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憧れと、人生と。

好きな映画は?と聞かれると、一つに決めることができず、いつも「うーん…」となってしまう。

感動した映画、励まされた映画、作品として素晴らしく感銘を受けた映画、それぞれいくつもあるけれど…「自分の人生に影響を与えた映画」を一つ挙げるなら、やっぱりこれかな。

グーニーズ。

アメリカの少年達が宝探しの冒険をする、どちらかというと子供向けのお話。
「人生に影響」なんて言葉は正直そぐわない、ザ・エンターテイメントな内容だけど…。
私にとっては紛れもなく、自分の人生を変えてくれた大切な作品だ。

初めて観たのは、確か小6の春休み。
アメリカの田舎町で、地図を片手に大冒険する自分と同世代の少年達の姿を見て、稲妻が走るような衝撃を受けたのを覚えている。

「この子達、なんてかっこいいんだ!」って。

なんかもう、理屈じゃなく、自分にないものへの強烈な憧れというか。

アメリカ・オレゴンの海辺の街、悪者達のカーチェイス、屋根裏部屋から出てきた宝の地図、個性豊かな少年達がそれぞれの特技を活かしてピンチを乗り切る展開、海賊船に本物の宝物…。

どれもこれも、日本の普通の小学生である私の身の回りには決してないもので、全ての場面がとってもキラキラして見えた。

でも一番憧れたのは、彼らが話す(当然だけど)流暢なアメリカ英語の響きと、個性を全面に出して堂々と生きる、彼らのエネルギッシュな生き方だったかもしれない。

まぁとにかくグーニーズに憧れて、どうやったら私もグーニーズに入れてもらえるのかしら?とか真面目に考えたりして。

直後に中学校に入学し、始まった英語の授業もものすごく真剣に受けた。「英語ができるようになれば、グーニーズの子供達に近づける!」その一心で。

そして、いつか英語を流暢に話せるようになること、アメリカで生活しアメリカ人の友達を作ることが、私の夢になった。

グーニーズのお陰で英語は私の得意科目となり、全然たいしたレベルではないけれど、それなりに今の仕事でも役に立っている。

そして高校・大学で実際にアメリカ留学し、夢に見たザ・アメリカンな生活を経験し、アメリカ人の友人も作ることができた。

私は元々どちらかというと日本人的で主張するのが苦手な性格だけれど、アメリカ生活を乗り切ったお陰か、必要なときには意見を言うことも、それほど苦じゃなくなった。

なんだかとりとめもない長文になってしまったが…まぁとにかく、グーニーズが私の中に「英語や外国文化への憧れ」を植え付けてくれたことで、その後の自分の人生がとても楽しく生き生きしたものになったことだけは確かだ。

「君がいるから 僕の人生は
予定より楽しくなった」

槇原敬之「二つのハート」より。
(いきなりマッキーの歌詞。笑)

人だけじゃなく映画も、時には人生を変えるような素敵な出会いをくれるものなんだな。

ところで話は少しズレるが、我が息子6歳。
今年小学校に入学し、上級生のお兄ちゃん達と触れ合っているからか、保育園時代よりも徐々に言葉使いが乱暴になっているような気が…。

「してないよ」→「してねーよ」
「あぶない」→「あぶねー」

みたいな感じ。
教育上はよろしくないんだろうけど、「あーなんか男の子だな、ちょっといいな」と思う自分もいる。

それは、初めてグーニーズを観たとき「かっこいい!」と感じた、あの感覚に少し似ている気がする。

「男の子」という、自分が永遠になれない存在への憧れの気持ち。
それもまた、グーニーズが私にくれたものの一つなのかもしれない。

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