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目的の本が見つかるよろこび

第1章 本屋のたのしみ (6) 

 人はどんなときに本屋に行くだろうか。

 もちろん、時間さえあればいつでも、毎日のように立ち寄るという人もいるだろう。けれどたとえば、政治について一から学びなおしたい。スパイスを調合するところからカレーをつくりたい。月の満ち欠けを撮った美しい写真集をながめたい。そういう具体的な目的が先にあって、該当する本を買いに行くこともあるはずだ。あるいは、大先輩から読むように勧められた。友達が面白かったと言っていた。新聞の書評で見かけた。そういう特定の本を手に取るべく、探しに行く。

 いまは多くの人が、インターネットを使うかもしれない。知りたいことが決まっているなら、政治もカレーも月の満ち欠けも、検索すればある程度の情報は出てくる。

 けれどインターネットで調べても情報が多すぎる。あるいは浅すぎる。まとまっていない。そういったときには、本を手に取りたくなる。買う本を決めているなら、Amazonなどのネット書店で購入すれば、早ければ当日か翌日には届く。けれど買う本が決まっていても、届くまで待ちきれず一刻も早く欲しいときや、現物を見てから買うかどうか決めたいとき、目的に沿った本を見比べて買いたいときなどは、ネットよりもリアルの本屋が便利だ。

 そのように目的がはっきりしているときは、在庫が多いほど見つかる可能性は高くなるから、たいていの場合、店も大きいに越したことはない。目的どおりの本が見つかると、この本屋はさすが品揃えがいいな、とうれしくなる。

※『これからの本屋読本』(NHK出版)P22-23より転載


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ブック・コーディネーター、クリエイティブ・ディレクター。新刊書店「本屋B&B」(東京・下北沢)と出版社「NUMABOOKS」を経営しつつ、「八戸ブックセンター」「神保町ブックセンター」「BIBLIOPHILIC」などの仕事をしています。散歩社取締役、バリューブックス社外取締役も。
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