LOVIN'YOU 好きよ 愛しているの……
ガンダムチャンネルでのVガンダム配信が最終回でした。何度観てもVガンの終盤は怒涛の勢いかつスピリチュアルで圧倒される。製作中の富野由悠季の悲痛がそのまま体現されていくような凄惨さの中で、あの雪のラストで終わる静けさが素晴らしい。
最後のカット。役目を終えて雪の中で休むように放置されてガンダム。この画の美しさがあって初めて僕はVガンとはどういう作品だったのかの一端が掴めた気がする。カテジナさんを通した「女の執念」の着地点も他作品にない迫力ですが、僕は『いくつもの愛をかさねて』とともに「戦争を乗り越えた先のガンダム」が映ることに、最も心を動かされたのです。
偶然にも僕が右のショーケースに白雪姫(ウィングガンダム)を飾っているので、余計に白が際立って綺麗だ。
さて、Vガンの最終回の話は誰もが何度も何度も語り継いできたので、別の角度の話をしてみましょう。というかほとんどVガンダムとは関係がない。
後期OP・EDともに良い曲だとは思うのだが、Vガンは前期OP・EDの印象があまりに強すぎて、なかなか触れられているところを見かけない。『もう一度TENDERNESS』……まあ僕もこの曲が特別好きというわけではないですが、歌手であるKIX-Sの「ザ・90年代感」が堪らなく好きなのです。「Vガンの後期EDを歌った音楽グループの好きな曲の話」ですね。
KIX-Sは「女性版B'z」として企画されており、だいたいの曲がアメリカンな力強いロックで奏でられる。そこへ女性ボーカルだけにB'zとも違った「女視点での恋模様」が歌われるので、大胆なシンセサイザーと合わさり90年代を感じさせる。曲の話はどんなに言葉を並べようとも、さっさと聴くにかぎるので、ぜひサブスクで再生してもらいたい。
特に好きな曲を紹介しましょう。
『LOVIN' YOU』。これまたストレートなタイトルがいいですね。
中でもこのフレーズはいい……。
"「逢いたい…」嘘よ言ってみただけ"
サビでの数行なのですが、直球な愛情表現とトレンディな切なさの合わせ技は、女性が表現するからこそであり、ハードロックな曲調と「女の弱さ」のギャップが良い! B'zも激しいテンポで男の女々しさを歌うこともありますが、そことはわずかに違った妙な隙間が他とない唯一性を感じさせる。実際、このバンドは99年に活動が終了している。正しく90年代という音楽業界激動の時代にだけ咲いた花だったのです。
LOVIN'YOU 好きよ 愛しているの……。
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