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お客様の心に響くもの

私は、好き嫌いのある方ではありません。出先で出されたなら、大抵のものは笑顔で食べる位の社交性もあります。

母親に「あなたの好きなものは、いっぱい過ぎて覚えられないから、嫌いなものだけ覚えている」と言われる位です。

実は、食べ物についてのこだわりは、並々ならぬものがあります。ただ、他人にそれを強要する氣がないだけです。トーストは、焼き立てにバターを塗るか、切り込みをいれてバターを載せて焼くのが好きです。目玉焼きは、半熟位の焼き加減が好きです・・・。一つ一つ挙げて行くと、きりがないのですが、食事を作るのは大抵私なので、好きなように作ります。

自分が好みに煩い分、他人の嗜好も考慮します。娘の目玉焼きは、固めにするし、弁当は料理の味が混じらないように、アルミホイルで器を作ってから、入れています。

自分の嗜好にだけ煩くて、他の人の嗜好に無頓着なのは、ただのわがままだと思います。相手の状況も考慮してほしいものです。

お土産でもらったのはいいけれど、説明文が英文ですらなく、正体不明のドライフルーツセットとか、一人暮らしなのに赤福ひと箱とか。赤福の賞味期限の短さを考えると(保存料の入っていないためですね)、夕飯を赤福にしなくてはならなくなります。

時々利用させていただいている個人経営の飲食店は、そうした配慮が素晴らしいです。席数控えめの、寿司がメインの小料理屋さんは、寿司ネタに細かく包丁目を入れてくださるので、イカも噛みやすく、食べやすくなっています。あれもこれも食べたい、と目移りしていると、丼物のハーフポーションを提案してくださったりします。

ハードリカーを提供する店だと、前回飲んだものの反応をみて、お勧めしてくれます。安心してお任せして、いつも好みのものが呑めるというのは、いいですね。疲れた気持ちで行っても、自分の好みを覚えてくれているというと癒されます。

チェーン店の良さは、お客様の側からすれば、提供のスピードと、価格の安さ(大量仕入れをしますから)どのアルバイトでも最低限は同じ接客をするということです。

逆に言えば、チェーン店でお客様の一人一人の心のひだに寄り添う接客までは、期待できないということです。まれに、本当にこちらを見て、氣配りをしてくれる素晴らしい店員さんがいますが。

時短営業や、営業自粛という逆風の中、頑張っていらっしゃる飲食店の方には、ご自分の店がお客様に支持される理由を、今一度見直していただけたらと思います。勿論、お料理やお酒が素晴らしいということもあるでしょう。ですが、お客様の心を掴んでいるものは、お店の方の人柄だったり、接客だったり、共通の趣味だったりするのです。

似たような料理を真似したり、お酒の品揃えをまねることはできるかもしれません。ですが、人柄や共通の趣味、そのお店にかける想いを真似することはできません。

人の心を動かすものは、人の情熱に勝るものはないように思います。



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