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なぜ、企業に編集者が必要なのか? よくある企業の悩みや編集者を入れるメリット ~「情報の料理人」が生み出す成果~

税務のことは顧問税理士、法律のことは顧問弁護士…と、企業の多くは各分野に精通する専門家を“顧問”として雇っています。税理士も弁護士も、社内の経理資料や法務資料を整理し、税務的にあるいは法的に正しい発信形態にするのがその役割です。社内外に発信する“情報”だって、税務や法務と同じ。

情報の専門家である編集者は、オウンドメディアで企業情報を発信するなら、受け手に伝わりやすい構成や表現にしなくてはならないし、その情報を必要としている人たちに届く発信先を精査する必要もあります。また、税務や法務が、ちょっとしたミスで会社の信頼を失いかねないのと同様に、文章の表現ひとつで信頼失墜する可能性も……。

社内の情報整理を行い、成果向上とリスク低減につながる正しい形で発信することが今、求められています。


これからますます必要とされる編集者

編集者は「情報の料理人」? そもそも編集者とは「どんな仕事」なのか。 ~過去と未来の編集者像~」では、これからの編集者に求められるスキルや役割についてお話ししました。

ここでは、編集者を雇う企業にとってのメリット具体的に説明していきましょう。大きくは先に述べた成果向上とリスク低減ですが、他にも多くのメリットがあります。

メリット① 成果向上:プランニングからPDCAまで

ひとくちに「成果向上」といっても、さまざまな成果があります。例えば、商品やサービスの宣伝広告なら、PR戦略を立て、実際のコンテンツ制作を経て、数値分析まで行うことで、闇雲に広告費をかけることなく、効率のよい宣伝広告とさらなる成果向上のためのPDCAを実行することができます。

また、企業ブランディングや問い合わせ強化といった、目的に応じたWebサイトのリニューアル設計や、オウンドメディアやブログ、SNSなどを使った中長期の顧客獲得のプランニングや運用も可能です。

もちろん、オウンドメディアやブログ、SNS、プレスリリースなどに掲載するコンテンツは、プロの文章家のクオリティとなり、見た目に美しく読みやすく、また問い合わせなどにつながりやすい構成で仕上げます。

さらに、社内にコミュニケーションツールを導入して、社内の情報交換や情報伝達を効率化するといった業務も、「全体を俯瞰して観る」ことのできる、編集者の鳥瞰的視点があるからこそできることのひとつです。

メリット② リスク低減:第三者視点だからこそわかる、社会一般の価値観

SNSでの発言のみならず、発表したプレスリリースや役員・社員による講演会での発言まで、誤った発言や行動がSNSで拡散し炎上、ニュースになる事態がたびたび起きています。なぜこうした炎上騒動が起きてしまうかというと、「情報を精査する人」がいないからです。

「その発言、誤解が生まれますよ」
「その価値観は今、通用しませんよ」
と、言える人がいれば、不用意な炎上は防げます。

しかし、上司にNOと言いづらいこともあるでしょう。また、もっとも大きなリスクは、そもそも社内の価値観が一般の価値観と違うことに気づかず、炎上を招いてしまうことです。

ここに第三者視点を持つ編集者がいれば、「それはまずいですよ」とSTOPをかけることができます。また、社内の旧態依然とした価値観を、現代の価値観にアップデートさせていくこともできます。

編集者が果たす「機能的価値」と「情緒的価値」

ここまでお話ししてきたことは、編集者の「機能的」な価値といえます。でも、編集者の価値はそれだけではありません。もう1つ大切な価値があります。「情緒的価値」です。

具体的には、誰にとっても「わかりやすく」「共感される」発信ができるということ。社内の人が発信すると、どうしても“会社目線”になりがちで、自社の強みや特色を強く訴求する一方、基本的な情報が漏れていたり、説明が難しすぎて一般の人にわかりづらかったりしてしまいます。

