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虐めにあった小学生時代1

生まれて初めてヒロインを救った日

よくある農家の家の次女として生まれ「男の子がほしかった」という家族の惜別の念を一心に受けた私は、すくすくと「少年らしく」わんぱくに育った。
憧れは可愛いお姫様じゃなくて、悪人に虐げられる人を颯爽と助けるヒーロー。
我が家は長女が女の子役、次女が男の子役で外仕事の手伝いも私だけ。小さいながら「お姉ちゃんは私が守る事」が密かな誇りだった。喧嘩したらいつも負けて泣いてたんだけどね!

保育園の年長になった時、放課後の外遊びの時間毎日の様に近くの小学生達が遊びに来てくれた。小学生4年生の藤子ちゃんは一際明るくて色んな遊びを教えてくれる、大人気のお姉さんだ。
私はその小学校にお姉ちゃんがいたので特に可愛がってもらって、軽く他の保育園児に羨ましがられるのが嬉しかった。


その日、放課後にいつもの外遊びに出て行くと、園児も小学生もシーソーをしてるのに、1人だけ砂場遊びをしている子がいた。ななちゃんだ。

あれ?可笑しいな。なんで?私は懐いてた藤子ちゃんに、「ねえ、ななちゃんシーソーしないの?」と聞くと、「今日はななちゃんとは遊ばない!ねーみんな?」と飛びっきりの笑顔で答えられたのだ。勢いよく「うん!」と返す園児達。「もーちゃんも、はやくシーソー乗って??遊ぼう遊ぼう!」

シーソーに乗りながらも砂場に1人で蹲ってるななちゃんが気になる。
私の辞書にまだ仲間はずれ、苛めが登録されていなかったからだ。
ぴょんとシーソーを飛び乗り、「ちょっと待っててー」と砂場へ走る

「ななちゃん、今日は砂場が好きなの?一緒に遊ぶ?」

ぎょっとした、ななちゃんは泣いていて、誘った私を見て滅茶苦茶首を縦に振るのである。え、砂場でなんで泣いてたの?目に砂入ったの?よく解らないけど遊びたいのだけは解った。

「もーーちゃーーーん!はやくこっちおいでよーーーー!」と藤子ちゃん。
「ごめーーーん今日はななちゃんとあそぶーーー!!」と元気よく返事した

いやホント、ななちゃんが砂場で泣いてるのが藤子ちゃんの仲間はずれが原因なんて、夢にも思ってなかったんだよね。ただ皆シーソーで、1人だけ砂場がいいって言うなら、別に自分も砂場でいっかなーみたいな。

その時のななちゃんが急に、
「ありがとう!もーちゃん、親友にしてあげる!」
ってむっちゃ笑いかけてくれて、今までそんな特別仲良くなかったんだけど。

なんか、ブワって来た訳ですよ。ブワッと。

たった1人、私だけがななちゃんの異変に気づいて、何かから「助けた」みたいな高揚感。よく解らんけど私ピンチを救ったんじゃね?っていう

でも敵が誰かなんて想像しなかったし、「これから1人で居る子が居たら話しかけて遊ぶようにしてみよう!」くらい単純に考えてて

そういえば藤子ちゃんがその日からあまり話しかけてくれなくなった。

全く気づかなかったんだけど。だって放課後の帰るまでの時間なんてやれる事いっぱいあるし、タイヤ飛びだって絵書きだって、話しかけようと思えば誰でも話しかけられたもんだから、藤子ちゃんに「なんで!?」って問い詰めることも「ごめんなさい」って謝ることもしてなかった。

怒らせた事に全く気づかないまま、小学校に入学する事に。

(長くなったから続)


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