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生きること、死ぬこと、そのむこう

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牧師として、人の生死や生きづらさの問題について、できるだけ無宗教の人とも分かちあえるようなエッセーを書いています。一度ご購入頂きますと、過去の記事、今後更新される記事の全てをご覧…
このマガジンの記事を踏み台に、「そういえば、生きてるってなんだろう?」と考えを深めて頂ければ幸いで…
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#閉鎖病棟

性のズレ

今年、精神科病院における、看護師による患者への虐待が、内部告発により発覚した。そのときに…

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閉鎖病棟に入る(14)(終)

閉鎖病棟で診察を受け始めた頃、主治医が言った言葉は今も印象に残っている。 「あなたのよう…

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閉鎖病棟に入る(13)

「相手にも言いぶんがある」 わたしは医師に対して今までの苦境を訴えるにあたり、つねに「~…

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閉鎖病棟に入る(12)

中庭を囲むようにコの字になった病棟。その4階に閉鎖病棟はあった。7階が開放病棟だったわけだ…

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閉鎖病棟に入る(11)

作業療法では油彩を始めた。描く対象もとくに見つからないので、病院から鏡を借りて、わたしは…

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閉鎖病棟に入る(10)

仕事以外で誰かと会話をすることがない。そしてその仕事とは幼稚園の事務であって、子どもたち…

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閉鎖病棟に入る(9)

自分の投げた槍が的を外していることを確認するだけでは、まだ足りない。投げ方を吟味する必要がある。陸上競技で槍投げをする選手は、つねに自分のフォームをチェックし続けているはずである。余計な力が入ったり、不要な癖がついたりしてはいないか。フォームに不備が見つかれば、今度はそれを取り除くための練習を重ねるだろう。医師がわたしに要求していた「『ありのままのわたし』という願望それ自体を問いに付せ」とは、これである。わたしのイメージする「ありのままのわたし」というあれこれの理想像は、おそ

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閉鎖病棟に入る(8)

対話する相手は自己だけではなかった。認知行動療法ノートは診察のたびに、医師にも見せた。医…

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閉鎖病棟に入る(7)

入院している仲間たちのインパクトは、あまりにも強かった。つい長々と語ってしまった。そう、…

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閉鎖病棟に入る(6)

わたしは元少年Aを弁護したいわけではないし、同室の少年を断罪したいわけでもない。彼の妹は…

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閉鎖病棟に入る(5)

言葉を喪い、唸っているおじさんの斜め前に、車椅子の青年が虚空を眺めている。彼が大きな声を…

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閉鎖病棟に入る(4)

この病棟には、何年、何十年も入院している患者たちがいた。彼らには面会に来る家族もいない。…

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閉鎖病棟に入る(3)

同室の16歳の少年と仲良くなると、彼の友人たちとも親しくなった。隣室の17歳の少年。廊下を挟…

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閉鎖病棟に入る(2)

洗面器や歯ブラシ、うがいコップとタオル、石鹸、それにわずかな着替えを持って、病室へ。病棟のドアはつねに施錠され、看護師しか開けることは許されないが、病室のドアは患者が勝手に閉めることを許されておらず、いつも看護師に見えるよう開けっぱなしておかねばならなかった。部屋のベッドは四つだが、わたし以外には二人の患者しかいなかった。一人は80がらみの老人。静かにこちらを睨んでいる。わたしが挨拶すると、ベッドに腰かけたまま、やはり静かに頭を下げた。もう一人は10代の少年。あとで年齢を尋ね

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