見出し画像

日経電子版オンラインセミナー「素晴らしい人材を魅了する!持続的に成長する企業組織の大原則とは?」開催記念 奥野一成×安田雅彦 特別対談

皆さん、こんにちは。NVIC note編集チームです。
約1年ぶりの更新になってしまいすいません。。。
今回は1月27日に開催される日経電子版オンラインセミナーに先駆けてWe Are The Peopleの安田さんとNVIC奥野の対談の模様をお届けします。本セミナーでも話題となる予定の企業型DCについて、お二人の想いが込められた内容の濃い対談になっています。ぜひ最後までご覧ください!

はじめに

(奥野)みなさん、こんにちは。本日はセミナー前の特別対談ということで、株式会社We Are The Peopleの安田さんをお招きしています。それでは安田さん、はじめに自己紹介よろしくお願い致します。 

(安田) はじめまして、安田雅彦といいます。1967年生まれの55歳。人と組織のコンサル会社をやっています。といっても自分一人だけなんですが笑。主として日本の中小企業を中心としたサポートを行っています。簡単に今までのキャリアをご説明すると、大学卒業後、日系企業に入って10年人事を経験、その後、外資系企業で合計5社の経験があります。業界はヘルスケア、ファッションブランド、製薬、化粧品と結構バラバラで、気づいたら30年も人事をやっているんですね。でもこの30年の経験がどうやら結構役立つことが分かりまして、だったら人事担当がいない日本の中小企業でお役に立てることをやってみようということで昨年、脱サラし起業しました。

(奥野)いわゆる人事部のアウトソース請負というイメージですか? 

(安田)まあ、そうですね。社外人事部長として、社長の片腕となり、採用戦略、組織開発、後継者育成、リストラクチャリング等、何でもよろず請け負っている感じです。 

(奥野)安田さんとお会いしたきっかけってNewsPicksでしたっけ?丁度3年前ぐらい前ですよね? 

(安田)そうですよね。あの時奥野さんのお名前を存じ上げてたんだけど初対面でだったんです。ただ、NVICの取組の一つである「おおぶねメンバーズカンファレンス」を初めてみたとき、うわー、こんなことやってるんだ、と衝撃を受けまして。これはめちゃくちゃいいじゃん!と思いましたね。

(奥野)MBAのような教室みたいな感じで、ビジネスモデルを学べるビジネススクールと言っていただいた記憶があります。

(安田)これはまさにビジネスと親和性があるなと。単に資産運用を学ぶだけでなく、ビジネスの面でも勉強になるという印象を受けました。

(奥野)人事マンから見てもこれは研修に使えるなあとか、そんな印象ですか? 

(安田)はい、まさに。経済の勉強にもなって、めちゃくちゃいいなと! 

(奥野)現在は独立されて、約20数社の人事コンサルタントをしているんですよね? 

(安田)そうなんです。お陰様で数多くの契約を頂いておりまして。やはり中小企業は色々な意味で困っているんですね。一方で、ジョブ型やらウェルビーイングやら色々人事関連の情報は入ってくるんですが中々吸収できず、何かをやろうと思ってもどうやったらいいか分からない。じゃあコンサルに相談しようと思っても意外とフィーが高い笑。人事専門のコンサルティング会社も沢山ありますけど、どうしても元々の仕組みが大企業ベースで、残念ながら中小企業にフィットするものって少ないんですよね。よって20-30人ぐらいの中小企業には対応するのって難しいようなんです。 

(奥野)やはり伴走して頂くということが最も重要ですよね。丁度、当社(NVIC)で人事制度アップデートをサポートしてもらったみたいに。

(安田)ビジネスの規模、ネイチャー、ステータスに合わせて、しかもお手頃価格で笑、伴走、サポートさせていただくということが私のポリシーなんです。

企業型DC導入は会社の重要なメッセージ

(奥野)来年1月27日に日経ホールで大きなシンポジウムを予定しており、その中のパネルディスカッションで安田さんに登壇いただきます。テーマは、題して、「素晴らしい人材を魅了する!持続的に成長する企業組織の大原則とは?」。まさに安田さんのためにあるような題材ですね笑。 

(安田)いやいや、まさにそうですね笑

(奥野)どんな感じにやっていきましょうか?例えばパネルディスカッションの中では「企業型DC」についても取り上げる予定なのですが、企業型DCについてはどのようにお考えですか? 

