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テレアポの極意〜アポ獲得率わずか数%にこだわる者が営業を制す〜


3月末で前職のスタートアップ企業を退職して、現在は営業フリーランスとして活動している者です。Twitter:@rskmama_

私はこれまでのキャリアの中で、法人営業に長く携わってきておりますが、アウトバンドのコールドコールに強くこだわってアプローチしてきました。
昨年は合計8,641件(2019年1月〜2019年12月)、受話器を上げてテレアポを続けた結果、いくつか分かってきたことがありましたので、整理できればと思っています。

参考までにざっくりとした私の営業経験は下記の通りです。

・法人営業(社員数20名〜100名程度の中小企業メイン)
・役員層向けアプローチ
・新規営業
・案件型
・無形商材(SaaS)
・アウトバウンド型
・テレアポによるコールドコール


この記事では、テレアポに取り組む時に大事にしたい考え方(川上)から、具体的にどのようなトークスクリプトを活用するべきか(川下)まで、説明できればと考えています。読みたいところだけ読んでいただければ幸いです。


テレアポは有効な手段なのか?

昨今、様々な顧客へのアプローチ手法が出てきているなかで、そもそもテレアポは実施するべき有効な手段なのでしょうか?
顧客へのアプローチの仕方は、テレアポのメリットとデメリットを把握して、使い分ける必要があります。

図8


これらのメリット・デメリットを総合的に鑑みて、会社のフェーズによって営業手法を修正していきます。

テレアポは昔から存在するアナログな手法で、今更感は否めないですが、

・明確なターゲット像が不明確
・顧客の担当名が不明
・会社・サービスの認知度が高くない
・初期費用を抑えたい
・まだPMFできていない

明確なターゲット像が明確になってから、広告・マーケ(インバウンド)に注力すると投資対効果が高まりますし、顧客の担当名が不明で手紙が送れない企業にもアプローチができるのがテレアポです。

これらの条件が揃っているサービス立ち上げ初期のフェーズにおいては、未だに高ROIが見込まれる効率的な手段だと言えます。

テレアポで大事にしたい3つの考え方

1、アポ獲得率はわずか数%の差が大きな差になる

テレアポは基本的にはコツコツ継続して実施していく活動になります。
1年間続ければ、テレアポ数は合計で数千件・数万件になるでしょう。
大きな数字になりますので、打率がわずか数%変わるだけで大きな結果の差が表れます。
仮に年間で8,000件(666件/月)のテレアポを実施した場合の比較が下記の通りです。受注率は20%と想定します。

図7

分かりやすいように、単純な計算をしています。
諸説ありますが、コールドコールの平均アポ獲得率は2%程度で、テレアポが得意な営業はアポ獲得率5%程度と言われていますので、その比較になります。(有効架電からのアポ獲得率ではありません)

わずか3%アポ獲得率が高まるだけで、受注数には48件の差が表れます。
物凄い大きな数字です。この事実を理解した上で、自分は2%の打率のバッターなのか、それとも5%の打率のバッターなのかを定量的に把握して、日々トークスクリプトを修正していく必要があります。1回のお断りで意気消沈せずに、中長期的な成果を求めていきましょう。


2、アポイントを獲得するだけがテレアポの価値ではない

テレアポはアポイントを獲得することが一番の目的になりますが、テレアポの価値はそれだけに留まりません。
テレアポ時にアポイントが取れなくても、その場で顧客と会話ができることがあります、市場のニーズや他社情報、現状の課題など、1次的な情報を効率的に収集できること自体が、かなり大きな価値です。
また、アポイントが取れなくても資料送付だけなら許可してくれる顧客はいるので、メールアドレスを教えてもらい、今後のマーケ施策に繋げていきます。
1次情報を収集すること、メールアドレスを確保することは、評価が見えづらい地道な取り組みになりますが、中長期的な会社の成長を考えると、非常に価値のある取り組みです。


3、リストを焼け畑にしない
 

顧客リストは有限です。リスト1件1件を大切にする意識が重要です。
2度とアプローチができない関係にならないように、アポイントを断られたとしても、新製品や新しい情報が入ったときには、改めて連絡できるようにして、終話することをお勧めします。
また、同じ顧客に頻繁に電話をすると、ブラックリスト登録をされて2度とアプローチができなくなる可能性がありますので、1度電話したら最短でも2週間は期間を空けるようにします。2週間空いている期間に、他の顧客にテレアポができるように、逆算したリスト数を用意しておきます。

