Gray Spring

SUKISHA×kiki vivi lily

Lyrics

--------------

人の営みとは少し離れた場所に足を運ぶ
嘘や惑いのようなくすんだ色はそこにはない
腕をこすって見つめた横顔
漂う視線に祈りと言葉を

Gray Spring
春になれば会いにいくよ
あなたの元へ
甘いプリンでも持っていくから
二人で食べて笑おうね
ひたむきな愛をくれた
ただ一人のあなたへ

人生はただrollin' 転がり歩いた道のり
普段通りの自分のつもり でも忘れていく肌の温もり
見通しの悪いスモッグに ただ重ねていくだけの不合理
明日生きてるかわからぬのに素通りして読み流した雑なストーリー

どっち向けばいいの?
わけもわからないまま涙流して
酸いも甘いも噛み分け歯を食いしばって
ご褒美の味もわからなくなるまで
胸張って生きていこう

春になれば会いにいくよ
あなたの元へ
甘いプリンでも持っていくから
二人で食べて笑おうね

Gray Spring
春になれば花が咲くよ
誰の心にも
あまり無理はしないで過ごして
また必ず会うその日まで
ひたむきな愛をくれた
ただ一人のあなたへ

Lyrics, composed, arrangement by SUKISHA

Vocal, chorus arrangement by kiki vivi lily

--------------

制作後記 (by SUKISHA)

この曲は今回の音源の中では一番思い入れが深い曲です。

もしかしたら一聴するとラブソングに聞こえるかもしれませんが、実は家族のことを歌った曲です。

僕の母方の祖母は重度の認知症で施設で暮らしています。

母はお見舞いに度々東京にやってくるのですが、たまに僕も一緒に祖母に会いに行きます。

祖母はもう、自分の娘や息子を認識出来ていません。

もちろん僕のこともです。

その祖母に、母が語りかけるんです。

「お母さん、私のことわかる?わかんないか」

「もっと一緒に旅行とか行けばよかったね」

ってね。

それで、甘いものが好きだからって、お土産にプリンを買って持っていって食べさせてあげるんです。

本当は羊羹とかあんこの方が好きだけど、喉に詰まらせると危ないから飲み込みやすいように、プリンを。

そして、食べさせたあと、爪が巻き爪だから伸びっぱなしだと危ないからって、ちゃんと切ってもらってるか靴下を脱がせて確認して、この年になって思うけど温もりって大事だと思うのと言って、祖母の腕をこすって温めてあげるんです。僕には祖母の手を握らせて。

きっとそれは、自分がしてもらったら嬉しいと思っていることなんです。育ててくれた母に対する感謝や尊敬の念からきているんだと。

年老いると言うことは同時に免疫が下がることも意味していて、特に冬は体調管理の観点からお見舞いに行くのも難しくなってしまうんだそうです。だから春になるまで祖母に会うことは出来ません。

去年、冬が始まる少し前に母とお見舞いに行った時、母は祖母の腕をこすりながら言いました。

「お母さん、春になったらまた会いに来るからね。元気で過ごして、また会おうね」

育った環境がそうさせるのか、僕は家族の前ではあまり友達といる時のように感情を見せることはありません。その光景を見ている時も、母からしたら特に何も変化はなかったと思います。

けれど心の中ではその光景にすごく何かを感じ入ってて、それが何なのか未だに答えは出ていません。

まだ30年そこそこしか生きていない僕には想像出来ない、もっと色々な体験をきっと祖母も母もしてきたと思うんです。

親に育てられ自我が芽生え、仕事をして人を好きになり、家庭を築き子供を作って育てて、そしてその子がまた親になって、孫が出来て。

それら全てにまつわる喜怒哀楽を経てたどり着く終着地点が、こんなにも形容詞がたく、美しいとも醜いとも、悲しいとも嬉しいとも言えない、けれど感情としては非常に強い、そんな気持ちに繋がっているんだということを、自分は歌にしなくてはならないと感じました。

少なくとも色で例えるならば、春がどれだけ美しい季節だとしてもそれは灰色だろうと思いました。

完成した時一人で泣きましたが、その涙に含まれるのは喜怒哀楽ではない純粋な感情の塊でした。エモい。

どの曲もそうだけど、この曲は特にキキビビちゃんに歌ってもらってよかったなと思ってます。彼女の歌のおかげでいい曲になりました。ありがとう。


と言うことで、このアルバムに収録された歌の解説は以上です。

購入してくれた方、ストリーミングで聴いてくれてる方、Remixをしてくださったtofubeatsさん、ジャケットデザインのShota Nemotoくん、皆さん本当にありがとうございます。

きっとこのアルバムが僕とキキビビちゃんにとって大きな意味を持つことになると思っています。

いつかまた一緒に曲を作る時、それは恐らくお互いに大きな飛躍をしたあとになることでしょう。

たった二人だけでこのアルバムを完成させたことを誇りに思います。

長い年月、たくさん聴かれて愛されるアルバムになりますように。

2019.12.17 AM4:02 SUKISHA