(安田)そうですね、もうすでに今まで御社とは色々なことを議論させて頂きましたけど、企業型DCについては人事の仕事をしていたので普通に関りがありました。例えばLUSH在籍時、人事の責任者だった時に、既に導入していた企業型DCをたまたま切り替える必要が生じたんですね。それで情報収集を行ったり、どうしようかと色々考えている時に、キャリアについては会社が従業員に「自立せよ!」と散々言っている割には、資産形成は会社に「依存」させてしまっていることに気付いたんです。キャリアで自立をするのであれば当然ライフ全体で考えた時に資産形成においても自立性があってしかるべきですよね。でもそれなのに会社はそのような資産形成に関する情報を従業員に全く提供していない。制度があったとしても、なぜ企業型DCなのか、そもそも企業型DCはどのような制度なのか、というようなコミュニケーションがほぼ何にもなされていなかったんです。これは企業型DCを切り替えるタイミングで従業員にきちんと趣旨を伝えることが絶対必要だと。以降自分が企業型DCの切り替えに携わっているうちに色々なことが分かってきて、たまたま御社と人事制度アップデートのところで接点があった時に、また企業型DCにこのような新たな形で関わり合いを持たせて頂いているという感じでしょうか。 

(奥野) 恐らくキーワードは「自立」だと思います。ビジネスパーソンはお金に関してもキャリアに関しても自立しながら自分の人生を自分で切り開いていく、そういう強さがないとこれからやっていけないし、企業においてもそういう人が集まって協力してシナジーが出てきて、そこから1+1が3になります4になりますみたいな、そういう世界だと思うんです。これを考えることって実は企業経営を考えることそのものなんですよね。 

(安田)まさにおっしゃるとおり。これからは公私ともに、人生トータルで自立が図られている人が集まっている会社が強い。企業型DC制度を導入することは、社員へのメッセージになるんです。人生トータルで自立を求めていく企業のメッセージとなり、結果的にはエンゲージメントが高いし、キャリアで自立できるからこそ、今ここで頑張ろうという発想にもなるし、結果的に強い組織になっていくのではないかと。 

(奥野)ちなみに(過去の就業先では)なぜ企業型DCの切り替えが必要になったんですか?

(安田)その時のきっかけはたまたま銀行都合による切り替えでした。どちらかというと、起業後の複数社でのコンサル経験の中で気づいたことなのですが、企業型DCの制度の話をしたときに、企業側にこの制度に対する理解がないことが多々あったのです。シンプルに「企業型DC?ようわからん。。。」というのがほとんどなんです。人事担当者は、企業型DCに対する知識がほぼない。しかも意外に多いのが「従業員のお金に関することは口出ししてはいけないんじゃないか」という大いなる誤解です。 

(奥野)従業員のお金のことに介入してはいけないんじゃないか、みたいな感じですか?笑 

(安田)そうそう。実際にそれは言われたことがあります。以前人事担当者の集まりの中で、資産形成にかかる投資教育とか皆さん社内でどうしてるの?という話になった時に、「いや、なかなかそういうことできないんですよね」という人が多くてびっくりした記憶があります。キャリアに関しては人事部がすごく牛耳ってるくせに、なんで資産形成の話になったら急に「自己責任で!」とか言い出すのかと笑。 企業型DCがイマイチ浸透していないとすると、原因はそういうところにあるのかもしれませんね。 

(奥野)なるほど。個人の確定拠出年金であるiDeCoはどんどん大きくなってきているのに対して、2000年代前半から制度がスタートしたいわゆる企業型DCはイマイチ活用されていない。そしていよいよ来年に新NISAが始動しますけど、国が本気を出して国民の資産形成サポートに乗り出し、貯蓄から投資にシフトさせるために大きく税金を投入するわけです。ここがまさにチャンスだと思いますし、会社が変わる丁度いいきっかけになるかもしれません。

選択できることが会社のエンゲージメントに大きく影響する

(奥野)キャリアの自立とお金の自立についてもう少し深堀していきたいと思います。お金の自立に関しては国も本格的に色々な枠組みを導入して資産形成をサポートしようとしていますよね。皆さんご存知の新NISA、あれすごいですよ!一言で言ってしまえば国民一人一人が1800万円までであれば、「恒久無税枠」が付与されるという事なんです。以前は枠がそこまで大きくなかったり、使い勝手が悪かった。例えば現制度だと一度売却してしまうと枠がなくなって二度と復活しないんですけど、新制度では1,800万円の恒久無税枠が維持されるので、売却後に枠が復活する。これは凄いことです。ここまで思い切ってやるのは国の本気度が感じられます。でも一方で気になるのは、そんな大盤振る舞いを国税がよく許容したなあと。もしかすると、1800万以上持っている人からは後でめちゃくちゃ増税する可能性もありますよね。まあ、これは下衆の勘繰りに過ぎませんが笑。まあそれはいいとして、国が一生懸命取り組んでいるのがこのNISA。そしてもう一つ、iDeCoと企業型DC。実は節税メリットを考えると企業型DCの方がNISAより大きいんですね。

(安田)NISAの制度変更はiDeCoと企業型DCに何か影響あったんですか? 

