おけパ中島目線の関係考察

私は漫画が読めない。
シンプルに、人生が漫画という媒体と交わらなかった。それだけが理由なのだが、今日、友人の紹介をもって、あるツイッターに投稿された漫画と出会った。その漫画も例に違わず10分ほどの時間をかけて読んだうえで、3割程度しか理解することができなかったということをここに告白する。しかし、今まで漫画と人生が交わらなかった私にとって、その漫画はあまりにも身近で、そして最近の私の中のトレンドにヒットした。

以下の漫画がその漫画だが、友人によると、これは数日前からバズっていたようなので、読んだことのある人も多いだろう。

https://twitter.com/sanada_jp/status/1278618394099474433?s=20

(原作者にリスペクトを持ちつつ、)内容をサラッと紹介すると、ある天才字書き(以下、綾城)のファンになった女性(以下、友川)が…まで書いたところで、私の要約力だけでは内容を伝えることが不可能だと察したので、元ツイートを見てほしい。

多くの人が登場人物に共感しているようだが、皆さんはだれに共感しただろうか。私は個人的に、おけけパワー中島(以下、おけパ)に共感した。というか、この漫画を紹介してくれた友人とともに以前から気付いていた世の中の真理に、世界が気付き始めてしまった…!という焦りを感じた。

この漫画の題材は天才字書きと秀才字書きだが、内容を見る限り、友川は綾城の人格に惚れている。これは、文字を書くのがうまいという彼女の才能以前に、彼女の人間性、また、彼女の人間関係にも友川が関心を示していることから、その事実が分かる。
そして、多くの人が自分を友川だと認識している。つまり、世の中には綾城のような人物がたくさんいて、それにあこがれを抱いたことのある人物もまたたくさんいるということだ。綾城はこの漫画のようにネット上の人物かもしれないし、クラスの人気者かもしれないし、芸能人かもしれない。しかし、形は違えど多くの人が綾城に出会っていて、本人の実力以上のところで惚れ込んだことがある/惚れ込んでいる人を見たことがあるということが推察される。

声を大にして言いたいのだが、私と私の友人(以下、A)はこの事実に以前から気づいていた。
文字には声がないので、文字を大きくしました。

綾城ような人のことを、私たちは謎魅力と呼んでいる。

まず、私たちがなぜこの存在に気づいたかというと、友人Aがまぎれもない綾城=謎魅力だからだ。
友人はなぜか人に好かれ、恋愛感情を抱かれやすいタイプの謎魅力である。その力はもうすごくて、具体的に言うことは難しいのだが、とにかくすごい。一目見た時点で、みんな彼女のことが好きだ。顔が特にかわいい訳ではないのに。いや、かわいいのだが、一番、あるいは普遍的可愛さではないという意味で。
対して、私はどうだろうか。私は彼女と初めて出会ったとき、彼女に興味がなかった。というか、彼女の存在を知らなかった。名前も、彼女がよく一緒にいる人と混同していたし、彼女がどんな顔だかも覚えていないというか、意識したことすらなかった。

何より、私はめちゃめちゃ嫌われやすい。

それはもう他の人に比にならないくらい嫌われてきた。そしてその理由は決まって、「何か知らないけど人気のある人と仲がいいから」というものが根底にある。

幼稚園の時は園で一番かわいがられていて、ごっこ遊びは主役になる女の子に気に入られ、さらには私がその子から主役に任命された。
小学校の時は大手芸能プロダクションから電話がかかってくるような子と仲が良く、クラスは一度も一緒になったことがないのにも関わらず、その子は6年間私だけと登下校を共にした。
中学校の時は、元ボウリングの日本強化選手で、成績が特別いい訳ではないのにただ「目立つ」という理由だけで新入生挨拶をした子に間違えて「死ね!」といってしまったのにもかかわらず、それがきっかけで親友になった。
高校の時は、バンドを組んでいたのだが、そのボーカルのファンがわざわざ他県からやってきて、実力に見合わない賞をたくさんもらい、Sound Cloudでは私たちのバンドのプレイリストが何者かによって作成された。
そして今、大学である。大学では、友人がモテすぎて、プライバシーを保護する関係で具体的なことは言えないが、先述したようにとにかくすごい。


予想してみよう。あなたは上の文章を読み飛ばした。嫌われているでしょう?私。

とんでもない謎魅力がたくさんいて、そして私はとんでもないおけパなのである。しかし、私はその事実に20年間気づいていなかった。なぜかというと、謎魅力以外に嫌われすぎて、謎魅力以外の友人がいないばかりに、謎魅力が世界の標準だと思っていたからだ。
私のような人のことを、ここでは「謎魅力を釣る人」という意味で、釣り人と呼ぶ。

釣り人から見ると、今回の漫画はあまりにも日常で、知ってはいたけど、こんなに嫌われてるんだ!と思った。
釣り人おけパに関しての考察をいくつか見たが、たぶんみんなが思っているよりもおけパはいい人ではない。おけパを擁護するために、おけパは大人だとか、おけパは毒マシュマロが来ても綾城にそれを伝えないとか、そういうことを書いていたが、まあたぶんおけパはそんなにいい人ではないだろうな、と思う。というか、たぶん何も考えていない。もしも毒マシュマロについて、綾城に話していなかったらそれは単にその件について忘れていただけだし、綾城にリプライを送ったのもいいね!と思った以上の意図は何もない。何なら、友川の小説にもいいね!と思えば、それに対して称賛のリプライも送る。「何にも考えていない」以上のことはないのだ。

