閉鎖病棟に入る(7)

入院している仲間たちのインパクトは、あまりにも強かった。つい長々と語ってしまった。そう、とくに閉鎖病棟での生活において、ときにはいざこざもあったが、彼らは「仲間」だった。閉鎖病棟では患者の怪我や事故のリスクが、開放病棟のそれよりも高い(と信じられている)。だから看護師たちによる監視の目も厳しい。監視する者と監視される者。ナースステーションで寿退社を祝う看護師たちのように、監視する者には互いを労いあう仲間意識がある。我々閉鎖病棟収容者たちにも、監視される者同士の連帯感があるのだ。この感覚を、入院したことのない人に伝えるのは難しい。ドストエフスキーの『死の家の記録』を読んでいただければ、「なるほど、こういう感じか」というのがよく分かるので、お時間のある方にはご一読願いたい。

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