実験上のプチ困難

1.はじめに

理科教育 Advent Calendar 2019で、拙筆で申し訳ございませんが2回目の記事を書かせていただきます。主催者のアイデアに強く賛同しますので、空欄なんてとてももったいない!と思い、書かせていただきました。本当は知り合いや後輩を記事に誘ったりする予定でしたが、ちょっとばたばたしてできませんでしたので、私の2回目の投稿となりましたがお許しください。

参考リンク(理科教育 Advent Calendar 2019)

ここで書くことは実験教材とその困難に関してです。実験上には大きなもの、小さなもの、原理的なもの、テクニカル的なもの、様々な”困難”がつきものです。私はその困難をみんなで共有し、”それならこうすればいいよね”といった情報を交換できればいいと思ってnoteやtwitterで情報を発信しています。しかしながら、教育的な実験の特性かもしれませんが、その"困難"が時には"目的"に化けることもあります(例えば、何らかの濃度を決定しようとしたときに発生する誤差がなぜ起こるのかを推察する活動などです)。なので、私が例示した"困難"は、ある人にとっては"困難"と言えるものではないかもしれないです。そのような教育的な実験の特性を含んだ上での記事と考えていただければ幸いです。

2.気まぐれアンケート

実はつい先日、アンケートを行いました。アンケート内容は以下の通りです。(締め切りは10分前でした笑)

Q.陰極・陽極共に銅板を用いて、硫酸銅水溶液を電気分解すると、陰極・陽極共に質量が変化します。この極の質量変化を利用してファラデー定数(1molに相当する電荷量)を見積もる活動を行う時、
①陰極の質量増加を測定する方が良い派
②陽極の質量減少を測定する方が良い派
③どちらの極でも測定できるのでどちらでもok派

のどれですか?

といったものです。

割合は①:32% ②:39% ③:30% くらいに分かれました。やや陽極測定派が多いといったところでしょうか(私も、実は②派です)。理論だけ見れば③が多くなってもよさそうなのですが、このような結果になったのは興味深いですね。(理論に関しては、高校化学でよくある定番実験です。ネット上にも多数紹介されています)

本当はこの中で、さらにどれだけの方が実際にこの実験をしたことがあるのかが気になりましたが、そこまでは追いかけられませんでした。実は、私がこの実験をした時の写真が残っています。

画像1

この写真をみて、どう思われましたか?恐らく、この状況で負極を用いようと考えた方は少ないはずです。下に落ちまくっていますし笑(右が電子を受け取って銅が析出している負極、左が銅から電子が抜き取られて溶解している陽極です。)

このように実験においては、理屈の上では負極の増加を測定しても目的は達成できそうなんです。が、実際に実験すると小さな困難がたくさんあることに気付きます。もし、先生が陽極の減少量を測定するアイデアが浮かばなかったら...この実験はお蔵入りになるかもしれませんね。

この記事をみて、「初歩的なことだ」と思った方もいるかもしれません。しかしながら、この様な初歩的なことでも実際の教育現場では引っ掛かりになってしまいます。そしてそれを解決するためにまた遠回りして...時間が無くなって...今回は実験はしなくてもよいかな。となってしまうこともあります。それは残念なことですよね。

3.実験上のプチ困難の解決

こういったプチ困難は色んな所に隠れていて、「やってみないと気付きにくい」という特性があります。なので私は、教員も実際に実験することがとても大切だと考えています。生徒が実験を通じて事象を見出し、理論を用いて測定ができるようになるのと同じで、教員も実際の現象を目の当たりにして、どのような活動を展開できるかということを強く意識しておく必要があると思います。

そして、このプチ困難を解決するにはどうしたら良いか。それは...実験をたくさん経験するしかないと思っています。いきなり身も蓋もないことを言って申し訳ないです。しかし、そこで得た知見をこの様な場で共有することはできると思います。

理科実験はやってみないと分からないという側面があると思います。理科教育に携わる方が、この記事を見ていただいて実験上の"困難"が存在するという事実と、それを踏まえた実験の重要さを再確認していただけると幸いです。また、釈迦に説法となりますが実際に教壇に立たれている方がこの記事を見ていただいて(生徒も、教員も)「やっぱり実験せな!」となっていただけることを願います。

今回は少し短めでですが、こちらで今回の私の記事は終わりです。ここまで読んでいただきありがとうございます。チャレンジした実験はTwitter @nachu_scienceにも紹介していますので、もしよろしければ覗いてみてください。実験上の困難をクリアできるようなエッセンスをできるだけ入れて紹介しています。逆に、私がこういう実験したいけど困難はありますか?と聞くこともあります。色々な人に助けられながら、時には助けながら、実験の情報を日々アップデートしていこうと思います。

この後も理科教育 Advent Calendar 2019では様々な方の記事があると思います。ぜひ、見ていただいて理科教育について思いを馳せてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?