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B2B新規アポイント獲得手法まとめ

 B2Bの新規事業の開拓営業に10年従事し、年間100件ほどの商談を行っています。今回B2Bの新規顧客開拓で重要な点について、まとめましたのでご紹介します。
 B2Bの新規顧客開拓にあたって最も重要なことは、キーマン(意思決定者、若しくは意思決定者すぐ繋がれる人間)と商談を行うことです。但し、新規でコネクションのないキーマンのアポイントを取得することは通常困難です。ここを突破するには、キーマンの悩みを推定し、悩みに寄りそった提案をメールやlinked inなどありとあらゆる手段で行うことが重要になります。

キーマンの悩みに寄りそう

 文字通り、キーマンの悩み(キーマンに刺さりそうなこと)を推定して、その悩みと自社ビジネスを関連させて提案することです。仮に悩みが外れていたとしても、キーマンからするとこいつ考えているな、会ってみたいと思わせることが重要です。
 例として大成功しているジムフランチャイザーに新しいジム機器を販売するケースを考えます。キーマンはきっと、コロナによる店舗でのお客様減、自宅でのオンラインフィットネスサービスの台頭から、将来的にホームトレーニングサービスを行いたいと考えているに違いないと推定します。仮に拡販したい現行商品がホームトレーニングで利用できるものでなかったとしても、将来ホームトレーニングに繋がっていく利用シーンを提案できれば、キーマンの悩みによりそうことができます。
 もう一つ悩みに寄り添った例を紹介します。昨今どの会社もIOTだとかデータビジネスがと言っています。これは既存の産業構造や競争に疲弊し、そこから少しでも差別化を行いたい、という企業ニーズの表れになります。例えばガス会社のキーマン(この場合、事業開拓のトップなどでしょうか?)の悩みは、自社保有データでどのようなビジネスができるか?と推定します。その悩みに対して「例えばガス会社が保有している在宅データを使って物流の再配達コストを低減するビジネスを検討しましょう。我々のサービスは物流の再配達低減ビジネスではXXのようなシナジーを発揮できると思います」と提案することで、キーマンに寄りそうことができます。万一ガス会社で既に物流の再配達低減ビジネスについて検討していたとしても、先方からすると「この営業マン先見性があるな、他にも面白い視点を得られるかもしれない」と思って会ってくれる可能性は高くなります。

キーマンの悩みを類推する方法

 「悩みなんてそう簡単に類推できないよ」という突っ込みが入るかもしれませんが、実は悩みは簡単に検索することができます。例えば日本だと人材紹介のパーソルキャリアが運営しているeiiconというオープンイノベーションマッチングサイトがあります。このサイトには、大手企業が自らの課題や将来進みたい像、提携したい会社像などを掲載しています。仮にターゲット企業そのものが登録していなくても、同業を検索すれば、悩みはある程度推定できます。因みにeiicon自体は登録すれば、無料で登録企業と企業ニーズを検索することができます。また月に1~2通ではありますが、登録企業のオープンイノベーション担当(役員クラスが多い)にダイレクトメッセージを打つことができます。私の場合、eiiconのダイレクトメッセージでは60%以上の返答率がありました。
 また当たり前ですが、ターゲット企業のホームページからも調べることができます。おすすめはIRにある決算説明会資料や中期経営計画です。必ずといっていいほど、その企業の課題と将来像について記載があります。

業界のリーダーを狙え

 新規開拓営業としては、商談件数も重要ですが、一方で効率も重要です。その時に頭に入れておいて欲しいのが業界リーダーの存在です。例えば自動車業界でいうと、トヨタに採用されれば、トヨタの系列にも採用されるなどです。因みに革新的な新商材・サービスを自動車業界で拡販しようと思った場合、トヨタではなくTESLAやBMWといったメーカーにいくべきという暗黙知が業界にあったりします。暗黙知のため普通は分からないのですが、その業界での商談件数を増やし、商談相手にヒアリングすることで暗黙知も分かるケースがあります。

