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塚本慈和(ぬらりひょん)
2021年11月10日 08:59
短編小説『ヴァイオリン・リサイタル』のあとがきです。 僕たち音楽家、取り分け日本人演奏家は、シューマンの『献呈』が大好きである。 『ミルテの花』とその前後一年ほどの作品群は、音楽家の冥利に尽きるようなシューマンの半生を象徴するロマンに溢れ、正に「ロマン派」に区分される西洋音楽全盛期の火付け役が、ロベルト・シューマンであった。 シューマンの作品は刹那的で不安定であり、若いうちはとっつきに