(奥野)いや、それはないですね。もともとNISAは金融庁の管轄であり、iDeCoは厚生労働省の管轄。なかなか一緒くたにうごいていくものではないし、どちらがよいかと聞かれれば、両方よい。両方どちらもいい制度だし、だからこそ枠を目一杯使うというのが証券の保有上いいと思います。いずれにしても、国が本気で貯蓄から資産形成へ舵を切る中で、中小企業もこのような制度を積極的に活用していく必要がありますね。 

(安田)今の話を聞いてて思うのが、このような制度の話を例えば大企業の人事担当者が、そして中小企業の経営者が、どこまで理解しているだろうかということなんです。知っている人は知っているし、知っている人口も増えていると思うんです。ということは就職で会社選びをするときに、企業型DCの制度があるかないかは、企業選びの重要な判断基準になってくる可能性がありますよね。採用選考の過程で、確かに昔そのようなことを質問してくる人は実際いましたよ。 

(奥野)なるほど!あなたの会社って企業型DCありますか、みたいな質問ですよね。 

(安田)はい。そうなってくると、たとえ企業側が企業型DCに無関心であっても候補者は認識しているし、逆に制度のない企業は優秀な人に選ばれなくなる可能性が高いわけです。これは結構重要なポイントですよね。いずれにして採用という側面でも企業型DCの制度導入はこれから必須になるかもしれません。今後は色々な意味で、「従業員が選択できるのか、できないのか」ということが非常に重要なポイントになってきます。

(奥野) 選択できるかできないか、ですか? 

(安田)はい。企業型DCはまさにそうだと思うし、それ以外にも、例えばこれまで人事異動は当たり前の世界で、これに従うのは当然だという労働慣行っていまでもありますよね。まさしく就業規則にも書いてある世界で。でも今はこれをやめようとする会社が段々増えてきています。あと今後5年くらいたてばかなり変わってくると思いますよ。従業員が選択できることが会社のエンゲージメントに深く影響する。考えてみればあたりまえですよね?人に言われて動くよりも自分の意志で動いた方が、明日もまた頑張ろうという気持ちになるというのは人間の当然の心理だと思いますし、そのようなマインドを育んでいくために、福利厚生やマネーにおいても従業員が選択できるということはこれから非常に重要になってくると感じています。
 
(奥野)そうですよね。あともう一つ思うのは、退職金のありかたについてです。退職金については賛否両論あって、色々意見はあると思いますけど、企業そのものの寿命が段々短くなっているのに、退職金制度だけがそもそも機能するのかという話なんです。これはどのように考えますか? 

(安田)もちろんその議論はありますよね。機能するかしないかの問題もあるけど、そもそも機能させたところで本当に従業員はハッピーなんですか?という話だと思います。 

(奥野)あーなるほど! 

(安田)会社を辞めようと思っても、「今辞めたら退職金もらえなくなるよなあ」と考えてみたり、「今日も明日も仕事も面白くないし、上司も会社も大嫌いだけど退職金のためにしょうがなく頑張るか」、みたいな。。。こんなんで会社のパフォーマンスが上がるわけないですよね笑。 

(奥野)そうなんですよ。。。40歳過ぎになると段々退職金が見えてくる。そうすると自分の行動のオプションが低減していく。。。。こっちのほうが何倍も辛いわけで。 

(安田)辛い明日を乗り切るときに退職金が心の支えになる!? もはやただの奴隷制度ですよ笑。これだと今時のエンゲージメントでビジネスをドライブさせていくような会社には競争したら絶対勝てないです。

最後に

(奥野)実は、この企業型DC制度は中小企業の98%が導入していないんですね。ほとんど認知されていない。
 
(安田) 先程雇用の話とか退職金の話とか話題になったけど、これもやっぱり大企業向けの話なんです。実は日本企業の99.7%の中小企業にはまだまだ退職金の制度すらない企業も多い。だから中小企業は何らかのマネーに関する制度をしっかり入れるべきだと思います。退職金の導入を検討する中小企業も増えてくる中で、この企業型DC制度は中小企業にとって物凄くフィットする制度だと思います。でも、面倒臭い、うちの会社は対象外だ、と思っている人も実際多いかもしれませんよ。

(奥野)これは、実は凄い税制優遇の仕組みであり、使わない方が損なんです。なんちゃらGOとかふるさと納税には目がない国民性なのに、これを知らなかったり活用していなかったりするのは結構驚きですよね。
 
(安田)実際スタートアップ企業の社長さんと話していて、実際企業型DCを導入した企業もありますね。1月27日はぜひ中小企業の経営者の方にも聞いて欲しいし、セミナー内容も、必ず皆様に明るいヒントをご提供できる機会になると思います。私も当日張り切ってかっとばしますよ!笑 

(奥野) めちゃくちゃ楽しそうですね!是非すれすれトークでお願いします!笑 今日はありがとうございました。 

(安田) ありがとうございました。