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マスター・ソムリエがセレクトするサブスクリプション・ボックスとは? 2020/8/21

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8月半ばを過ぎても、未だにレストランでは店内飲食が禁止されているニューヨーク。店の外にテーブルを出して営業する店が増えていますが、この暑さの中、屋外での飲食もなかなか気が進まず、先日、初めてワインのサブスクリプション・ボックス(サブスク)を購入してみました。

 サブスクリプション・ボックスとは、いわゆる定額購買で、その名の通り商品が”箱”に入って定期的に届けられるサービスです。日本でも浸透してきていますが、アメリカではここ10年で急成長を遂げているそうで、ありとあらゆるものが、"サブスク"化されています。

 ワインのサブスクリプション・ボックスで、有名なのが、WINC。味の好みを探る質問(コーヒーは苦いのが好きか?等)に答えると、自分の嗜好に合ったワインがおすすめされ、毎月違うワインが送られてきます。1本あたり平均13$程のワインで、値段も良心的なこともあり、全米中で大人気です。SNSの活用も上手く、彼らのインスタグラムは13.5万人にフォローされています。

 一方、私は、情報誌NEWYORKマガジンの「ソムリエによる、ワインのおすすめサブスクリプション・ボックス」という記事で見つけた、SOMMSELECTというワインショップの4本ボックスを購入しはじめてみることにしました。ソムリエ界の最高峰といわれているマスター・ソムリエの資格を持つIAN CAUBLE氏が監修している会員制のオンラインワインショップです。

 このIAN氏、Netflixのマスター・ソムリエを目指すドキュメンタリー番組「SOMM」に出演していた人なので、見覚えがある方もいるのではないでしょうか。

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(SOMMSELECTの創立者、マスター・ソムリエのIAN氏)

サブスクリプション・ボックスの中身は、IAN氏率いるSOMMSELECTのチームが、毎回テーマを決めてセレクトしているのだそう。NETFLIXの番組「SOMM」を見て、血の滲む努力の末にマスター・ソムリエを取得した彼を覚えていたので、そんな人が選ぶワインに興味津々、どんなセレクトなんだろう・・・と、ワクワクしながら到着を待ちました。

 4本で99$(約10,400円(+税、配送料))のスタンダードタイプを購入し、約1週間後に丁寧な梱包で届きました。

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ニューヨークのワインショップでは、緩衝材(プチプチ)すら巻いてくれない所が多いので、しっかりした梱包に少し感動しました。

 この発泡スチロールの梱包箱を開けると、ビニール袋に包まれた保冷剤が入っていました。到着した時にはすでにホカホカになっていましたが、ニューヨークで保冷剤を初めて見ました。もしかしたらこの発砲スチロール箱は、夏季専用なのかもしれません。

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 そして、気になるワインのセレクトは、産地、品種、スタイル共に異なる4本でした。どのワインも今まで出会ったことも、飲んだことがありません。知ってるワインが入っているかな?という期待は、良い意味で裏切られました。

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左から、【テーマ】、産地、生産者、ワイン名の順に・・・

①【New World Red】Napa/USA、CALTIVAR、Cabernet Sauvignon 2018

②【Crisp, Unoaked White】 Wachau/Austria、Högl、WACHAU GRÜNER VELTLINER2018

③【Old World Red】Toscana/Italy、Istine、CHIANTI CLASSICO 2017

④【White Fermented and/or Aged in Oak】Burgundy/France、Domaine EVE&MICHEL REY、Macon-Vergisson "LA ROCHE" 2017

 というラインナップでした。それぞれの各テーマの説明書きが入っており、【Crisp, Unoaked White】(キリっとした、樽を使用しない白ワイン)とはどういう事か?、どういうスタイルに仕上がるのか?という内容が丁寧に分かりやすく説明されています。しかし、生産者やワイン個々の説明はなく、個人的にはマスター・ソムリエに期待しすぎていたのか、少し物足りなさを感じました。(IAN氏の感想を聞きたかった!)

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山ほどあるワインのサブスクリプション・ボックスの中でも、いかに個性と強みを際立たせたサービスであるかが重要となるかと思いますが、今回のSOMMSELECTは、前回紹介したUSUALWINESとは ターゲットもアプローチ方法も全然違います。目を引くスタイリッシュさは全くないのですが、説明書などから感じられる実直さが好感をもてました。おそらく、ワインを一歩踏み込んで勉強しながら楽しみたいという人がターゲットであろうし、そういう人たちにとっては、送料込み、4本で約13,000円くらいという値段設定も、安すぎず、高すぎずで、丁度良いのではないかと思います。

 今回購入したのは、一番安い4本ボックスでしたが、SOMMSELECTには他にも6本で199$(約21,000円)のブラインド・ボックスというのがあります。これは、ワイン1本1本に黒紙が巻かれており、ブラインドテイスティングができる状態で送られてきて、且つ、マスター・ソムリエ IAN氏のテイスティングコメント解説付きらしく、ワインの試験やテイスティングを勉強したい人には面白いでしょう。

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(SOMMSELECTのブラインドボックス)

私個人としては、値段に関わらず、「自分で探して選ぶ」ということにモノを買う楽しみを感じるので、サブスクリプション・ボックスというサービスそのものに、あまり興味がなかったのですが、やはり、何が届くんだろう?というワクワク感は確かにありました。しかし同時に、すぐに飽きてしまうのではないか?とまだ少し懐疑的です。世界中で7000以上あるサブスクリプション・ボックスの約7割はアメリカのサービスだと言われています。それだけライバルも多く、一時的に人気になっても、飽きられ、消えてしまうものも多いでしょう。この、サブスク戦国時代にSOMMSELECTは生き残っていけるのでしょうか?まずは自分自身を実験台に、引き続き探っていきたいと思います。

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