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「製造迷夢」若竹七海

若竹七海である。
もっと評価されていい作家だと思う。
最近、といってももう1年前ぐらい前?探偵葉村昌シリーズがNHKでドラマ化されたことで一般的な知名度がグンと上がったかな、と思いきやそこはNHKなので、、あんまりな気がする。
全然関係ないが、自分の中ではうちのおふくろさんが知っているかが知名度判定の基準になっている、だから「ぺこぱ」は有名人

一度アメトークでカズレーザーが好きな作家?小説?で葉村昌シリーズを取り上げていて、「カズレーザーやるやん」と喝采!!

この人の作品は、人間の悪意にフューチャーした作品が多く、悪意を持っている人も身近にいそうな一般人で、自分勝手な思考・他人を無視したルールで他者を踏みにじっていく、それに立ち向かう主人公たちも、少年漫画のような熱さはなく、どこか諦念とともに事態と向き合うという、救いの無さそうな話が多い。
ただ、軽めの表現、軽妙なテンポってやつがあるのか、そこまでずしっと重くない印象(あくまで個人的にですが)
作者が別途コージーコーナーミステリーのシリーズを書いているのも影響しているのかも。

で、この作品の感想ですが、この作者には珍しく超常的な力が出てくる。
主人公は二人で、刑事と人の残留思念を見ることが出来る(!?)女。
残留思念が見れるならすぐ事件なんて解決するやん!!って思うのだがそうはいかない。。
製造迷夢というタイトルにもあらわれているが、薬がらみの話が多い。
読んだ残留思念も支離滅裂、まさに迷った夢が製造されている。
そんな中から真実を探し、社会・人生に対しての諦念と少しの希望の光をもって事件・事態の収拾に二人が奔走するという連作短編集。
人の悪意とミステリのカタルシスを味わい、主人公二人の関係性にやきもきし、と満足出来る作品でした。
ひとつ残念なのは、この二人の続編が見たかったなと。

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