キーマンに提案を届ける8つの手法

 最後にキーマンに提案を届けるための具体的な手法です。結論からいうとありとあらゆる手法を試せなのですが、以下に私が使っている手法とコツを紹介します。
① 社長にダイレクトメール
 社長にダイレクトにメールします。社長のメールなんて分からないよと思うかもしれませんが、インターネットで簡単に類推することができます。社長の名前と、HPに記載のある問い合わせメール(@以下のアドレス)から類推することができます。社長以外の社員のメールが分かれば、@以前のルールが分かるので、類推は更に簡単になります。
② Linked in
 日本では少ないですが、海外企業の社長さんや役員クラスは登録しているケースが多いです。自分の繋がっている人数により、選択できる範囲が限られます。プレミアム会員だと検索範囲とダイレクトメッセージの送付制限がなくなるようです。
③ テレアポ
 昔からある手法ですが、①メールや②と組み合わせることで、未だに有効な手段ではあります。電話で取り次いでもらうために①と②が大事になります。電話の窓口に対して「XX/YY日にZZ様に○のビジネス提案をさせて頂いたものです。ご返答がなかったのでお電話させて頂きました」と話をすると、取り次いで貰える確立は高くなります。大手企業の場合、秘書の壁があるのですが、中小企業だとこれで取り次いで貰える可能性は高いです。
④ 展示会に行く
 
コンタクトしたい企業が出展している展示会に行き、ブースで提案するです。展示会にいる社員は営業が殆どですが、ターゲットは営業部長さんです。営業はビジネス感度が高いので、キーマンに刺さるような提案であれば、時間はかかるかもしれませんが取り次いでくれる可能性も高いです。また展示会で暇そうにしていれば、話の流れから「新規サプライヤー選定の方法や提案の持ってき方のアドバイス」などについてもヒアリングできるケースがあります
⑤ 飛び込み営業
 接骨院やジム向けにeラーニングを提供している社長さんは海外の新規開拓で飛び込みで成功していました。ベトナムで拡販に協力をしてくれる国立大学出身のベトナム人の方と一緒に、店頭でプレゼンテーションを行い、店頭スタッフから店長というルートで拡販に成功しているとのことでした。海外×飛び込みは私もやったことがないのですが、今後チャレンジしたいと思います。
⑥ 社内の紹介
 大企業の場合、遠いかもしれませんが、どこかしらでターゲット企業とは繋がっているケースがあったりします。仮に自社が繋がっていなかったとしても、自社のサプライヤーや子会社が繋がっているケースもあります。今だとSansanなどの名刺共有サービスなどで、社員の名刺を検索することができます。また社員がどのような会社と繋がっているかも見える化できるので、ターゲット企業と繋がっていそうなサプライヤーや子会社を見つけ易いです。以前所属していた大企業で新事業を立ち上げる際は、子会社のコンタクトや人脈が、重要な成功要因となりました。
⑦ 株主・銀行・証券会社による紹介
 スタートアップの場合、ここというターゲット企業が決まっている場合、株主に紹介を依頼するのは有効な手法です。VC界隈は人脈が豊富な方が多いので。また銀行や証券会社に紹介を依頼することもできます。この場合はスタートアップに限らず、大企業も活用することができます。最近は銀行などが大企業とスタートアップを繋ぐ活動を積極的に行っています。
⑧ JETROの活用
 JETROは中小企業の海外進出を行う様々な活動を行っています。例えばアクセラレーションハブというサービスがあり、進出したい国のターゲットカスタマーと何とか繋いでくれようとするサービスがあります。JETRO自体が直でターゲット業界に人脈を持っているケースはあまりないので、JETROが契約するコンサルタント繋がりで紹介してくれます。紹介件数は1・2件と多くはありませんが、紹介してくれたコンサル元と繋がり、販売協力を行える可能性はあります。
 雑多になりましたが、具体的な手法と事前を紹介させて頂きました。業界によって繋がり易い手法も変わりますので、最初に書きましたが、ありとあらゆる手法を試してPDCAを回すことが重要になります。あとは折れない心ですかね(笑)何かの参考になればと思います。

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