク)を自己評価してもらいました。(全10項目。0~10点満点。3人の平均点をチャート化)

レーダーチャート_LB


戦力5項目は3人とも似通った評価。「そんなバラバラなユニットやないです、さすがに僕らは」(塚田コーチ)、「みんな関西人やしな」(古庄コーチ)。唯一の満場一致の10点満点がたくましさとは、さすがプレデターズ(Predators / 捕食者・肉食動物 / LBユニットの愛称)!

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