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事前準備で徹底するべきこと

●アポイント獲得目標を定める

明確なアポイント獲得目標≒月の訪問件数を事前に定めて、その目標に向かってテレアポを実施していきます。(訪問件数をKPIに設定するかはお任せします。)
ここで重要なのが、月に何件のアポイントを獲得するのがベストなのかということです。訪問の質を落とさずに、訪問できる限界件数は果たして何件なのでしょうか。アポイント目標を考えるにあたって私が参考にさせていただいている記事を共有します。

こちらの記事の通り、1件の訪問にかかる時間を付帯業務もあわせて計算し、最適解を求めていきます。これからはWEB会議がより一層加速していくと思いますので、マジックナンバー自体が大きく変わっていくでしょう。自社にマッチした、最適訪問件数を導き出して、目標設定していきましょう。


●顧客リストをできるだけリッチにする

サービス立ち上げ初期は、外部のリスト作成企業にご協力いただきながら、スプレッドシートで顧客リストを管理していくと思いますが、テレアポを実施する際に1件1件深く考えなくてもいいように、リストを整理しておきます。
基本情報に加えて、最低でも下記2つを明記しておくと、テレアポのスピード感が高まります。

① どこの部署(もしくは誰)にアプローチするか
② 競合他社の名前(後のトークスクリプトで活用する)


最近では、株式会社Rockets(https://rocketsgo.com/さんが提唱している「プレリード管理」という概念があるように、テレアポする前の顧客リストの情報をよりリッチにすることで、アポ獲得率向上、優先順位の明確化、綿密な定量的振り返り、を実現できるようになってきています。

資本金、売上高、従業員数、上場有無、業界、設立年、単価、エリア、展示会出展有無、協会参加有無、採用サイトの有無、新卒採用の有無、広告有無、

この辺りの情報の中から自社の仮説に基づいて、リストにタグをつけると、仮説の検証がしやすくなります。かなり手間がかかる作業になってきますが、最初に緻密にリストを準備しておくと後が楽になります。


トークスクリプト作成のためのフレームワーク


図4


テレアポのトークスクリプトを作成するにあたり、上記のような分岐図を作って、トークの流れを完成させると思います。
トークスクリプトを色々と試して、一番アポ獲得率が高かったトークに沿って簡単なフレームワーク(FC-SHE/エフシーシー)を作ってみました。

図10

この図だけでは分からないと思いますので、一例を挙げます。

<担当者に繋がった場合のトーク>
お世話になっております。〇〇の小原と申します。
(Favor)すみません、突然の営業のご案内になるのですが(一呼吸空ける)、弊社は△△の事業を展開しておりまして、(Confidence)××さんや、◇◇さんが弊社のサービスをご採用して、ご評価いただいておりますので、御社の事業にもお役立てできるのではと思い、ご連絡いたしました。
(Special)御社のIRサイト(HP、採用サイト、SNS、帝国データバンク等)を拝見したところ、(Hypothesis)昨年度は☆☆だったところを、今年度は□□に力を入れていくとのことでしたが、(Effect)××さんの場合は、我々のサービスをご導入いただいて、▽▽の効果をお返しすることができましたので、御社にもお役立てできる内容をご提供できると思っております。
もしご迷惑でなければ、サービスの概要と他社の事例をより詳細にご案内できればと思いますが、お打ち合わせをお願いできませんでしょうか。

あくまで一例ではありますが、イメージなこのような通りです。
(導入事例を話しても問題ないかは必ず先方に事前確認します。)

私自信、このフレームワークを活用した結果、アポ獲得率が2%から5%に向上しました。
一番NGなことは、トークスクリプトにFABを混ぜ込んで、具体的な製品説明を一方的にすることです。顧客は製品説明を求めている訳ではないので、顧客から質問があった時に返答できる準備をしておきます。
また、全てのリストのHPやIRサイトを調べるのは手間がかかりすぎてしまうので、時間が作れない場合は、同じ業界で活用されている事例があるので電話しましたという内容をSpecial(Why you)として活用します。


その他TIPS

●携帯電話で発信する場合は合成音声になってしまうので、自分の声がどのようになっているかを事前に確認しておく。


●ピクポンのようなクラウドIP電話を活用して、会話ログを残す時間を短縮する。


●代表電話の保留音はドリカムの「未来予想図II」が出現したらラッキー
出現率が約4%なので、かなりレアです。毎日テレアポしていると退屈になるので、こういうちょっとした楽しみも忘れずに


テレワークが促進され、そもそも代表電話という存在がなくなってしまう可能性も考えておく必要がありますが、現時点ではテレアポを上手く活用することで、有効な営業活動を実施することができます。

繰り返しになりますが、
アポ獲得率わずか数%にこだわる者が営業を制します。

この記事が、少しでも役に立つ情報になれば嬉しいです。

今後も継続して情報発信していきますので、
是非、Twitterのフォローも宜しくお願いいたします。


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