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ストウブで炊くごはん

私のように夫婦共働きしている多くの家庭共通の悩みが、家事のことだと思う。

人を待たせているというプレッシャーからか、お金をもらっているというプレッシャーからか、どうしても仕事を優先してしまう。そしてどんどん優先順位の下がる家事。余白のないスケジュール。まあいいやと見て見ぬ振りする土日。

やらなくてもなんとかなるはずの家事を放置しておく。すると、生活が物理的に回らなくなるだけでなく、なんでか精神的にもかなり参っててしまう。噂によると、回っていない目の前の生活をふと俯瞰した瞬間に、こんなことすらも満足にできないなんてと考え、気を病んでしまうこともあるらしい。

そんなこんなで、悪いサイクルを断ち切ろうと、家事の外注を試みる。そこでまず候補に上がるのが料理。外食すればいいのだ。特に我が家のようにお互い帰宅時間が定まらないタイプの夫婦だと、家で食卓を囲める可能性の低さから作り置きなど計画的な自炊プランはすぐに崩壊する。計画し、買い物し、料理を作り、片付け、保存し、計画倒れし、賞味期限に間に合わなくて捨てるくらいなら外食の方が金銭的にも精神的にもまだマシなのだ。

だからこそ、家で料理を作る日は特別だ。特別時間的余裕があって、特別情熱がある稀有な瞬間。こんな特別なときに主食が普通の白飯ではいけない。そこで出番なのがストウブである。

もちろん炊飯器で炊くよりはちょっと面倒。だけど料理をするぞと誓った瞬間に給水を始めれば、おかずが完成する頃に丁度炊き上がる。水加減や火加減で仕上がりが変わるのも感性が磨かれ、なんだか新しいスキルが身につく感じがする。これは白飯じゃない、白ごはんだ

つまるところストウブは非人間的な私の生活を、ローコストローストレスで丁寧な生活っぽく彩ってくれるのだ。

高望みはしない。でもちょっと自己肯定感が育つ。ストウブごはんと自炊の時間はわたしの恒常的な心の荒波を、そっと沈めてくれる。


2019/07/29 NAKAO AYUMI

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