閉鎖病棟に入る(10)

仕事以外で誰かと会話をすることがない。そしてその仕事とは幼稚園の事務であって、子どもたちと走り回ることでもなければ、牧師として伝道することでもない────わたしは次第にツイッターにのめり込んでいった。ツイッターには若い人たちの声があふれており、文字だけであるとはいえ、大都市の匂いがした。アウトドアの趣味も持たず、持っていたとしてもそもそも出かける時間もなかったわたしにとって、山や海しかない風景はつらかった。繁華街の喧騒を想像しながら、わたしは牧師という肩書も忘れ、自分の好みの赴くまま好き放題ツイートするようになっていった。

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