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2020.3.5 期限のあるもの

期限のあるものが好きだ。

一冊で終わる小説も、ちゃんと半年で終わる朝ドラも、いつか終わりがやってくる学生時代も、卒業が決まっているアイドルも、ちゃんと終わりがやってくることが決まってる人生も、わりと好きだ。

期間や時間が、長い短いの問題ではない。
単に、「終わりが見えている」状態が好きなのだ。

だからいつ終わるかまったくわからない少年漫画よりも、ちゃんと「いま物語の半分くらいだな」と体感できる文庫本のほうが、性に合っている。いつまでも続く洋ドラよりも、ちゃんと3ヶ月で終わってくれる日本のドラマの方が、ほんとうは好きだなあ、と最近思う。それでも面白いから見ちゃうんだけど、洋ドラ。

いつか終わる、ということがあってはじめて、私はなにかを好きになれる。

中高時代というのは、いつも終わりを知らしめられているようでいて、それでもやっぱりどこかでこの時間が一生続くんじゃないだろうかと怖がってしまう時代だと思う。
私ははっきりと怖かった。中高の校舎から出ていけないことが。(私は田舎の中高一貫出身だからこそ、余計にそう思うのかもしれない)。

恩田陸が高校生を描いた作品を読むと、あの感覚を、ふっと、思い出す。
自意識ばかり肥大しつつ、こんなふうに自我を膨らませてばかりいられる時代なんていつか終わるんだよな。きっと都会に行ったらもっとすごい人がいて、自分の小さな自意識なんて壊してくれるんだろうけど、それってけっこう怖い、やだな。
そんな見知らぬ期待を抱きつつ、なんだかどう動いていいかわからなかった。
終わりが見えているようでいて、終わりを怖がっているような、でも終わらないのはもっと怖いような。
これって田舎の感覚な気もするけど。都会にいたら、高校生が何かの終わりだなんて、思わない気がする。

恩田陸と豊島ミホは地方の進学校を描く天才だと思う。


恩田陸について寄稿した。豊島ミホの地方の高校描写についてもいつか書きたい。
http://www.jigakujishu.net/?p=95

いつもありがとうございます。たくさん本を読んでたくさんいい文章をお届けできるよう精進します!