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仲間からの愛ある「ヤジ」を力にーSP

2021ユニットインタビュー第6弾は、大事なキッキングゲームを託されるSP(スペシャリスト)。小島健吾キッキングコーディネーターとK/P♯12山﨑丈路選手に聞きました。

―今年はメンバーの入れ替わりがありました。構成を教えてください。

小島  ベテランは星野(K/P♯49星野貴俊)、2年目に山﨑、キッカーとロングスナッパーの新人2人が入りました。

―ユニットの雰囲気は変わりましたか。

山﨑  コミュニケーションが活発になったと思います。昨年はベテラン2人中堅2人でしたから、ちょっと若返りました。新人はハングリーで向上心があって情報を求めてくれますし、今年の新人はレベルが高いので、僕たちに意見をくれることもあります。新しい風が吹いている感じです(笑)。

―そんな新人2人の印象と、期待していることを教えてください。

小島  キッカーの髙坂將太(早稲田大)は、最初はふわふわした印象でしたが、実際に練習でキックの話をすると非常にこだわりが強く、スペシャリストらしい選手です。大学ではキックオフ、パント、フィールドゴールのすべてで結果を残しているので、社会人のトップレベルの中でも結果を出し続けてほしいですね。キック力、飛距離を伸ばして、日本を代表するキッカーになってほしいと思っています。

高坂

ロングスナッパーの峯松真央(中央大)は、真面目で責任感が強い。週末の練習でうまくいかないところがあれば、月曜日には反省・分析して連絡してきます。彼も大学で安定したスナップをしていて、須永ヘッドコーチからも、「唯一、何も言わなくても安心して任せられる選手」と聞きました。うちでもそんな存在になってほしいですね。

峯松

―少し昨シーズンを振り返ってもらいましょう。成果と課題にどんなことが挙げられますか。

小島  自分自身、キッキングコーディネーター初年度だったので、まずはキッカー・パンターが何をしないといけないのかを明確にしました。フィールドゴールは何秒以内に蹴るといったことを選手が理解して遂行できたところは成果だと思います。課題は対応力ですね。スナップミスや、ホルダーのボールさばきのズレなど、どこかでイレギュラーが発生すると決められなかった。今年はそうなっても決め切れるかが課題ですね。

山﨑  コジさん(小島コーチ)が話されたことは「課題」でもありますが、「成果」でもあると思うんです。イレギュラーなシチュエーションでも対応していかないといけないということを身をもって理解できたことは成果だと。高いレベルの中ではどういうことを実行していかないとスペシャリストとしての役割を果たせないのか、大きな試合を通して理解できました。一方で、イレギュラーなシチュエーションとして想定できることをつぶしていかないといけないということが最も反省として感じた部分でした。

―他のチームのSPと比較して、自分たちの強みはどんなところだと思いますか。

小島   タケル(山﨑)の話をすると、キックオフの飛距離は間違いなく日本一だと思います。相手チームのリターンする意欲を削ぐことができるのは、チームにとって明らかに強みですね。

山﨑  各々が知識を持っていて、そのうえで向上し、試合で結果を出そうとしているところだと思います。感覚的なところに行きがちなポジションですが、理論的に会話できる選手がそろっているから、ユニット全体で進歩していけるんだと思っています。

小島  精神的なプレッシャーを受けながら練習できることも強みですね。フィールドゴールやパントの練習のときに、他のポジションからのプレッシャー(声掛け)がけっこうあるんですよ。嫌なプレッシャーを感じながら毎週練習できていることは、そんな中でも結果を残せるユニットになるという面で強みだと思います。

山﨑  正直、試合より練習の方が嫌ですもん(笑)。

―けっこうヤジが飛んできますよね(笑)。

山﨑  オフェンスからは比較的プレーに関係するようなポジティブなヤジ、ディフェンスからはプレーにまったく関係のない、「ザ・ヤジ」って感じのが飛んでくることが多いですね(笑)。

―山﨑選手は昨年エレコム神戸から移籍してきました。オービックに来て勉強になったことはありますか。

山﨑  メンタル的な部分ですね。みんなフットボールに真摯に取り組んでいて、キッキングにも自分事で取り組んでくれるんです。だから練習でヤジが飛んだりする。見てくれているから、その1プレーが勝利に影響すると理解してくれているからこそのヤジです。そう感じられたことで、自分のプレーへの責任感が増しました。

―では今シーズンのユニットの目標を教えてください。

小島  シンプルに、「結果を残す」ですね。

―結果を残すために取り組んでいることや約束事はありますか。

小島  土日の練習で結果を出すために、平日にしっかりコンディション調整をすることを約束として置いています。「試合で決めればいい。今は調整中」ではなく、毎週が勝負だと決めて取り組んでいます。

