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ライターのコア“論理的な文章”を書くには?(オバラミツフミ)【#1:「考える技術・書く技術」】

編集者・長谷川リョー、ライター・オバラミツフミ、会社員・梶川奈津子、大学生・半蔵門太郎、佐々木希海からなる編集・ライティングファーム「チーム長谷川(仮)」では、月に一度テーマを決めて学び合う社内勉強会を開催しています。

本記事では、先月に行われた2018年1回目の勉強会の様子をダイジェスト形式でお届けします。今回のテーマは「論理的な文章を書くには?」。バーバラ・ミントの『考える技術・書く技術』を課題図書に設定し、それぞれが本を読んで学んだ知識を共有。現在執筆中の記事、過去に書いた記事を題材に挙げ、より論理的に書くにはどうしたらよいだろうか?と議論しました。

講師風に佇むオバラですが、現時点で唯一本を読み終えておりません

本格的にライターを志してからおよそ1年。「初心者」から一歩抜け出すには3つの要素があると思っています。

1つめが「文末のバリュエーションを増やす」。「…です」「…ます」で毎回終わってしまう文章には”素人感”が出てしまうので、文末を調整しテンポのよい文章にするだけで見栄えがよくなります。

2つ目が「冗長さの排除」。一文で言えることをダラダラと書いてしまったり、読点で長々と文章を続けてしまったり、読者の負担になる文章を書かないことが重要です。また、不要な「…という」を入れ込んでしまうのもナンセンス。不必要な要素を排除する「という」努力をするだけで文章がスッキリ見えます(ここ笑うとこですよ)。

そして3つ目が「論理的に書くこと」。2つ目の「冗長さの排除」に近いですが、誰が読んでも分かるように書く技術です。パラグラフ単位でチェックする場合には演繹法・帰納法といった方法を用いることもあります。ただ、これが結構奥深い。一筋縄ではいかず、習得するのも難しい。

今回課題図書に設定した『考える技術・書く技術』は、論理的に文章を書くための技術がおよそ300ページに渡って詳細に記述されています。書くことの技術書であり、まさに“カルピスの原液”。この本に書かれていることを丸ごと理解すれば、商業ライターに求められる素養の大部分を得ることができます。ライターを志すなら、手に取っておいた方がよいでしょう。

ピラミッド構造で読者の負担を取り除く

論理的な文章の書き方を学ぶ前に、そもそも「論理的な文章とは何か?」を明らかにする必要がありますね。でも、「論理的な文章」が書けないと思っているあなたも、実は頭の中では「論理的」な処理がされているんです。少しテストをしてみましょう。

まず、以下の品物リストを読み、それを売り場に分けるとしたらどう分けるか、グループ分けしてみてください。グループ分けができたら、目を閉じて、そのグループを参考に品物を思い出してみてください。

ぶどう  みかん   牛乳
バター  じゃがいも りんご
卵  チーズ    にんじん

目を閉じて品物を思い出す際参考にしたグループ分け、多くの人が以下のようなグループになったのではないでしょうか。ここで目を閉じる前に行ったグループ分けを思い出してください。多くの人が、以下の図のようなグループ分けを行ったのではないでしょうか。

私たちはこうした上位グループを作ることで、下位グループの要素を遥かに容易に記憶することができる。そして、このグループ化のプロセスは、私たちの頭の中で行われているあらゆる知的プロセス(考える、記憶する、問題を解決する)で用いられます。

このピラミッド構造、単に漠然とした理由でグループ化しては思い出すことができません。関連付けの論理がどのようなものなのか、自分の中ではっきりとしていてはじめて思い出すことができます。

読み手はいくつもの文章があっても、一度に一つずつしか頭に入れることができません。あらかじめ関連性を説明せずに複数の考えが一斉に示されたとき、読み手は自分なりにその関連性を見出し、書く文章のつながりを理解しようとします。しかし、これは大変な作業です。

私たちが文章を人に伝えるとき、読者の頭の中の“グループ化”にうまく対応した文章を書く必要があります。つまり、グループ化した姿を伝え、そのあとでそれぞれの事象を伝える。そのグループ化した姿を伝えるのに有効なのが、ピラミッド構造なのです。

