さよならがいえない

私は今の店舗で3度目のラストランを迎えようとしている
ラストランとは、最終出勤日のことだ
これは何度経験しても(といってもまだ3回目だけれど)慣れないし悲しい
まず常連さんに言えない
会えただけでも嬉しいし話したいこともあるのにそれを遮ってまで「私ここのお店もう辞めるんです」なんてわざわざ暗い話をしたくないのだ
そして「えっ、寂しい」と言われると返す言葉が見つからない
「すぐ会えますよ」とも言えないし、正直もう二度と会えない確率の方が高いのだから口が裂けても言えない
「私も寂しいです」もなんか違う気がする
一緒に悲しみに暮れてどうするんや
上手く返す言葉が見つからないのでとにかく笑って「だからもっといっぱいきてください!」と言うしかなくなる
本当に最後の日に来てくれたらなんて言おうか
ラストランが近くなるといつもこればかり考えている
人との出会いはとても刹那的で、だからこそ嬉しくなるし寂しくもなる
私なんかの存在に対して寂しいと思ってくれることに感謝しかないし、それ以上に申し訳なくなってしまう
他人の日常に私がいるというだけで悲しみの感情を生んでしまうことに申し訳ない気持ちになってしまう
それ以上にポジティブな気持ちを今までその人にあげることは出来たのだろうか
寂しいって言われる度に寂しくなる
どうしたら笑って終わることが出来るんだろう
毎年、結構真剣に考えている
「今までありがとうございました」もなんかピンとこなくて、すごく薄っぺらく感じてしまう
私だって寂しいし出来ることなら色んな人の日常の中に私が混じっていたらいいなと思う
もう会えないということを悲観的に捉えずに、いつまでも宝物みたいに大事にとっておけたらいいのにな

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