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ネット×教育、そしてVR×教育へ―私のN予備校運営としての挑戦

みなさんはじめまして。ドワンゴ教育事業本部コンテンツ開発部教科学習セクションの國井(くにい)といいます。
N予備校の運営、特に大学受験・科目学習コンテンツ担当として、N予備校の授業や教材などのコンテンツの企画制作をしています。

この記事では、
1.私が「ネット×教育」の仕事を選んだ理由
2.N予備校運営として、いま挑戦していること

主にこの2点について書いています。

10代の頃は学校・塾に馴染めず、過敏性腸症候群に

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最初に、私個人の話をしたいと思います。

私は大学・大学院では教育学を専攻し、そのまま新卒で教育系出版社に入社、その後転職してドワンゴ教育事業本部へ…と、一貫して「教育」に関わってきました。なぜかというと、10代の頃からずっと、「教育」が自分にとって一番の関心事だからです。

「教育」に関わる仕事をしたいと思うようになったのは、中学・高校時代でした。
「教育系の人=学校・先生が好き」というイメージを持たれているかもしれないのですが、むしろ私は真逆で、中学生ぐらいから、なんとなく「学校は苦手だな、なじめないな…」という思いを抱えていました。

10代の頃、仲の良い友人はいたものの、学校特有の雰囲気がどうしても苦手でした。
中学は校則がめちゃくちゃ厳しく、あいさつの声が小さいと罰としてスクワットをやることになっていたり。あの子が急に不登校になったらしい。あの子は家に警察が来たらしい。ヤンキーの先輩が通学路で後輩を見張っている笑。公立中学の多様性の渦の中で、「これはなぜなんだろう?」と、思っていました。
進学した高校は進学校だったのですが、今度は進学校特有の雰囲気になじめず。有名大学への合格者数や、模試の成績の話ばかりの朝礼。学校に軟禁され、大量の課題をこなす毎日。決して広くはない教室に、同じ年に生まれた人間が30人以上詰め込まれて、全員が同じ服を着て、同じ方向を向いて、ひたすら勉強に励んでいる…。「マジで?(これって、本当に当たり前なの?なぜこうなんだろう?)」って、やっぱり思っていました。

人間、合わない場所に我慢して長時間いるとどうなるか。身体は正直なもので、私はストレスで過敏性腸症候群になっており、ずっとお腹が痛いのを我慢しながら授業を受ける苦痛の日々でした…涙。
また、中学時代には塾にも通っていましたが、塾もやはりあの特有の雰囲気が苦手で、なので大学受験は予備校には通わず独学でやりました(だから、当時N予備校があったら絶対利用していました…!)。

「ネット」と「教育」の交わる場所に関心を持つきっかけになった、ある事件

こんなふうに、たくさんの「なぜ?」を抱えたまま学校に通いつつ、私は「学校以外の世界」にのめりこんでいきました。
当時、そんな私が夢中になったものは3つありました。
1つは活字。とにかく本はずっと読んでいました。あと、新聞も毎日隅から隅まで読んでいました。
2つ目は、お笑いと深夜ラジオです。どちらも「予想のつかない展開」と「自由さ」に惹きこまれました。
大人になった今でも、本も、お笑いも深夜ラジオも大好きです。
そして3つ目が、インターネットの世界でした。

私が10代だった2000年代、「学校の世界」とは別に「インターネットの世界」があり、さらにインターネットの中にも「学校の世界が持ち込まれている場所」が生まれました。
この頃の「インターネットの世界」と「学校の世界」、この2つの世界が重なっていたり、いなかったりする状態が、自分にとってはとても不思議で、「今、何が起きているのだろう?」と思いながら日々を過ごしていました。
そんな2004年、私が高校1年生だったとき、「佐世保小6女児同級生殺害事件」が起きました。

佐世保小6女児同級生殺害事件・・・2004年6月1日、長崎県佐世保市の市立大久保小学校で、6年生の女子児童が同級生の女児にカッターナイフで切り付けられて死亡した事件。加害女児と被害者は、互いにコミュニティサイトを運営し、チャットや電子掲示板で書き込みをする仲だったが、サイト上でのトラブルがきっかけで関係が悪化、事件へと発展した。

この事件を報じた新聞記事を読んだ瞬間、「なぜ、こんなことが起きるのだろう?」「今、ネットと教育が交わる場所で何が起きているのか、もっと知りたい!」という強い思いが湧いてきたことを、今でもはっきり覚えています。
そして、現在につながる「インターネット×教育」というテーマが、このとき自分の心の中にハッキリと浮かび上がってきたのでした。

