
資本主義が終わる?!保険はどう変わる?!
こんにちは。株式会社hokan代表取締役の尾花政篤(@ShigeObana)と申します。2017年にコンサルティングファームを退職して、株式会社hokanという会社を創業しました。現在は、保険営業マン向けのSaaSサービス hokan を開発中です。
本記事は、保険これから保険業界に進出することを考えられている方や、InsurTechのサービス開発を考えている方向けです。
昨今、多くの著者によって、資本主義経済が変化しはじめていることが指摘されています。
例えば、佐藤航陽(@ka2aki86)さんは、『お金2.0』の中で次のような経済が出現していることを指摘しています。
UBERやAirbnbに代表される「共有経済(シェアリングエコノミー)」、仮想通貨やブロックチェーンを活用した「トークンエコノミー」、YouTuberやインフルエンサーとファンなどが作る「評価経済」などです。
この3つは全く別のものののように見えますが、度合いは違えどそれぞれ分散化が引き起こした大きな流れの一部です。
また、須藤憲司(@sudoken)さんは、『FinTech時代に改めて知っておきたいマネー・銀行・資本主義の歴史と変遷(第3部)』で、以下のように触れています。
今までは、より便利なもの、より高品質なものを、より収益を上げて金を稼げるように、という競争だった。これからは、より好かれるか、より評価を集められるか、という競争になっていく。評価経済社会というパラダイムシフトが起こると、産業革命後宗教による安らかな救済が失われたように、科学や経済が絶対的に正しかった時代のわかりやすい進歩や成長を失ってしまう。
現在、私はInsurTech(Insurance:保険 × Technology:テクノロジー)の領域で事業開発をしています。また、日本のInsurTech全体が盛り上がることを願いInsurTechの情報サイト(InsurTechJapan)も運営しています。
そのため、こういった経済や社会の変化がどのように保険業界に影響を与えるのかを注視しています。
今回、保険会社がどのような経済・社会の変化によって成り立ってきたのかを振り返ることで、保険業界の今後の変化が予測できるのではないかと考えました。
現在の保険会社はいつ、どのようにして成り立ったのでしょうか?
日本で一番最初にはじまった生命保険会社は、現在の明治安田生命です。
福沢諭吉の門下生であった阿部泰蔵(写真)が1881年(明治14年)に立ち上げた会社が有限明治生命保険会社(旧明治生命、現明治安田生命)です。
明治安田生命HPより
また旧安田生命の発祥である共済五百名社(旧安田生命、現明治安田生命)も1880年(明治13年)、安田善次郎によって設立されています。
では、なぜこの時期に相次いで生命保険会社が立ち上がったのでしょうか。
生命保険会社が立ち上がったのは、中世封建制社会が資本主義社会に変化したことが影響しています。
中世封建制社会では、村落共同体の中で保険的な仕組みが内包されていました。
封建領主への年貢未納を防止すべく、彼の家族あるいは連帯責任を負っている村落共同体の他の構成員が、互いに助け合いながらその土地を耕作し、一定の収穫物を確保する社会的な仕組みが完成されていたのである。
(中略)
すなわち、土地、村落共同体、さらに極論すれば、封建的生産関係そのものが、保険制度的要素を内包していたのであった。
『資本主義と近代生命保険業』 佐藤 保久 著
しかし、資本主義化が進展することによって、農民層・封建武士団が解体され、賃金労働者が出現しました。
明治政府は先進諸国と競争できる体制をつくるべく、いわゆる上からの資本主義化 ーー具体的には、封建諸制度の撤廃、貨幣・金融制度の統一、地租改正、秩禄処分、殖産興業政策等による資本蓄積の過程をいうーー を進めざるをえなかったのである。
(中略)
資本主義が生成・発展し、土地から切り離された賃金労働者が多数誕生したとき、彼等に経済準備の一手段として生命保険を提供する近代生命保険業が受容されたのである。
資本主義の生成・発展により、賃金労働者が多数出現したことで、村落共同体に代わって彼らに保障を提供する近代生命保険業が発展したわけです。
また、興味深いのは、貨幣・金融制度の統一という部分でしょう。
1871年(明治4年)に新貨条例が制定され、貨幣制度の全国的統一と金本位制が実現しています。
また、同じ時期に殖産興業策のひとつとして株式会社制度の導入が図られ、1878年(明治11年)には東京株式取引所も設立されています。
新しい貨幣が現れたり、新しい資金調達方式が現れたというのは、最近の何かの状況に似ていませんか??後ほど詳しく詳述します。
それでは、今後保険業界はどのように変化していくのでしょうか?
過去、中世封建制度が資本主義に変化するに従って近代保険業が発展したように、資本主義が共有経済・評価経済などに変化するに従って現在の保険の役割も変化していくでしょう。
私見では、「各経済圏で保険が提供されるようになる」のではないかと考えています。
2017年は、様々な経済圏が立ち上がり始めた時期です。
例えば、メルカリも新しい経済圏ですし、西野亮廣さんが立ち上げられたレターポットも新しい経済圏だと捉えることができます。その他に、VALU・Timebankなども挙げられます。
更に、こういった経済を支える仕組みとなる、仮想通貨・ブロックチェーンなども仕組みも登場しています。
先に述べた、新貨条例による新しい貨幣の発行は仮想通貨に、株式会社制度の導入はICOの現在の状況に似ていませんか?
そんな中、保険というのは各経済圏が十分に発展してから実装されていくのではないかと考えています。
AirbnbやUberなどの確立されはじめている経済圏では、既に保険が提供されています。同様にして、これから立ち上がっていく経済圏も規模が大きくなれば何らかの保険が実装されていくことでしょう。
具体的にどのようなビジネスモデルが登場しているのかについては、また改めてまとめたいと思います。
長くなりましたが、ここまでお読み頂き、有難うございました!
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