“いざ書こうとしたときに直面する第1の問題は、何について書きたいのか大雑把にはわかっているものの、具体的に何を言いたいのか、あるいは、それを具体的どのように伝えたいのかとなると、実はよくわかっていないということでしょう。自分のメッセージが何であれ、結局はピラミッド型になるはずということを知っているだけで、この不安を抑えることができます”
“実際に、あなたは最終的にどんなものを作り上げなければならないか、すでに多くのことを知っています。(中略)さらに、その文章は読み手の疑問に答えるということも知っています。そして、その背景には(読み手がすでに知っている)状況があり、その状況に複雑化が生じ、これにより疑問が生まれていること、そして、この疑問に答えるために書く必然性があるというのもわかっています”

記事を書く上で自分が何を書きたいのか、何を作り上げたいのか、「主題」が明確になっておらずに記事を書くと、路頭に迷ってしまいます。主題をどう設定すればいいのか。

1.主題を設定する

あなたが一番伝えたいことを、ピラミッドの頂点に書き入れます。

例:『考える技術・書く技術』はライター必読書だ

2.疑問を書く

読み手であり、この文章を完成させたときに読み手のどんな疑問に答えるべきか。「疑問」を実際に書き留めます。

例:なぜ『考える技術・書く技術』が必読なのか

3.「答え」を書く

記入した疑問に対する答えを書きます。

例:文章を書く上で必須な論理的なアウトプット方法を得ることができるから

4.「状況」を明確にする

「主題」に沿って状況について議論の余地のない部分を記述します。読み手が「当たり前だ」と思う歴史的事実や、最近のトレンドなど、あらゆる状況を書きだします。

例:① SNSの普及に伴うWebメディアの急増により、「自称ライター・編集者」が増えた
  ②一方で、本当の意味で「書けるライター」が減っている
  ③ 「書けるライター」が減り、「自称ライター」が増えることは、業界の先細りにつながる
  ④ 我々の師匠・長谷川リョーさんは、「書けるライター」になるための必読書として『考える技術・書く技術』を挙げている。

5.「状況」からどんな問題が疑問が発生したか、「複雑化」する

次に、4.で挙げた「状況」の中で読み手にどんな疑問が発生するのかを考えます。

例:何ができれば「書けるライター」なのか?
  なぜ、『考える技術・書く技術』が必読なのか?

6.「疑問」と「答え」を再チェックする

「複雑化」で生じた疑問は、ほとんどの場合2.で挙げた「疑問」とほぼ同じ内容になっているはずです。そうなっていれば、自分が読み手のどんな疑問に答えるべきか、「主題」を明確にすることができます。

ここができれば、「この記事ではこんなことを書くよ!」を宣言するリード文は、すらすらっとかけてしまいます。こんな感じ。

SNSの普及に伴うWebメディアの急増により、「自称」ライター・編集者が増えた。この現象は喜ばしいことかもしれないが、本当の意味で「書けるライター」が減っている。「書ける」ライターが減り、「自称」ライターが増えることは、業界の先細りにつながる。われらが師匠・長谷川リョーさんは、自称ライターが「書ける」ライターになるための必読書として、バーバラミントの『考える技術・書く技術』を挙げている。

いかがでしょうか?これに続く文章では「なぜ『考える技術・書く技術』を読むと論理的な文章が書けるのか」について説明していきます。このように主題がはっきりしていれば、文章へスッと落とし込むことができるんです。

これ以降色々あるのですが、本1冊の長さになってしまうので今回はこの辺で…。

・・・

勉強会では半蔵さんやオバラの過去の執筆記事を参照しながら、論理的な文章を書く上で何が足りなかったのか、問題点を洗い出していきました。

半蔵さんは勉強会後に「今まで主題を設定せずに、いらない要素を詰め込見すぎて破綻してしまうことがあった。ピラミッド法則で主題を設定することで不要な要素を明確にすることができた」と言っていました。彼のこれからの成長に注目です。

自分自身、このピラミッド法則を身に着けたことで、読書のスピードが上がったと感じています。今まで本を読んでいるときは、読んでるうちに「あれ、なんでこの話してるんだっけ?」と路頭に迷ってしまうことがありました。「主題」があることを頭の隅に入れておくことで、関連付けがスムーズに行われ、内容が理解できずに読み返すことがなくなったのだと思います。

次回は細谷功さんの著書『地頭力を鍛える』を課題図書とし、「地頭力」とはなにか、どうすれば鍛えられるのかを考えていきます。

次回の勉強会レポ担当は半蔵門太郎です!お楽しみに!

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

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