早稲田大学文学部に入学した私は、教育学専攻へと進み、そこで教育社会学に出会いました。学校や教育に対して違和感を抱えてきた私にとって、教育社会学という、既存の教育という枠組みに対して批判的に分析していく学問に出会えたことは、本当に幸福でした。頼れる仲間を見つけたような気持ちで、様々な本を読みました。
卒論は、佐世保小6女児同級生殺害事件も引用しつつ「ネットいじめ」をテーマに書きました。今でも、ネットいじめ・ネットリンチの問題には強い関心を持っています。

ずいぶん長くなりましたが、こうして私は「ネット×教育」の世界を選びました。そしていま、インターネットを通じて、既存の教育の枠組みを変えるということにチャレンジしています。

今の仕事、そしてN予備校が目指しているもの

改めて、今、私は株式会社ドワンゴで、学習アプリ「N予備校」の運営、デジタル教材(生授業、デジタル教材)などの企画制作の仕事をしています。
私が仕事をしていく中で一番大切にしているのは、「N予備校のコンセプト」です。
N予備校(教科学習部門)のコンセプトの一部を、以下に掲載します。

「N予備校(大学受験部門)は、受験を軸としながらも、ユーザーが「自分自身が何を学び、そのうえでこれからどのように社会と関わり、貢献していけるだろうか」「自分自身が何者であるか」について考えられる、ネット上の「場所」としたい。」

私が10代だった頃よりも、いっそう社会の中にインターネットが浸透した今。
便利になった部分がある一方で、社会全体としてより幸福になったかというと、そういう実感はあまりありません。
孤独感を抱える人は多く、その痛みが他者へと向けられたとき、「いじめ」や「リンチ」といった形で表出します。それらが表出する場所が、現実の世界から、ネット上へと変わりつつある、そんな時代を私たちは生きているのではないでしょうか。

そんな中で、私(たち)が挑戦していることが、上記のコンセプトです。すなわち、「自分自身が何を学び、そのうえでこれからどのように社会と関わり、貢献していけるだろうか」「自分自身が何者であるか」について考えられる、ネット上の「場所」を作ること。N予備校を、そんな「場所」にする、ということです。

もっと多くの人が自分らしく生きていける社会にするためには、教育を変える必要があると思っています。
しかし、既存の学校(教育)の枠組みの中で改革を起こそうと思っても、なかなか難しい。
なぜなら、既存の枠組みというのは、とても強力なものだからです。
でも、ネットを通してなら、日本の教育システムという強固な枠組みに対して、破壊的イノベーションを起こしやすい。
だから、私たちは常にチャレンジしています。

「VR×教育」への挑戦

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最後に、いま私たちN予備校チームが挑戦しているテーマ、「VR×教育」プロジェクトについても少し書かせていただきます。
10月15日に発表されたように、今、株式会社ドワンゴと株式会社バーチャルキャストがタッグを組み、「VRを使った教育」の実現にチャレンジしています。

VRを使うことで、これまでのインターネットを通じた学習では実現の難しかった、「体験」を伴う学びが実現できます。学習が「体験」とセットになることで、もっと科目の内容に興味を持つことができる、好奇心を刺激する、「こういうことだったのか!」という驚きと興奮を伝えられる…そんな、まだ誰も見たことがない「VR教材」の企画制作に、プロジェクトチーム全員で毎日奮闘しています!

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おわりに

今回の記事では、最初に自分の話を書かせて頂きました。それを読んで、「こんな人もいるんだな~」って思ってもらえたら嬉しいです。そして、もしかつての私のように、学校になじめず辛い思いをしている人がいたら、「こんな人もいるんだな~」って、この記事を読んで、少しでも勇気をもってもらえたら嬉しいです。

大人になった私が思うのは、「何かになじめない」のも、「当たり前のものが合わない」のも、全然悪いことじゃなかったんだな、ということです。
自分の感性を大切に、その感性で世の中をもっとよくしていくために、問題意識を持ち続けてください。絶対に、仲間が見つかるから。

いま、受験生の方も、そうではない方も、コロナ禍という困難な状況の中で、たくさんの不安を抱えられていると思います。
N予備校運営チームはいつも、学びに向かうみなさんのことばかり考えています。
不安な気持ちになったとき、嬉しいことがあったときは、気軽にN予備校のフォーラムや生授業に来て下さいね。そこには、たくさんの仲間がいますから。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

くにい

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