「日本語が書ければ誰でもできる」と思われがちなテキストライティングは、微妙なニュアンスで伝わり方がガラッと変わるため、実はとても難しいもの。「わかりやすく」「キャッチーに」「おもしろく」「共感できるように」などなど、文章の書き方は目的によって変わります。

例えば、初めてスマホを手にするお年寄りにCPUや画面解像度といったスペックを説明しても全く理解されないように、ターゲットと発信方法を間違えると、「わかってない会社」「難しくて自分とは関係ない会社」と、かえって敬遠されてしまう事態にもなりかねません。

あらゆるシーンで「情緒的」に訴えられるコンテンツを作れるのは、多角的な視点と多様なスキルを持つ編集者ならではといえるでしょう。

企業の悩みに答える「情報の料理人」

では、今どんな企業が編集者を求めているのでしょうか? 成果向上とリスク低減という側面から、編集者の役割をお伝えしてきましたが、実は編集者を雇うきっかけは社内の“悩み”であることもよくあります。

企業の悩み① スキル・クオリティ面

「新商品を企業サイトやECサイトに掲載するにあたって、商品紹介の文章が必要になり、宣伝部に任せたがいい文章を書いてくれなかった」
「SNSにくわしそうな若手社員をSNS担当にしたけど、思ったような成果があがらない……」

よく、こんな悩みを企業から聞きます。どちらの場合も、「情報の料理」ができていないために起こる悩みです。

商品の解説文を書くなら、「どんな狙いで作ったか。どんな機能や効果を持つ商品で、誰に届けたいのか」といった、狙いやターゲット設定が必要となります。SNSも同様に、「SNSで何をしたいのか?」という目的を明確にしなければ、成果は得られません。「情報の料理人」である編集者がいれば、情報を成果の出る適切な形に料理します。Webサイト以外にもSNS、動画… と発信チャネルがどんどん増えている今、情報の統制を図る存在は重要です。

企業の悩み② 柔軟性のない社内体制

「営業部が協力してくれれば、話は早いんだけど……」
「開発部からくる情報が少なくて、プレスリリースが作れない……」
「部署ごとに書類のフォーマットがバラバラで、統制が取りづらい……」

これも、企業からよく聞く悩みです。部署間の連携がよくないばかりに調整に無駄な時間を使ったりやりたいことが実現できなかったりというのは、企業にとってはマイナスでしかありません。

社内の情報の交通整理も、編集者が行なう業務のひとつ。例えば、これまでの慣例からバラバラだった社内文書のフォーマットを刷新することもできますし、部署間のコミュニケーションのサポートも行います。どちらも、社内のリソースを使わずにできることはもちろん、第三者だからこそ社内での力関係や社内政治の問題から立ち入りにくかった部分に入っていくことも。部署や立場に関わらわず中立な立場で動けるというメリットは、編集者ならではでしょう。

編集者の仕事は「制作物」だけじゃない

編集者というと「制作物を作る仕事」というイメージが強いかもしれませんが、実際には情報発信の1から10までをトータルプロデュースするのが仕事。「どうしたらよりよい成果につながるか?」「どうしたら効率よく成果を出せるか?」といったことを常に考えながら、社内外に向けて発信する情報の最適化を図っていくのが、その役割です。

もし、「書類ひとつ提出するのに莫大な時間がかかっている」とすれば、それはコミュニケーションに無駄が多いからかもしれませんし、「プレスリリースがうまく書けない」としたら、文章力以前に必要な情報が足りていないからかもしれません。

虎穴に入らずんば虎児を得ず

「うちの会社は昔からそういう体質だから……」と、できない理由を並べて楽な方ばかり向いていては、これからの時代、生き残れなくなるでしょう。時間的にもコスト的にもコミュニケーションロスを省いて効率化を図ることは、重要です。

顧問税理士や顧問弁護士が、社内状況を理解した上で適切なサポートをしてくれるように、編集者は「情報」の面から企業をサポートするために存在します。

文:木谷 宗義/type-e
編集:ヤスダツバサ
運営会社:Number X, Inc.


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