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きみと過ごした1000日間

きみが私たちのもとへやってきて、今日でちょうど1000日がたつ。

***

100日目までは、
きみはとっても小さく柔らかく、ふにゃふにゃした存在だった。
この時期は、四六時中泣いているのが普通なのだろうし、きみもきっとそうだったのだと思うのだけれど、不思議とその記憶はあまりない。
いつだって、誰にだってニコニコ笑っていて、お医者さんに「この年でこんなに笑う子は貴重です」なんて言われたほどだった。
慣れない日々の中、そんなきみにどれだけ助けられたか知れない。私までつられて笑顔になれた。

200日目くらいになると、
私はきみをあちこち、いろんなところに連れていった。
ベビーカーにのせて、ガラガラガラガラ。たまには抱っこ紐を使って、えっちらおっちら。
私の大切な人たちはみんな、きみを見て、かわいいかわいいと褒めてくれた。頭をなでて、抱き上げてくれた。
きみはやっぱりニコニコ笑顔を振りまいて、みんなを喜ばせた。きみをつれて出かけるのは、本当に楽しかったよ。

300日目になるまでの間に、
きみは自らの手足を使って、自由自在に移動できるようになった。
ひざを床につくふつうのハイハイより、二本の足を地面につけておしりを持ち上げる「高バイ」を好み、周りの人たちに驚かれるくらい、高速で動き回っていたね。
高バイはあっという間につかまり立ちになって、自由になった手は、私たちが触ってほしくないと思うものをたくさん触るから、毎日ひやひやしていた。

400日目がやってくる前に、
きみは1歳の誕生日を迎えた。
お祝いのメニューは、その年でも食べられるケーキと、生まれて初めてのカレー。小さく小さく切ったにんじんやじゃがいもを、小さな口でもぐもぐと食べていた。
大人のごはんも、その日はカレー。
同じメニューを食べられるようになったのかと思うと、本当に感慨深かった。

500日目を迎えるより早く、
きみは保育園に通い始めることになった。
通園初日、きみは見慣れぬ部屋と物珍しいおもちゃに気を取られ、私がいなくなったことにすら気づかなかった。けれど翌日になり、ようやく状況を理解すると、ぎゃあぎゃあ泣いて私を呼んだね。
こちらまで切なくなってしまったけれど、数日たつころには、すぐに気持ちを切り替えられるようになったと聞いて、びっくりした。

600日目がやってくる頃には、
きみはすっかり園生活に慣れたようだった。
先生が撮影し、見せてくれる写真の中には、きみがお友達といっしょに、円のおもちゃで遊んでいるところが写っている。
何もかも、私たちが与えてあげなくてはならないと思っていたけれど、きみは早くも自分の「社会」を築き始め、そこで自らの経験や楽しみを作り出していた。
それがとっても嬉しくて、とっても頼もしい。

700日目を少し過ぎたころ、
きみが「お兄ちゃん」になることがわかった。
この頃のきみと言えば、まだ満足に「ママ」とも「パパ」とも言えず、毎日「おっおっ」「がっがっ」と、言葉にならない声を上げていた。
きみ自身が赤ちゃんといっても、まったく差し支えない。
この先、どれだけ我慢をさせてしまうのなるだろうと考えると、喜びよりも不安の方が大きかった。

800日目までの日々は、
お互いに試練の連続。
2歳を迎えたきみは、少しずつ少しずつ、言葉を発するようになり、その分「やだ!」「いや!」「~しない!」という、拒絶の表現も増えていった。
降園時、園の扉の前で倒れ込み、仰向けになって泣きわめくきみの姿は、保護者たちの間でも有名に。体調が悪かった私は、きみを抱っこすることもできず、途方に暮れて立ち尽くした。
俗にいう「イヤイヤ期」は、うんざりするほどしんどい。けれどその反面、ようやく呼んでくれるようになった「ママ」が嬉しくて、何度も何度もぎゅっと抱きしめた。

900日目が近づくまでに、
きみは心も体も大きく成長した。
2歳クラスになり、登園、降園時には自分でリュックを背負うように。「少し大きすぎるのでは?」と心配した、黒いoutdoorのリュックは、日に日に体に馴染んでいった。
手足がひょろっと長くなり、着ている服はとうとう100㎝に。
数カ月前に買い替えたばかりの靴は、なんだかもう、再びサイズアウトしそうな予感がする。
言葉は「爆発期」を迎え、毎日のように、保育園で習ったらしい、私たちの知らない歌を歌っている。
見立て遊びやごっこ遊びも上手になって、我が家では四六時中お店屋さんが開かれていた。

そして、1000日目を前にして、
私たちの心配をよそに、きみはすんなり「お兄ちゃん」になった。
「あかちゃんなにしてるの」が口癖で、何かにつけては妹の頭や手、足などを触り、「あったかーい」「あかちゃんかわいい」と喜んでいる。
保育園のお迎え時、クラスのお友達が妹の頭をなでてくれたのを見て、
「○○ちゃん、あかちゃんのことなでてくれたね」
なんて、保護者のような発言をしていたのがちょっと可笑しい。

***

1000日。

振り返れば、つらい日や悲しい日はあったけれど、幸せじゃない日は1日だってなかった。

この1000日で、きみはぐんぐん大きくなったね。
座って、立って、歩いて、走って。
泣いて、笑って、考えて、しゃべって。
一つひとつ、できることが増えていって、1000日前とはまったくの別人のようだ。

明日からの新しい1000日が、これまでの1000日と同じくらい、それ以上に、きみにとって楽しくて充実した日々でありますように。

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