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ミサイルが落ちても、大地震が来ても、つまらない飲み会は脱出したい

ポーランドにミサイルが落ちたらしい。
ロシア製のミサイルではなかったらしいものの、ある有識者の人は「これが第三次世界大戦の引き金になるのでは」というくらい心配されていた。

一方最近、関東では地震が多い。
ふだん私は割と高いビルの最上階で働いているので、震度2なんかでも大きく長く揺れる。いま南海トラフトの大地震が起きたら、70過ぎの両親や家族をどう守ったらいいのだろうと考えていると、なんだかため息をついてしまう。

戦争や災害など「社会がどんより暗いなあ」と感じるとき、私はいつもある人を思い出す。
発明家の藤原麻里菜さんだ。


藤原さん。ネットから画像をお借りしました。


私が藤原さんを初めて知ったのは、コロナ禍真っ最中の2020年初春。
ツイッターにたまたま流れてきた動画を見たのがきっかけだった。

オンライン飲み会緊急脱出マシーン | 無駄づくり - YouTube

中国から謎のウイルスが発生したらしい。それに感染したら死に至るらしい。
今はみんなすっかり慣れてしまったコロナというウイルスに対して警戒心も高く、日本中に分厚い不安がのしかかっていたあのころ。
藤原さんは当時流行っていたオンライン飲み会において「つまらないzoomの場を脱出できるマシーン」を発明していた。

通常のリアル飲み会では、店員さんの「ラストオーダーでーす」という声を合図に、場は「そろそろお開きにするか」という方向に動いていく。
しかしオンライン飲み会の場合、だらだらといつまでも続いていくことが多い。
オンラインワークショップなんかでは主宰者がしっかり時間のかじ取りをしているが、オンライン飲み会では終わりに対する意識が皆あまりなく、結果として「これ、いつまで続くんやろ」という場になりがちだったりする。

そこで藤原さんが開発したというのが、このオンライン飲み会緊急脱出マシーンだ。
zoomで接続や電波の状況が悪いとき、画面中央に出てくるあのグルグルを飛び出させ、自分の動きを止めることで、いかにも「電波の状況が悪いのでこれ以上オンライン出来ない感」を出し、自然?に退出することが出来る。
(もちろんこれを実際にやると信頼関係を失うので、ギャグとして見てほしい)

zoomの接続が悪いときに出てくるグルグル


最初これをみたとき、一見真面目そうな女性がこんなバカバカしいマシーンを発明して動画にしていることに吹き出し、そのままおなかを抱えて笑ってしまった。
でもあの当時世界中を覆っていた「コロナでこれから一体どうなるんだろう」という得体のしれない不安から、おおげさかもしれないけど私は一瞬救われたような気がする。

藤原さんのことは、最初てっきり理工学部系の大学を出て今はバリキャリとして働きながら趣味でユーチューブをしている人なのかと思いきや、なんと高校を卒業してすぐ吉本に入った元芸人さんらしい。
藤原さんがユーチューブを始めたころの動画を方を見ると、段ボールの滑り台とか、空気ポンプで胸を膨らませるとか、当時の動画は発明というより、素人の工作のような手作り感を感じる。

しかし今やあらゆる工具を使い倒し、プログラミングはお手の物、企業とタイアップして「ツイッターのつぶやきをイケメン人形に代読してもらうマシーン」など、あらゆる無駄なものの発明家として、我が道を歩いている。なんとGoogleや総務省にも表彰されたそうだ。

明るいニュースと暗いニュースがあると、人は暗いニュースの方に惹きつけられるように脳はできている。
会議なんかでも肯定的な意見と批判的な意見をしている人がいると、批判的な意見をしている人の方がかしこいと、私たちの脳は捉えるようだ。

でも、世界がどれだけ暗い空気に包まれようと、藤原さんのようにプッと笑えることを提供できる人は、人として最強だと思う。

どんな状況になっても、場に笑いを見出せる人で、自分もありたい。






プッと笑いだしてしまうような、楽しい文章教室はこちら(12月はおかげさまで満員御礼となりました。次回は3月の予定です)

ことのは文章教室・基礎の巻、オープンのお知らせ|小澤仁美|note

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