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「時の娘」ジョセフィン・テイ

「真実は時の娘」という言葉がタイトルに。

数少ないのだが歴史ミステリーというジャンルがある、そうです。
大体、探偵や刑事がたまたまケガをして動けなくなった時に、歴史に思いをはせる。
そして当時の文献を紐解き、隠された真実を浮かびあがらせるという内容だ。
映像化したら、役者はずっとベッドの上とまったく映えない感じだが、これがなかなか面白い。

そもそも歴史って為政者によってゆがめられるのが常でしょ。

例えば足利尊氏。
鎌倉幕府の源頼朝、江戸幕府の徳川家康、この辺は将軍として有名で小説やドラマなどになることも多い。
源は、義経の方がフォーカスされることが多いかな。
で、室町幕府の足利尊氏の影が薄いこと薄いこと。
歴史書籍として「太平記」がかろうじて有名なものとして伝わっている。

なぜ足利尊氏が冷遇されているかというと、やはり天皇家に弓引いたからでしょうね。
戦時中、天皇を中心として国民を戦争へと鼓舞する必要があった世情では、天皇に刃向かった足利尊氏は”逆賊”という扱い。
一時代を作った人だから英雄ではあると思うが、天皇への思いの強い日本では、戦時中ほどではないがそんな扱いをされることはほぼない。
事実ではない、印象操作が歴史には起こるのだ。

本作は正直日本人にはなじみのない歴史が題材。
だからピンとこない。
でも、着想や歴史推理が非常に面白く、海外でも日本でも歴史ミステリーの不朽の名作と位置付けられている。

イギリス史上「稀代の悪王」と称されるリチャード三世が題材。
Wikipediaで見てみると、このリチャード三世は粛清・処刑しまくりで、幼い国王とその弟をロンドン塔に幽閉して王座を簒奪した悪い奴。
しかも幽閉された二人は消息不明、絶対殺してる!!って感じ。

主人公はこの本の表紙にもなっている絵を見て、この人がそんな残酷な人間とは思えないという感想を持ち、調査を始めるのだ。
主人公は作者の刑事シリーズの主人公で、犯人追跡中にケガをして入院、本作では歴史推理をすることになる。
人相学というのか、人の顔をみて本質を見抜く能力があるという設定。
悪王だったはずのリチャード三世の本当の姿は一体?

歴史ミステリー、日本では高木彬光が何作か書いている。
「成吉思汗の秘密」ではジンギスカンは源義経だっていう説、「邪馬台国の秘密」では邪馬台国の場所についての説が描かれる。
邪馬台国については松本清張も本を書いてたな。
ちなみに高木彬光は名探偵神津恭介シリーズが有名、個人的には「刺青殺人事件」と「人形はなぜ殺される」が面白かった記憶が。
余談でした。

他にも世の中には天海僧正が明智光秀説などいろいろな説がある。
歴史ミステリーは面白いのだ。

自分もこんなトンデモ説をなんか見つけられないかなーと思ったりして。

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