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エッセイ

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#思い出の曲

隔絶

 わざわざ孤独を確認するために、音楽に取り組んでいるわけではないのに。薄く長く、のんべんだらりと孤独な僕の音が、空しく響き渡っている。昔の先生は、試験だろうとおさらい会だろうと、机の前に座らせればコツコツとそれは耳障りな音を立てたそうだ。ペンや鉛筆、手頃な物が見当たらないとなると、小銭まで使って、目の前の未熟な演奏とは無縁のテンポで。
 そういう伝説のようなパワーハラスメントからは一線を画し、今ほ

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