
米国でIPOした保険代理店から学ぶ、時価総額を上げる仕組みづくり
米国では2020年にLemonadeという火災保険への加入と保険金請求がアプリで完結できる会社が上場しています。
しかし、米国で上場しているのはオンライン保険の会社だけではありません。
ここ数年でもGoosehead Insuranceという会社やBRP Groupといった保険代理店が上場しています。そして、その2社とも数十億ドル、日本円にして数千億円の時価総額がついています。
これだけ資本市場から高い評価を受ける米国の保険代理店は、いったいどのような取り組みをしているのでしょうか?
時価総額が高いというのはどういうことか?
まず会社の時価総額が高いとはどういうことなのでしょうか?
時価総額が高ければ高いほど、会社としての仕組みや文化に強みがあることを意味します。成長率・利益率が高いということでもあります。
また時価総額が高いと、会社の売り買いをするときに有利です。日本でも保険代理店の集約に伴いM&Aが活発になる可能性がありますので、保険代理店の売上や利益だけでなく、その時価総額も注目されるようになるかもしれません。
上述したGoosehead Insuranceという損保代理店は非常に高い時価総額を誇っています。なぜこれだけの時価総額に到達しているのか、Goosehead Insuranceの上場目論見書から探ってみたいとおもいます。
平均年齢26歳?!大卒人材の確保に成功
Goosehead Insuranceのほとんど全ての募集人は大卒の人材で、平均年齢はなんと26歳です。
米国のとある調査では個人向け保険を取り扱う保険代理店の67%以上が50歳以上とのことですから、その差は歴然です。
若手中心で構成されているため、募集人一人あたりの新規の顧客・契約の獲得金額は、米国でトップの個人向け募集人と比べても4倍近くあります。
米国では、ここ5年以内に40%以上の保険代理店が会社のオーナーシップの問題に悩まされることになるだろうと予測されているそうですが、Goosehead Insuranceは若手中心のためこの問題とも無縁です。
若手人材の採用は大学のキャンパスへのリーチやインターネットでの採用キャンペーンによって実現しています。
採用プロセスもここ10年で常に改善し続けており、結果として高い採用成功率を誇っているとのことです。
新規営業担当と既存契約更改担当を明確に役割分け
Goosehead Insuranceでは、米国の昔ながらの保険代理店が既存の契約の維持に労力を費やしてしまい、ほとんど新規の契約獲得に取り組めていないことを課題と認識していたそうです。
そのためサービスセンターという部署を設立し、更改作業はその部署に集約させています。
サービスセンターは更改作業に専念することで、保険料ベースで94%の契約を維持し、80ポイントを超える高いNPSを誇っています。サービスセンターは更改だけでなく、クロスセルや紹介を生み出すことも積極的に狙っているそうです。
新規営業の部署は新契約獲得に専念できるため、募集人1人あたりの新契約獲得金額は、米国の中でもトップクラスのパフォーマンスを出している代理店より、さらに3.7倍も高いそうです。
統一的なシステムプラットフォームで顧客情報を一元管理
新規営業の部署と更改担当の部署(サービスセンター)が分かれていることから、同じ顧客の情報を複数の部署の人が確認する必要があります。
クラウドベースの統一されたプラットフォームを構築することで「お客様をリアルタイムに360度どこからでも見ることができる」ようにしているそうです。
このプラットフォームにより業務を効率化するだけでなく、契約締結までの時間を1時間以内に抑え、高い顧客満足度を実現しています。
徹底的な数値管理によって代理店経営をさらに進化させる
ここまで述べてきたようにGoosehead Insuranceは素晴らしい仕組みを作り上げていますが、ポイントは徹底的な数値管理でしょう。
ありとあらゆる指標が数値によって管理され、業界標準や過去の自社の数値と比較されています。
会社全体としての科学的な営業・更改活動の改善が、高い時価総額に繋がっています。
hokanでも募集人の日々の行動や手数料を簡単に集計できるようになりました。
これからも保険代理店の経営向上につながるような経営指標の改善に資する機能を強化していきたいと思います。
人を中心とした保険の販売においても、テクノロジーを活用することによって、さらなる進化を実現していきたいですね。
※本記事は新日本保険新聞に寄稿した内容を再投稿したものです。新日本保険新聞からは許可をいただいています。
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