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子供を持たない生き方

最近、日本で「子供を持たない女の生き方」に関する記事を目にする機会が増えた。

アメリカでも同様で、つい先日もニューヨークタイムズで、子供がいない女性に対する宣伝広告が難しい....といった内容の記事があった。

子供がいない、と一言でいっても、自分の意志でそれを選択したのか、それとも持てなかったのか。”子供がいない女性”をひとくくりにできず、アプローチが複雑らしい。

私自身、35歳で娘を出産するまで、いつか子供は欲しいと思っていたし、子供を持たないということは、人生で一番避けたい事項であって、34歳の誕生日を迎えた頃から、妊娠出産が最優先だと思うようになった。

そんな私が、幸せな生き方って人それぞれ違うものなんだ、と本気で腹の底から腑に落ちたのは、友人の一言がきっかけだった。

60代のアメリカ人女性Mは、某化粧品会社の役員をしていて、休日は映画やブロードウェイを観たり、年に数回友人に会いにヨーロッパに出かけたり、先日は一人でアリゾナのリゾートに滞在するなど、まさに自由で優雅なシングルライフを謳歌している。

これまで一度も結婚したことがない彼女は、友人も、充実したキャリアも、お気に入りのアーティストの作品が飾られたアッパーウェストの居心地の良いアパートも持っていて、どんな相手とでも的確でかつユーモアのある会話ができる、尊敬する女性の一人。

それでも、一人の人生は寂しいのでは?なんて思うことも、正直あった。

そんな彼女が、私の出産後数ヶ月して、娘に会いに遊びにきてくれた。

一時間ほど自宅で過ごした後、娘を夫に託して、ランチに出たのだけど、近所の日本食レストランでうどんをすすりながら

「子供は大好きだけど、自分の子供が欲しいと思ったことは一度もない」

と彼女が言った。

「どうして?」

そう聞くと

「私の父は私がまだ幼い頃に亡くなってるでしょう。私は長女で、二人の弟は3歳と2歳だった。父との結婚でイタリアからアメリカに来た母はそれほど英語も得意でなかったし、私が母親代わりにならくちゃと思って育ってきたの。だから、大人になったら自分のためだけに時間を使いたい、ずっとそう思っていた。」

私はこれまで自分のことだけを考えて、エゴだらけで生きてきて、ある時、こんな調子でいつまでも生きていくわけにいかない、心底そう思って、育児をすることを渇望したけれど、全く違う時間の流れで生きている人もいる。

これまで頭では理解したつもりでも心底納得できていなかったそんな事実が、彼女のその一言で、自分の中にストンと入った。

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