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海外ECはPinterestが鍵?ミレニアル世代の90%がPinterestで物を買う

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Pinterest (ピンタレスト)はアメリカではミレニアル世代を中心に盛んに使われており、ECにおいて重要な役割を担っています。今回はアメリカにおけるPinterestの使われ方をお伝えします。

ミレニアル世代の2人に1人が利用

7,740万人のアメリカ人が毎月ピンタレストを使います。ピンタレストユーザーは年々増えており、2017年から2018年には、その間に増えたフェイスブックとツイッターユーザーを合わせた数よりピンタレストを使う人は増えている現状です。
25歳から54歳のアメリカ人女性の83%はピンタレストを使っており、ユーザーが女性中心と思われやすいピンタレストですが、2018年の新規ユーザーの50%は男性で、38%のアメリカ人の父親である男性が頻繁にピンタレストを使っており、主にDIYアイデア、アウトドア、インテリアなどを検索しています。
アメリカで一番消費をする、ミレニアル世代(1981-1996年生まれの現在23-38歳の世代)の二人に一人は毎月ピンタレストを使っており、86%のミレニアル世代がピンタレストを理想の自分像を描くツールとして使っています。そして、63%がピンタレストのお陰で新しいブランドや商品を知り、実際に商品を買ったと言っています。また、ピンタレストを使うミレニアル世代は使わないミレニアル世代に比べて、物を18%より買う傾向があります。
他にもピンタレストユーザーには高所得者層の人が多いという特徴があり、50%のユーザーが$750,000以上(日本円で約800万円)の年収があります。毎週ピンタレストを使うユーザーのうち90%はピンタレスト上、またはピンタレストを通して物を買います。

ピンタレストの使用法-3大ジャンル

人気のカテゴリーは主に食べ物、ファッション、インテリアの3つに分けられます。

食べ物
ピンタレストもインスタグラムと似てビジュアル重視ですが、主に料理のレシピなどを検索するときは、持っている材料の名前や作りたいもので検索し、美味しそうなものを見てクリック、レシピのリンクに飛ぶ。という流れが主流です。そのため、ピンタレストではより選択的に検索をすることができます。

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特にインスタ映えを狙うミレニアル世代は、美味しそうで可愛いものを作りたいときによくピンタレストを使います。さらに、ピンタレストの画像から材料や必要な道具を買うこともできるので、今まで作ったことのない料理でも挑戦しやすいのです。この画像から商品を買う機能については後ほど詳しく説明します。

ファッション

ピンタレスト上では「ボード」というものを作り、投稿のカテゴリー分けをすることもできます。ピンタレストユーザーはこのカテゴリー分けで、TPOに合わせたボードを作っていきます。例えば、友達の結婚式に着ていくドレスやヘアスタイルのアイデアのボード、冬に欲しいブーツ特集と言った感じで自分で好みの雑誌を作っていくような感覚を味わえます。特にアメリカの服飾関係の学生は授業でもピンタレストを使い、インスピレーションボードを作りそれに沿って作品を作ることも多いです。また、関連画像で似ている画像も表示されるので、買い物の際、似たデザインでより安いものを見つけることもできます。

インテリア

アメリカの人はインテリアにこだわりがある人が多く、中には壁を灰色に塗るにしても50種類もの灰色のペンキのサンプルを取り寄せて吟味したりします。賃貸でも壁に穴を開けたり色を塗ったりと比較的自由にできるアパートが多いので、老若男女問わず、部屋を自分らしく居心地のいい空間にするのに労力を惜しまないという人が多いです。ピンタレスト上にはインテリアに関する投稿が110億以上もあり、そのうちの23億の投稿が毎年ユーザーによって保存、または検索されています。

また、ピンタレストの家具購入者への影響は大きく、過去6ヶ月に家具を買ったアメリカ人の40%はピンタレストを使ったと言います。

SNSにおけるポジショニング

ピンタレスト以外のSNSの大きな特徴は主に過去のことを投稿します。「何をしたか」「誰といたか」をフォロワー、または友達と共有します。

一方、ピンタレストは過去ではなく未来にフォーカスしているSNSです。「何をしたいか」、「何を作りたいか」、「どう暮らしたいか」のイメージを集めていき、未来予想図を作るツールなのです。一応、フォロー、フォロワーの制度はありますが、最近のピンタレストユーザーは気にせず、フォローフォロワー0人の人も少なくなく、ただホーム画面に自分の保存した画像の関連画像のみ出てくるので、純粋に自分の好きなものだけに集中できます。

つまり、他人に自分を見てもらう・承認欲求を満たすのではなく、自分の自分らしさを育むSNSなのです。余談ですが、インスタグラムの自慢や競争の文化に疲れて、ピンタレストに移った友達も多いです。