そして、釣り人は何も考えていないゆえ、たぶんめちゃめちゃ嫌われやすい。表面上は何か意図を持って行動しているようなのに、実際は何も考えていなくて、そして謎魅力に好かれる。

さらには、無礼。

とにかく無礼。無礼な行動をとりまくるのだ。何が無礼なのかは私が釣り人なので分からないが、先述した「死ね!」はおかしいだろう。それに、高校の謎魅力と仲良くなったきっかけも、唐突に後ろを振り向いて「私膝なくね?」といったことだ。まるで相手の興味を考えていない。

そしておそらくこのような行動は、謎魅力以外の人にもやってしまっているのだろうな、と今回の漫画を読み、そのレビューを見て気づいた。
この無礼な行動は、おけパにおいては、「感謝してもええんやで」ツイートにあたる。私が漫画を読んで三割しか理解できなかったのは、もちろん私の人生が漫画と交わることがなかったから、というものもあるが、私は友川が怒っている理由がまるで分らないというか、何ならおけパの文字が文字情報として入ってくるだけで、言葉として理解できなかった。本当に、とことん興味が湧かないことは見えない目になっている…しかし多くの人がそこに着目し、怒りを抱いているのを見ると、あ~~~!確かに無礼!と思った。

これで、釣り人が嫌われがちということと、何も考えていないということは伝わったと思うが、謎魅力のファンの中で、友川のような人は最も思慮に富んだ人だと私は思う。
謎魅力を知るための努力も惜しまないし、謎魅力に追いつくための努力も惜しまない。そのような努力ができたうえで、釣り人への憎悪も、謎魅力の前では必死に隠す。釣り人よりもよっぽど大人だ。そして、このような人は謎魅力と仲良くなれる可能性があると私とAは分析している。

というか、Aのことを冒頭で言及したのに、今の今までその存在を忘れていた。無礼だ…

ただ、Aやほかの謎魅力が言うには、人が寄ってきたり、褒められたりするのにはあまりにも慣れすぎて、ありがとう。以上の感情は抱かないそうだ。つまり、褒められたことは、その人とそれ以上に仲良くなる理由にはならないということだ。おけパは知らないが、私はほめることのほかに、先述したような狂った行動を突然とる。そして仲良くなる。このように、何か特殊なことがなければ、謎魅力が仲良くなろうと働きかけることはないようなのだ。


ここで、友川をもう一度見てみよう。
友川は、ほかのファンと異なり、努力で文才を身に着けた。つまり、謎魅力にとって、「ほめてくれる人」以上の価値を身に着けたのだ。その結果、友川は最終的に認知されることとなった。


しかし、私の経験上、友川のような人は最終的に謎魅力を消費し、傷つける

釣り人が何も考えていないのに対して、友川は明確に謎魅力に対して感情がある。そして、神に認知されたという優越感もある。その結果、謎魅力に対して「私のことを認知しているよね?」「私は他とは一線を逸した存在だよね?」という確認を逐一とるようになるし、自分の理想の謎魅力像から外れた瞬間に、謎魅力を嫌う。

このような人のことを、私たちは、「釣り人の皮をかぶった存在」ということで釣り皮と呼んでいる。
私の経験でしか語れず、反感を買うことを承知でいうが、釣り皮は間違いなく謎魅力を消費するし、釣り人と自分を比較する。しかし、謎魅力は釣り人のことが好きなのだ。好きな人のことを悪く言われた謎魅力は釣り皮に対して心を閉ざす。すると、途端に釣り皮は発狂し、謎魅力や釣り人を声を大にして嫌いだすのだ。
私の人生で、何度もこのような人を見てきた。


じゃあどのようにして謎魅力と仲良くなるのか。これは釣り人を懐柔するのが一番近道だと思う。

釣り人は、人から好かれない代わりに、何も考えていないので、自分が気に入った人をすぐ自分の友人に紹介する。その友人が素敵な人だから紹介したいとかそういうことではなくて、ただその人のことが好きだったから、その感情を何も考えずに口から垂れ流す。謎魅力を独り占めしたいという気持ちもないので、他人の好評を謎魅力に向かって口から垂れ流す。そして、謎魅力は釣り人が好きなので、釣り人が紹介してくれた人だから仲良くなってみよう!となる。
マンガでも、おけパが紹介したことによって、友川は認知された。つまりそういうことなのだ。釣り人は友川に対してわ~!すごい!と思ったから紹介した。それだけの事だが、綾城にとっては、「おけパから聞いた今話題の字書き」だから声をかけたのだ。

そして、たぶん釣り人はこう言うだろう。

「あなたのことは私が紹介したんだよん!感謝してもいいよ」

無礼なので。
ただ事実を述べる意図で友川にそういうことを言うと思うが、本当に意図はないので、許してあげてほしい。許してください。私は悪くないので謝らないけれど。


これが、私とAが日常から感じていた世界の真理とその解説である。


そしてこの真理の恐ろしいところが、この文章がバズったとしてもバズらなかったとしても、私の嫌われ性の証明になるという点だ。そしてこういうことを言うと、たぶん批判が集まると思う…ということを言っても批判が集まり、さらにこれへも批判が集まる。なぜなら私は釣り人だから。
そして、どんなに私が嫌われても、今も昔も明日も昨日もずっと私とAは一日も欠かさずラインをしていて、Aは私にだけは即返信をし、とても仲が良い。これまたただ事実を述べているだけで私には何の意図もない。ということを言っとかないといけないなということに文章を打ちながら気づいた。
謎魅力とそれを取り巻く関係はどこのコミュニティにもあって、友川が今後綾城を傷つけないということを祈りながら、私はバアアアアアアアアアア!!!!!締めの言葉が思いつかない。


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