―今シーズンの注目ポイントを教えてください。

小島  精度の高いキックに加えて、相手チームがリターンを諦めるようなキックオフ、パントを見てもらいたいですね。昨シーズンのライスボウルのキックオフがいい例ですが、リターナーがフェアキャッチしてリターンを諦めたシーンが何回かありました。そんな、相手の意欲を削ぐキックを見てもらいたい。フィールドゴールでは、フィールドゴールシチュエーションになった時点で加点を確信してもらえる、安心感のあるユニットになりたいと思っています。

山﨑  ただ結果を出すだけでなく、高いレベルで結果を出すところをぜひ見て実感してもらいたいです。

―高いレベルとは、具体的にどういうことですか。

山﨑  フィールドゴールは100パーセント決める。あとは距離ですね。「こんなところからも蹴れるんだ」と思ってもらったり、ただタッチバックするだけではなくエンドゾーンを越えるようなボールを蹴って驚かせたり、パントも日本で見たことのないような滞空時間で陣地を大きく挽回したり。そこまで求めてやっていきたいです。

山﨑

―山﨑選手は来月からCFLに参戦します。チームを離れる間、チームにどう関わっていこうと思っていますか。

山﨑  自分が結果を出すことがチームにいちばん貢献できて、選手の刺激になると思っているので、まずは自分に集中してやっていきます。SPのメンバーには、僕のレベルが上がることで持ち帰れることもあると思いますし、海外にいてもチームのハドル(試合や練習時の映像)を見てフィードバックはできるので、コミュニケーションを取りながらチームに貢献できたらと思っています。

―SPは今年は2つのリーグに参加していると思っていればいいですね(笑)。

山﨑  そうですね(笑)。いい意味でチームからの圧は感じています。チームを代表して行くと考えると適当なことはできません。逆もまたしかりで、同じ環境にいなくても切磋琢磨できると思っています。

―では、他のユニットにここは負けないというアピールポイントを教えてください。

小島  「結果へのこだわり」ですかね。スペシャリストは己との戦いの部分が大きいので、結果には常にこだわって考えているユニットだと思います。

山﨑  僕も「こだわり」は他のユニットに負けないと思っています。結果はもちろん、すべての物事に自分の考えを持って取り組むことがこだわりだと思うので、日常生活からこだわるところは負けません。あとは真面目さと分析力ですね。

―最後に、自分たちにキャッチコピーをつけるとしたら。

山﨑  んー、「スペシャリスト」というポジション名がすでにキャッチコピーみたいなもので…難しいですね。ただ、当たり前に結果を出すことを高いレベルで突き詰めてこそ、スペシャリストと言えるんじゃないかと思うので、「突き抜けたスペシャリスト」でお願いします。

小島健吾 キッキングコーディネーター兼DLコーチ
(こじま・けんご)慶應高校でLBとしてプレー。慶應大学在学中から母校を指導しヘッドコーチまで務める。慶應大学、LIXILでコーディネーターを歴任後、2019 年からオービックのコーチに。2020 年キッキングコーディネーター就任。2018年カレッジ日本代表ディフェンスコーディネーター。東京都出身、28歳。

K/P♯12山﨑丈路選手
(やまさき・たける)高校はサッカー部。関西2部大阪大学で活躍し、2020年エレコム神戸から移籍。昨年、練習で73ydsフィールドゴールを決めて話題に。2019、2020年オールXリーグ選出。カナダCFLのBCライオンズにドラフト指名され、7月からチームに合流予定。173cm・85kg、大分県出身、27歳。

集合写真

後列左から:黒木俊介キッキングアシスタント、♯49星野貴俊、♯12山﨑丈路、小島健吾キッキングコーディネーター兼DLコーチ / 前列左から:坂本昴大オフェンスコーディネーターアシスタント兼OLコーチ、峯松真央(新人)、髙坂將太(新人)

ー SPユニット 自己評価レーダーチャート

2人にユニットの「戦力」(アクア)と「キャラクター」(ピンク)を自己評価してもらいました。(0~10点満点。2人の平均点を算出)

レーダーチャート_SP

2人の評価にほぼ差がなく、ともに低かったのは「メンタル」。イレギュラーなシチュエーションでいかに平然とやり切れるか、これからの「メンタル」の成長に注目です。そして「おしゃれ度」も若干低評価。おしゃれ番長の長尾さん(K/P長尾 健)が今年引退し、少し低下したとのことです(笑)。

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