ピンタレストとビジネスの関係

広告において、他のSNSとの違い

ピンタレスト以外のSNSでは友達の投稿を見たりすることが多いですが、ほとんどのピンタレストユーザーは欲しいものを見つけるためにピンタレストを使っています。更に、先ほど示したようにユーザーの年収も高い傾向にあるので、他のSNSに比べて、実際に写真を見て買うことに直結する割合が高くなります。ミレニアル世代がユーザーに多いのはもちろんですが、他のSNSに比べて30−50代のユーザーが多いのも特徴です。
また、最大の特徴は、ほとんどのユーザーがオーガニック検索で商品にたどり着いているということです。プロモーションされている投稿もありますが、ほとんどのエンゲージメントは検索されて増えているということです。フォロー・フォロワーが少なくても、宣伝を積極的にしなくても、写真が目を惹くもので検索ワードが含まれていれば顧客を獲得できるのです。

Shop the look pinsの仕組み

Shop the look pinsは欲しいものが載っている写真・投稿をクリックすると、その商品の通販サイトへと飛べる機能です。

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ピンタレストのビジネス用アカウント(無料)に登録すると、一つ一つ写真に自分の製品をタグ付けし、投稿をShop the look pinsに変えることができます。また、商品が多すぎて一々タグ付けできない場合は、自動的にタグ付けしてくれるCuralateやOlapicというサービスもあります。
商品ページに直接飛べるので、たったの4クリックで買い物が出来てしまい、衝動買いを促すことができます。

Macy'sやNordstromなどの大手デパートやTargetなどのスーパーもShop the look pinsを活用しています。
使う利点を端的に並べると、売上の向上、新規顧客の獲得、ブランドや商品の認知度アップ、どのデバイスでもアクセス可能、広告費無料です。

現在、アメリカ、日本、フランス、ドイツ、アイルランド、オーストラリア、ブラジル、カナダ、メキシコ、ニュージーランド、イギリスで使われており、Shop the look pinsを使えば海外のマーケットを狙うことも可能です。

日本とアメリカのピンタレストの違い

日本向けのピンタレストコンテンツは、実用的すぎると筆者は思います。ピンタレストユーザーで日本のコンテンツもアメリカのコンテンツも見る筆者の感覚では、アメリカのコンテンツはより良い意味で現実離れしている画像が多いです。

また、直接的なビジネス目的でない投稿も多く、ブランドや会社が自社製品のみを投稿するのでなく、その製品に合ったイメージやインスピレーションも投稿します。例えば、洋服のブランドでも、ブランドの雰囲気にあったアートや建築、植物のオシャレな画像を投稿、またはその投稿をPinしています。ビジュアルの良さを活用して商品一本ではなくライフスタイルを提案するのです。そうすることによって、「私たちはこういうイメージのブランドです」「こういうライフスタイルを送りたいなら、私たちがぴったりのブランドです」というのが一目瞭然です。

日本企業のピンタレスト

ピンタレストの仕組み・利点を一通り理解したところで、グローバル展開している日本企業がどのように、ピンタレストを使っているのか見ていきましょう。

ユニクロ
ユニクロはさすがグローバル展開しているだけあって、ピンタレストの内容も充実しています。月330万の閲覧数です。商品単体の写真、商品を着たモデルの広告的写真、商品のイメージに合った写真が揃っています。

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https://www.pinterest.jp/uniqlo/

例えば、この風と水に強いジャケットの特集ページでは、ニューヨークの雨の日の窓越しの風景の写真も載せてあります。こんな雨の日でもそのジャケットを着てお出かけしようというメッセージと都会的で洗練されたイメージを発信できます。

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Shop the look pinsは使っていませんが、オンラインストアに飛べるボタンは活用しています。

MUJI 無印良品

無印良品は洗練されたイメージとともに、Shop the look pinsを活用しています。また、製品のカゴを壁につけるなどDIY的投稿も目立ちます。

投稿数は少ないものの、ユーザーがタグ付けし、無印愛好者のコミュニティが広がっています。

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https://www.pinterest.jp/mujiglobal/

まとめ

ピンタレストは他のSNSと違い、他人のフォローやいいねを気にせず、自分の好きなものや理想の自分像を作り上げることができるツールです。料理のレシピ、ファッション、インテリアのほか、ユーザー層の広がりに伴って新しくアウトドア、旅行などのコンテンツも増えてきています。ピンタレストユーザーは他のSNSユーザーより収入が高い傾向があり、物を買う頻度も高い傾向にあります。インスピレーションをもとにShop the look pinsを使って、購入を促すプラットフォームなのでフォロワー対策ではなく、写真のビジュアルと検索ワード対策が一番重要です。


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