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本屋×家具

第6章 本屋と掛け算する(10)

 先に述べた雑貨は、本と一緒に、本棚や平台に並べることを前提にしていた。しかし考えてみれば、その本棚や平台など、店の什器や備品にあたるものにも値段をつけてしまい、販売することもできる。それを本項では家具と呼ぶ。

 扱えるものは、本棚やテーブルのほかに、客が座るための椅子や、店内を照らすための照明などがある。またいわゆる家具以外にも、オーディオ機器やプロジェクター、レジスターなど、店の備品として使うものも同様に値段をつけることは可能だ。使用しているものをヴィンテージの一点ものとしてそのまま売ることもできるし、あくまで店内にあるものはサンプルとして新品を販売することもできる。特徴さえ出せれば、店内を彩る壁紙や塗料さえ売ってみてもよい。いわば本屋を、インテリアのショールームのように捉えることだ。

 特に本棚は、本を入れて使うものだ。しかしいわゆるインテリアショップでは、そこに大量の本が詰め込まれてディスプレイされていることは少ない。本屋であれば、本を入れることで、自分が自宅で使用するときのイメージができる。かつ、インテリアショップにはそれほど多くの種類の本棚を置くわけにはいかないが、本屋であれば大量の本棚が必要だから、たくさんのバリエーションを見せることができる。そう考えると、買う側から見ても、本屋で本棚を売っているのは理にかなっているといえる。

「本屋B&B」では、「KONTRAST」という北欧家具店と提携して、ヴィンテージの本棚やテーブル、椅子などを販売している。一点ものであるということは、売れると入れ替えが発生するということであるから、作業としては大変だ。しかし一方、それにはよいところもあって、それは本棚が売れることで、店の空間に変化が生まれることだ。什器がひとつ入れ替わると、雰囲気ががらっと変わる。また、売れた棚に入っていた本を出して、新しい棚にもう一度詰め直す作業をすることで、本のほうも見え方が変わる。不思議なもので、まったく同じ本を入れ替えたとしても、棚が代わるとそれまでとは違う本が売れるようになったりする。本屋としての鮮度を保つという意味でも、本棚を売るのはよいことだ。

※『これからの本屋読本』(NHK出版)P222-P223より転載



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ブック・コーディネーター、クリエイティブ・ディレクター。新刊書店「本屋B&B」(東京・下北沢)と出版社「NUMABOOKS」を経営しつつ、「八戸ブックセンター」「神保町ブックセンター」「BIBLIOPHILIC」などの仕事をしています。散歩社取締役、バリューブックス社外取締役も。
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